鉄臭い女

四十年近い月イチの付き合いなのに　未だに
手こずっている振り回されている　厄介だけど
私を私たらしめるモノの一部

生理

思いがけずゴボッと内側から生温いモノが
滴り落ちたのを感知して
ナプキンにゆっくり広がるのを感じるけど
ああ、これ駄目なやつだと内腿がサインを送るけど
いま支援中じゃい自分のトイレに行けるかよと
キレ散らかしては見てもやっぱり
50だぜ50になっても鉄臭い経血が
ロリエから染み出てズボンに
日の丸弁当の梅干しみたいなシミを作ってしまう

ああ情けない
自分で自分の内側をコントロールできない
仕方ないから羽織っていたカーディガンを
腰に巻いてケツを隠して1日を凌ぐ

ちわっす、三河屋ですってサブちゃんみたいに
毎月やって来るけど
今日はいいわーって御用聞きみたいに追い返すことができればいいのになあ
4泊5日か5泊6日私の中でしっかりご逗留遊ばしてる

まだ　苦笑

そろそろ今生のお別れをした知人も多くて
そのたんびナプキンを譲ってくれる
今年は3人の知人からバトンをもらった

チコちゃん、ナプキンよかったら使ってくれないかなと
チコちゃんはまだある？
なくてもお嬢ちゃん2人いるからいいかなって
あ、まだチコちゃん現役なんだあ
もういいよねえ、子供産むわけじゃないしさ
でも子供産んだ生理なんて人生のうち2回だけだよ
まったくもうそのためにどんだけ玉数費やしたんだか
あたしもご苦労さんだったよと

毎月のセレモニー✕ここまでの年数の労を互いにネギラウ

でもさ、無ければ無いでそれは大変だったりもするんだよね
月経に支配されてたのと違う身体を生きるわけだからさ
更年期の不調も辛い人は辛いみたいだしね

私自身生理痛は殆どなく、かなり穏やかにここまで月イチでお付き合いしてきた方だと思う
結婚生活は喜怒哀楽の嵐が吹き荒れたけど
生理生活は順調な航海だったなと振り返って思う
とても穏やかな規則正しいいい子だったのだと
私の女性器チームには感謝しかないけれど

娘がが受験の時には
コロナで配慮するなら
生理はどうなんだよ、あの痛みと不快さに耐えて脳みそにパンパンに詰め込んだやつアウトプットするのが、男女で平等なわけ無いやろ、女子に下駄はかせろ下駄、生理加点、そやね20点くらいつけてもいいんじゃない💢と
机に向かう背中に思った

毎月痛みに耐え不快さに付き合ってきたことは
ままならないものを受け入れる練習だったようにも思う
自分すら自分の手に負えないのだと思うことで
眠いー腹減ったー乳飲ませろー背中が痒いー
寒いー暑いーと1日中ギャン泣きする赤子を
自分の時間に組み入れて、
何なら自分の時間を組み替えて、
いやもっと言えば滅私だよな自分の時間を捨てて、赤子を育てるために生きることをコペルニクス的に選択することを

何十年もかけて私に身体で教えていたのかなと思ったりもするけど

そろそろあの鮮血の鉄臭さは私にはもういらないと苦笑いしながら
名残を惜しむように
お臍の下のあたりに手を当てる日曜日の朝

全ての女性にジョンレノンの送った歌を