見出し画像

雨傘考

雨ニモマケズっていうけど
これ梅雨?いや台風でしょと
ひとりノリツッコミしながら
赤毛はmontbellの合羽に身を包んで
職場へとチャリを走らせるけど

道行く人とすれ違うたびに抱く軽い違和感
なんだろこれ
双方向インタラクティブにすれ違おうとしても避けきれなくて傘にぶつかりそうになる

江戸しぐさっていうのかな
人と人が通り過ぎる時
互いにすっと阿吽の呼吸で
左右に自らの傘を傾ける
あれじゃ足りない足りないくらい

傘がデカい

あれ傘ってこんなにデカかったけ?

キョウビ傘の主流は大抵ビニール傘
傘に個性は求めなくなり機能でしかなくなって久しいけれど
雨の日にずっと視界に入るものだから
私は自分の好きな色だったり
好きな絵柄の傘を持って歩いていたいと思うから
出先の急な雨とか以外でビニール傘は持たないけど

道路の幅は変わっていないのに
傘だけデカくなったら
傘が道を不釣り合いに占拠する
濡れたくない→傘が大きければ濡れないと
傘をデカくしたんだろうと思うけど
そう言えば傘の柄に大きめ70センチ!って
シール貼ってあるの見たことあるな

傘のサイズ感と
人のサイズと
街の大きさと
そして雨を避けるという
PARASOLな機能との絶妙なバランスを
全方位的に取り合っての
街に馴染む傘の花の開いた景色だったんじゃないかと

異様にデカい傘がボンッと開いているのをみると
パーソナルスペースの主張なのか
こっちに寄ってくんなよって結界を傘で主張してるみたいで
エエエ
そんなんじゃ相合傘しても
お互いの肩と肩がそっと触れることもないやん
濡れちゃうよって
そういう合法的な理由で相手を引き寄せることもできないし
半分ずつ自分と反対の相手の肩が濡れて
それが相手を思う証左のような気がしてしまうこともないってことでしょ?苦笑

時折小さな折りたたみ傘に
ちょこんと窮屈そうに身を収める人にすれ違うと

必要にして最小限なスペースで雨を避けるということは
スペースを向かいを歩く人に開けるということだし
誰かを意識していることの無言の体現だったんだなあと

デカデカと二車線の道をひとり占拠して
一雫も濡れまいと傘の下を歩く人を避けながら

嗚呼もしかしたら傍若無人な景色だなと
全員相手のこと考えてませんよ
アタシが濡れたくないだけなんですって景色なのかと思うと
なんや怖いなと思いながら

合羽越しに雨が肌を叩く感触を感じて
チャリを漕いだ
ブリブリ怒りっぽい
ずぶ濡れネズミの金曜日の赤毛でした苦笑

いやあね
年のせいかしら怒りっぽくて
昔は良かった病なのかしらん

懲りずに古い映画を
傘と言えばシェルブールの雨傘






いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集