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クロスロード
始業の30分前につくように朝は7時半を目安に家を出るのだけど
少し仕事をしようともう30分早く家を出たら
街は30分前の世界で
村上龍さんの5分後の世界を引っ張る厚顔無恥だけれど
行き交う人も、すれ違うバスの行き先表示も
通いなれた通りもいつもと違う見慣れぬ世界に映るのは
その時間に普段から通勤通学している人にとって
赤毛が異質だからだと思う
いっつもはいない赤い自転車に跨ったオバサンが通り過ぎる違和感が
向こうからやってくる人来る人と
つま先を左右に振り分けてすれ違うことが出来なくて
あうんの呼吸が成立しない
何度避けても同じ方向にあれ?あれ?と
タイミング悪く避けることが出来ないで
スワ、ぶつかりそうになる
それも一人とじゃなくて、
対面座位いや向き合う度に老若男女と
スミマセン、スミマセンと間の悪い人になってしまう
ああ世界線を間違えてるんだなあ
このままだと危ないかもしれないと
途中のコンビニでブレンドコーヒーを買って
紫煙くゆらす人に交じって一杯すすって
いつもの世界線に戻ってくるまで時間をつぶす
インターナショナルスクールに通う
白人の女の子がピンクのチャリで通り過ぎたのを合図に
いつもの時間になったことを確認して私も街に漕ぎ出す
そこからはやや危なっかしいながらも
確実に向こうからやってくる人を避けて前に時間が進むのを感じて安心した
職場について今朝こんなことがあってねと
もう出勤している同僚に話すと
タイミングが今日はズレているのかもしれませんねと笑われて
ああ、嫌だなあそんなタイミングの悪さで
今日は面談もして嫌なこと言わなくちゃいけないんだよなあと
そうでなくても、相手が嫌がると分かってることを言うのは苦手なんだよなとブツクサ口の中で呟いて
しゃあないそれが自分の仕事だからと気を取り直す
20分くらい時空の歪みをセブンで調整したおかげか
その後の時間の流れも会話の流れも大きくは堰き止められることがなく
夕方には赤毛さんと小さな声で隣の事業所の職員に声をかけられて
Bumpのライブを諦めずに申し込めと励ましてくれた彼だけど
今度は、自分が次のZEPPのライブに行くからグッズを買ってきてあげますと
そしたら12月のライブの時にTシャツ来て行けますよ何か欲しいものありますかと
どうしてアナタはそんなに私に優しいのと涙腺が緩むけど
実はBumpには貧乏人の赤毛がチケット代以上に貢ぐ必要はないと
前回のツアーTを堂々と着ていくつもりだったのだけど
彼の優しさには応えたいという謎のスイッチが入り
パッチン留めとライブTシャツをお願いした。
お代を払おうとしたら、
赤毛さん気が早いです買えるかわかりませんと笑われて
なるほどBumpっていうのはそういう世界線なのねえと新鮮だった
じゃあ、もし買えたらお願いします💓と祈りを込めた
ホクホクして事務所に戻ると
やあ、久しぶりと15年ぶりくらいに元同僚のダーリンが訪ねてきた
おおお、久しぶりどうしたの???
旅行のボランティアで行って今日帰って来たんだよ
そしたら施設長の宮田さんが、
そういえば赤毛さん今下の事業所に異動になっているよって
教えてくれたもんだからさ
ああ懐かしいなと思って挨拶に来たんだ
ああ有難い
宮田さんもダーリンも別法人の施設の職員で
実は一緒に働いたことはないのだけど、
昔はみんなどこの事業所も素人みたいな運営で
若くて勢いに任せてやってたところがあったから
あの頃はさって同じ釜の飯感を共有できる部分が
実は他法人の職員同士にもあるんだと
いまはそういうのあるのかなあとまた涙腺が緩んだ
しばし近況を互いに報告しあって
彼ら夫婦が里山で人と人と自然を繋ぐ活動していることを知って
ああ何年直接連絡を取り合うことをしていなくても
同じ福祉の仕事をしていたことで水面下で繋がっていて
お互いの生き方というか、見ていたい方向みたいのは
また交わっていくチャンスというのはあるのだなあと
タイミングだなあと思った
ズレたことで次のクロスロードでは交わるのかもしれないし
平行線がほんの少し角度が付けば
時間はかかるけれどその先ではいつか交わることが出来る
シュトレンを石窯で焼かない?と
可愛い友人から早速お誘いをもらって
カレンダーと体力の目盛りとにらめっこしているけど
今夜のびしょぬれsyrupでチャージできますようにと祈る