アカデミー賞で露呈する分断と差別:創作のための時事勉強会65
※注意
本記事は時事的問題について、後で振り返るためにメディアの取材や周囲の反応を備忘録的にまとめたものです。その性質上、まとめた記事に誤情報や不鮮明な記述が散見される場合があります。閲覧の際にはその点をご留意ください。
事例概要
パレスチナとウクライナの停戦について
※3月11日にアカデミー賞が発表された
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— ハピネットファントム・スタジオ (@Happinetphantom) March 11, 2024
速報!!!!
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5/24公開『関心領域』(@ZOI_movie)が第96回アカデミー賞にて国際長編映画賞を受賞しました!!
▼公式サイトhttps://t.co/thvWkjOeyE
▼予告編https://t.co/heLOOmPV0N#A24 #アカデミー賞 #Oscars2024 #Oscars pic.twitter.com/5EKi2e4U8C
『関心領域』監督のジョナサン・グレイザーがガザの虐殺を終わらせることの重要性についてスピーチで言及、涙を流し拍手する出演者のザンドラ・ヒュラー他と拍手を拒否した人たち(マーゴット・ロビーも)が対照的。この反応見るだけでも意味ある受賞だった。 https://t.co/EuwiuFG78v
— 丙ウマ・サーマン (@hinoeumathurman) March 11, 2024
※アウシュビッツ収容所の隣で平穏に暮らす家族を描いた映画『関心領域』の監督がガザの虐殺についてスピーチ。
『落下の解剖学』ホット弁護士スワン・アルローとザンドラの息子役ミロ・マシャド・グラネールの2人がパレスチナ国旗バッジで明確な支持を表明している。いま授賞式見てるが、ザンドラ・ヒュラーが映るたびに隣に座ってるスワンのパレスチナピンがはっきりうつって、ピンの効果絶大。 https://t.co/sh7ymGIgWn
— 丙ウマ・サーマン (@hinoeumathurman) March 10, 2024
※『落下の解剖学』演者がパレスチナ国旗のバッジを身につけ連帯を表明。
エイヴァ・デュヴァーネイやビリー・アイリッシュ&フィニアス・オコネル、そして『落下の解剖学』の少年ミロ・マシャド・グラネールと弁護士役スワン・アローも停戦ピンバッジやパレスチナ国旗のバッジを装着。 https://t.co/TiNXIGgEjr
— ISO (@iso_zin_) March 10, 2024
アカデミー賞授賞式でガザの停戦ピンバッジを付けてくれたマーク・ラファロ、ラミー・ユセフ、マハーシャラ・アリ、ビリー・アイリッシュ、リズ・アーメッド、エイヴァ・デュヴァーネイ、フィニアス・オコネル、ミロ・マシャド・グラネール、スワン・アローやその他の人のこと、ずっと応援すると決めた
— ISO (@iso_zin_) March 11, 2024
※他にも連帯を示した人はいるようだ。
長編ドキュメンタリー賞は『実録 マリウポリの20日間』が受賞 https://t.co/iLV1vdVxzv #アカデミー賞 #Oscars2024
— シネマトゥデイ (@cinematoday) March 11, 2024
受賞スピーチで監督が「ほかの受賞者からは多分出てこない言葉だと思うけど、私は心の底から、こんな賞などもらえない方が良かった……この賞と引き換えにロシアが攻めてこない世界線をもらえたらどんなに嬉しいか」というようなことを言っていたのが印象的だったな https://t.co/F2FDl0nkjW
— Dr. RawheaD (@RawheaD) March 11, 2024
※ロシア、ウクライナについても言及あり。
即時停戦を求めるピンバッチの話で結構日本は盛り上がってるけど、1人もスピーチでパレスチナのことに触れず停戦も求めないことでは意味がない、ということくらい言っていいしもっと求めていいよなっていう議論に既になってて、影響力や声の力を利用しないなら意味がないていう意見は知るべきだと思う https://t.co/PcOvfsLGDF
— Daniel Takeda(『#Z世代的価値観』『世界と私のA to Z』) (@daniel_takedaa) March 11, 2024
「関心領域」ってタイトルからしてすごく何かをわかった気にさせるよね。今まさに起きている虐殺を「ナチスのホロコーストを通じて」把握しようとする姿勢は「ナチス以上の惨劇はまだ起きていない」という驕りに基づいているはず。
— 安堂ホセ. 𝙅𝙤𝙨𝙚 𝘼𝙣𝙙𝙤 (@joseando17) March 11, 2024
バーベンハイマーの悪趣味なミームで日本人を怒らせたこと公式側が全く気にしていないの、まさに壁1枚隔てた「関心領域」の世界では。
— ゆん (@yunXoden) March 11, 2024
※一方で批判もある。
アジア系・有色人種への差別露呈
WHY DID HE IGNORE KE HUY QUAN LIKE THAT?!?!?!?#Oscars pic.twitter.com/zKfhkciEYH
— Toffee (@toffeedeleche1) March 11, 2024
気づかなかったのかな、と思って動画見たらオスカー像を受け取ってるのに目も合わせないなんてことある???>RT
— Mayo "SEN" Naito⚡ (@SEN1227) March 11, 2024
※ロバートダウニーJr、トロフィーを渡す前年度受賞者キー・ホイ・クァンを無視。
Emma Stone wins Best Actress at the 2024 #Oscars for her role in #PoorThings pic.twitter.com/r3ypYnmNEZ
— The Hollywood Reporter (@THR) March 11, 2024
プレゼンターで前年の主演女優賞受賞のミシェル・ヨーをシカトし、ジェニファー・ローレンスからオスカーを受け取ったようにしてしまうエマ・ストーン
— まっぽ🇵🇸 (@mapo1988) March 11, 2024
白人だらけのアカデミー賞が、さらにホワイトウォッシュされた瞬間がグロい
(ことしのアカデミー賞はアジア系を蔑視するという筋書きなのかしら) https://t.co/JBQNIy6Lca
※こちらも同様に前年度受賞者ミシェル・ヨーを無視したエマ・ストーン。
アジア人差別あるあるネタとしてパーティの客として来てるのに給仕スタッフと間違われて空いたグラスを渡されるシーンとか海外ドラマでもよく見るけど、RDJのキーホイクァンに対する態度完全にそれじゃん…しかもどう考えても意図的に…
— Mayo "SEN" Naito⚡ (@SEN1227) March 11, 2024
ダウニーといいエマストーンといい、ワザとじゃなくてまじで本当に見えてなくてやってるんだと思う。差別しようとしてしてるんじゃなくて、マジで見えてない
— うめ (@ume_muri24) March 11, 2024
意識してやってない差別行為っつーか、こう……
差別してはいけないと意識する人種の中にアジア系が居ない
「失礼がないようにしなくちゃ」と身を引き締める相手にアジア系が入っていないって言ったらいいんかな。
— うめ (@ume_muri24) March 11, 2024
意識の中に居ないんだよね。居ないから見えない。見えないからああいうことやる
みたいな……上手く言えんが……
キーホイクァンに対するロバートダウニーJr.のアカデミー賞での振舞い、やはりダメだと思う。直後?に本人とは握手し肩を組んで記念撮影していたようだけど、この都合の良さこそがマジョリティの特権なのよ。それが可視化された。アジア人を虐殺した爆弾の映画で受賞しておいてそれはないわな。
— りょうへい (@sakadachidancer) March 11, 2024
僕もちょっと驚いたし、とても残念でした。プレゼンターがキー・ホイ・クァンではなく白人のスターだったら、同じ対応をしたの?そういう差別こそ、マーベルのヒーローが戦ってきた相手なんじゃないの?と。 https://t.co/dSPJJ3ah2S
— 橋口幸生 (@yukio8494) March 11, 2024
「ロバート・ダウニー・Jr、オスカー受賞の際、キー・ホイ・クァンを無視したと非難される」という見出しできちんと英語の記事が出ていることについては良かった。ロバート・ダウニー・Jr.が日曜日の夜、自身初のオスカーを手にしたが、その受け取り方に批判が殺到したと。https://t.co/JBRmNg9aTW
— 染⭕️ (@bsop88) March 11, 2024
※黒人差別とはまた少し気配の違うアジア系への蔑視の問題が見えた。
個人見解
ここ数年でアジア系の演者、映像作品そのものへの評価が高まったことのある種のバックラッシュとも受け取れる状態のように見える。アメリカにおける有色人種差別の歴史は深いが、黒人差別のそれとアジア系ではまた少し、その様子が違うのかもしれないと思わせる。
個人的にはロバートダウニーJrがこうした反応をしたのは非常に残念だ。私はマーベル映画でもアイアンマンだけはすべて見ていたし、シャーロック・ホームズもベネディクト・カンバーバッチより先に彼のものを思い浮かべるくらいだったのに。
とはいえ他方、アメリカに住んでいるわけでもないし常に話題を追っているわけでもない自身としては、今回の事例はやや驚くものだった。さすがに2020年代に入って、ここまで露骨な差別的対応が公に出てくるとは思っていなかったからだ。すわトランプ再選かという時事的背景を考えると、牧歌的すぎる認識だったかなとも反省しているが。