SWEET LOVE SHOWER 2023 感想。~”おひとり様”なりの過ごし方~
去る8月25日に、山梨県は山中湖交流プラザ きららにて開催された「SWEET LOVE SHOWER 2023」に行ってきました。
通称「ラブシャ」と呼ばれるこのフェス、自分も国内フェスの中では一番好きと言っても過言ではありません。他の国内フェスのヘッドライナーばかりが揃う豪華なラインナップ、綺麗な富士山と山中湖を一望できるロケーション、それでいてどことなくこぢんまりとしていて落ち着ける会場の規模。加えて、都内からのアクセスも悪くないのも個人的には有難かったです。
今年は8月25日~27日の3日間開催。
自分はそのうち、好きなアーティストであるPerfumeさんが出演する25日に行ってきました。
他にも観たいアーティストは何組もいたので、タイムスケジュールを組むと
↓こんな感じになりました。
当日の話です。
過去に一度行ったことがあるのですが、そのときは少しゆっくりめに出発して大渋滞に巻き込まれた記憶があったので、今回はかなり早めに出発しました。
朝6時頃には家を出ていたと思います。自家用車をぶんぶん走らせ、予約していた駐車場には朝の8時頃に到着。大渋滞には巻き込まれなくてよかったです。せいぜい、山中湖ICを降りてから寄ったコンビニの駐車場が混雑していた程度でした。
開場の9時まで車内で時間を潰そうと思っていましたが、あまりにも暑くて居られないなと思い、会場に向かいました。
入場。
まだ出演者がいないステージが立ち並ぶ場内。全貌を把握しようと、各エリアを歩き回りました。さながら、開園前のディズニーランドを歩き回っているようなワクワク感を覚えます。
GOOD VIBESエリアにあった、古着を扱うお店や、タイダイ染めを経験できるブース、指圧マッサージが体験できるブースが非常に興味深かったです。結局どこでもお金を落とさなかったけど、ちょっと後悔しています。
そんなこんなであちこち歩きまわってみると、ある想いが心の内に浮かびました。
ひとりで過ごすのって結構難しそう…。
今回のラブシャにはひとりで来ていました。
先ほども申した『過去に一度来たとき』は、他の友人さん数名と一緒にワイガヤしながら過ごしていたので、その頃と比べてしまうからかな?と思いました。
フジロックに行ったときは「ひとりで過ごすのも悪くないしむしろ快適だな」と思ったのですが、きっと複数名でワイガヤしながら過ごしている人がそこまで目立たなくて気にならなかったことも一因だったのでしょう。
当時ほど、色んな人と『○○のイベント一緒に行こうよ』とか『会場着いたら会いましょう』といった約束をしなくなったこともあり、(ラブシャに限らずですが)今の自分なりの楽しみ方を模索している最中でした。
そうこうしていると、LINEの通知にに気づきました。ちょうどMt.Fujiステージで、トップバッターであるPEOPLE 1のステージが始まった頃だと記憶しています。
「お久しぶり!ラブシャ来たので会えたらよろしく!」
かつての友人から連絡がきていました。コロナ禍が始まる少し前にPerfumeきっかけで知り合った人でした。コロナ禍が始まってからは当時ほど会えていなかったので、思いがけぬ連絡を嬉しく思いました。
SNSに投稿していた内容を見て声をかけてくれたのでしょうか。どうやら、山中湖では相手方の回線がご機嫌ななめなこともあってか、連絡の間隔が少し空いてしまう。その間に自分も相手もあちこち移動しておりなかなか会えない。マキシマム ザ ホルモンは見ると言っていたので、そのときに会えればいいかな、と焦らず構えていました。
そんなやり取りもあり、いったん『人と会う』スイッチが入ると、途端に意識が外向きになるというもの。今回来ると聞いていた友人さん数名に連絡をとってみると「会えるよー」なんて返信をいただきました。
そんな中、目の前のLAKESIDEステージでヤバイTシャツ屋さんがリハを始めていました。自分は曲名を数曲知っている程度で、メンバーの人となりまでは存じていなかったのですが、こやまくんが「Perfumeでーす」と名乗ったり、ありぼぼさんがPerfume CLOSETのソックスを履いていたりして、この人たち、もしや自分と同じでPerfumeファンかも…?と思える点でも期待が高まります。
リハ後に本番がスタート。先述の『曲名を知っている数曲』を聴くことができました。自分の居た反対側のゾーンではモッシュが起こっており、その様子をドローンで空撮した映像がステージ脇のモニターに映し出されます。それを見て「かつての夏フェスが戻ってきたのかな」なんて感じていたところに
「ちょっとラブシャ前よりぬるくなってるんちゃうのー!?」
なんて台詞でこやまくんが煽ってくる。やはり、以前よりは落ち着いてしまっているのかな?とも感じました。
個人的に、あの煽りにはコロナ禍明けのフェスが以前と比べて変わってしまった悲しみを感じてしまいました。この日の出来事の中でもとりわけ印象的です。
その後はMt.FujiステージでKANA-BOONを観ました。こちらもヤバTに引き続き、関西弁での喋りが印象的なバンド。「ないものねだり」が聴こえてくると、思わずステージ前方を目指して身体が動きます。やはり、楽しい音楽には惹きつけられるものです。
KANA-BOONが終わる少し前で抜けて、しばしFORESTステージでキタニタツヤさんのステージを観ることに。途中で近くの手洗い場に行き手を洗っていると、隣に来た人に既視感を覚えました。
「お久しぶりです。」
また別で来ていた友人さんのうちの一人でした。思いがけぬ対面に、自分のみならず相手もびっくりしていたよう。連絡などはできていなかったですが、ゆえにこんな示し合わせたような会い方もあるんだなという驚きと気持ちの温かさもひとしお。ひと言ふた言挨拶を交わした後、自分は再びFORESTステージへ、友人さんはまた別の場所へと向かっていきました。
FORESTステージからLAKESIDEステージに戻ると、マキシマム ザ ホルモン目当ての人たちが大挙していました。ここで、先ほどまで連絡を取っていた友人さんたちに会うことができました。面識のある3人だったので、そのまま一緒にホルモンのステージを観ることに。
ただ、2曲目で自分が思わずモッシュに突っ込んでしまったことを皮切りに、3人とも散り散りになりました。「恋のメガラバ」や「ぶっ生き返す!!」など、久々に聴いてもそのカオスを身体が覚えている曲たちに思わず向こう見ずになり、ヘドバンはするわモッシュには突っ込むわ…。その度に全く意図していない場所に流され、最終的にはもといたのと全く別の場所に来ていました。コロナ禍で眠っていた自分の身体も、ようやく『ぶっ生き返された』心地がしました。終わった後に肩から下げていたサコッシュを見ると、紐が切れて破損していました。
ホルモンの後はしばらく休憩。山中湖近辺は涼しくて快適でしたが、この日は天気が良かったこともあり、じりじりと体力を奪われつつありました。
そして、Perfumeのステージが始まる前に再びLAKESIDEステージに戻りました。先ほど会った友人のうち、1人はかなり前方におり、もう1人は後方で観ると言っていたので、自分は後方にいる友人さんと一緒に観ることにしました。
リハーサルでは、音出しのために「Dream Fighter」が流れ、思わずセンチメンタルな気分に。ほどなくして、ステージ上に3人が現れました。
実は、ラブシャの前の週にPerfumeが出ていた夏フェス「SONICMANIA」「SUMMER SONIC OSAKA」にも行っていたのですが、そのときの銀を基調とした衣装とは異なって、青を基調とした衣装での登場でした。清涼感溢れる山中湖の中では、こうした自然な色味の衣装のほうが似合うなと感じました。
セットリストとしては、他の夏フェスで披露したものがベース。盛り上がった実績もありお墨付きです。一番最初が「ポリリズム」、MC明けに「Moon」を披露し、ラストは「チョコレイト・ディスコ」で〆。
今回は2曲目にブチ上がり曲の「FAKE IT」がきて、登場時に感じた清涼感が霧が晴れるかのように消え去りました。
Perfume後は、FORESTステージにてTHE BAWDIESを観ていました。ただ、ホルモンの時から蓄積されていた疲れも尾を引きつつあり、自分も一緒に居た友人さんも木陰に座りながら音楽を聴いていました。
そうこうしていると、ホルモンのときからはぐれていたもう一人の友人さんと再会。加えて、また別の友人さんたちが連絡をくれてお会いできました。
写真を撮ろうと言ったのもこのタイミング。そうするくらいには、この日に会ったことを残しておきたいと思えていました。先ほどまで広がっていた空の青が朱に変わり、あたりは陽が落ちてきた頃。LAKESIDEステージにあいみょんを観に戻ろうとする途中で、また何人かの友人さんとは離れ離れになりました。
あいみょんを観終わったあとは、再びFORESTステージにsumikaを観に戻ったのですが、一緒に居た友人さんたちとは別行動になり、ここでお別れ。
先ほど、あいみょんを観に行く途中で離れた友人の一人がsumikaを聴いているとのことで、再び合流しました。
その友人さんは、ステージから少し離れたフードエリアに居ました。バーガーキングのなんとかバーガーを食べていたので、思わず自分も欲しくなって注文。ハンバーガーを食べながら、ステージが見えないなりに音楽を聴くのもオツな楽しみ方だと感じました。ここで、今の仕事といったお互いの近況を少し話したりもしました。
sumika後は、友人さんはそろそろ帰るということでお別れ。再びひとりになった自分は、LAKESIDEステージのトリを飾る10-FEETを観ることにしました。
10-FEETのステージまでわずかに時間があったので、GOOD VIBESステージにLucky Kilimanjaroを聴きに行きました。満員御礼と言える大盛況ぶりで、出入口近くで音を聴くのでやっとでした。さらば青春の光の単独ライブで使われていた「Kimocy」を聴けてひと満足したところで、LAKESIDEステージに戻りました。
19時30分を回ったLAKESIDEステージは陽の光ひとつなく、ただそこに果てしない闇をたずさえていました。
この日のトリを飾る10-FEETのステージが始まると、ステージ上から客席に向かって、まるでエネルギー弾のように演奏の音が飛んできました。そのエネルギーを受け、わずかな照明を頼りにツーステを踏んだり、モッシュをする人たち。
自分はその光景を観ながら、ふと、朝と同じようにこうしてひとりでいるけど、どう過ごそうかという悩みはすっかり解消されていることに気づきました。とどのつまり、それは「孤独感」が無くなったことと同義でした。
ひとりで来たなりにも、この日色んな友人さんたちが会ってくれたことで、この場所のどこかに自分と同じものを、同じように楽しんでいる人たちがいると解れたからだと思いました。
その理解があるなら、お互いのペースを守りつつ、友人さんたちとつかず離れずな距離感で接することもできると思います。観たいアーティストや場所が異なれば、どちらかが合わせるのではなくて互いの意思を尊重して別々で観る。感想は後から会って話しても遅くはない。
同じ場所で同じ行動をして、都度同じ楽しみをリアルタイムで享受できれば理想的ですが、そうでなくても、ほんの少しでも他者との気持ちの繋がりが感じられれば”おひとり様”でも充分―。
そんな風に、思考の波にさらわれかけていたところで聴こえてきたのは、映画「THE FIRST SLAM DUNK」の主題歌「第ゼロ感」のイントロ。暗闇で足下が危ないのでツーステもモッシュも控えていたのですが、流石にテンションが上がって踊り散らしました。
そんな風にして終わった今年のラブシャ。
来たときは、まるで夏の始まりを讃えるかのような明るさを携えていた入場ゲートはいつの間にか、夏の終わりを静かに告げるように様変わりしていました。
ラブシャが開催されるのは毎年、8月の終わり頃。
最後の夏の始まりを讃え、終わりをふっと告げる。そんなところもまた、このフェスが多くの人から好かれる所以なのかもしれないと思いました。
最後に、重ねてになりますが
今回お会いしてくれた皆さまありがとうございました。
こんな感じのマイペースで難しい人間ですが、いつもお付き合い頂きありがとうございます。今後とも何卒よろしくお願いできれば幸甚です。