僕とWEリーグと女子サッカー〜今僕たちに出来る事〜
1.まず小難しい話の前に
今回のお話を記載させていただく前に職種を明かします。
・プロジェクトマネージャー、ディレクター
・UXデザイナー(簡単に言うとユーザ体験を向上させるための施策を考えるお仕事)
が私の職種になります。
WEリーグに魅せられてから目にした課題を自分の職種を活かして何かできないか?といった軽いノリでやってみました。
※同期は単純、「なんでこんなに面白いのに観客が・・といった
ニュースが目につくの?娘がWEリーグに夢を見させてもらってるから恩返しがしたいなぁ・・・」
といった理由です。
私ができる事それは
ユーザテスト(定性的調査)
Twitter等で意見を見ればいいか。
とも思いましたが、自分の主観に囚われた意見ばかり拾うことになるので定性調査としては全く役に立たない。
そこでユーザインタビューを考えてテストをしてみた。
「ユーザにとって何がWEリーグをみるつまづきとなっているのか」
これを言語化したい。
2.テストしてみた層
Twitterで拡散・また様々な方のご協力を得て63名の方々からご回答をいただきました。
ここで注意しなければならないのは「既存のサッカー視聴層からのアンケート結果」
という点。
主にユーザインタビューをする際に取られる手法
・性別(その他含む)で分ける
・各年齢、性別層で5名以上の回答を得る
(ユーザインタビューでは3名へのインタビューで問題の65%を発見、5名で85%の問題点を発見できると言われています。)
今回は以下の層で分類
Z世代
30代
40代
50代〜
回答数としてそれぞれの層に対し、男女5名以上の回答をいただいているので、データ値としても信頼できる値かと思います。
3.テスト内容
男性・女性・その他の区分でそれぞれ問題を出し分けてアンケートをまきました。今回「その他」の選択者はいなかったのですが、男性・女性で共通してまいた内容は以下
「女子サッカーを観戦したきっかけ」
「女子サッカーに知り合いを誘う際に気になる点はあるか」
4.女子サッカーを観戦したきっかけ
こちらの回答について
男性女性で意見のバラツキがなかった項目となります。
主に男子チームがあるチームのサポーターからの回答がこちら
・男子チームの試合を見て、女子チームがあることを知ったから。
・友達に誘われた。
・なでしこJAPANの活躍をみた。
多くの意見がこの3分類に分類されました。
やはり男子チームがあることによる「サッカー文化」が根付いている事を感じ取れる回答を多くいただきました。
また、男子チームのないクラブのサポーターさんからは
・女子サッカーチームが発足したのをラジオで知ったから
・地元のイベントでブースを出展していて知ったから
また、「上記方法でチームがあることを知ってボランティア活動を通じて今も応援している」
という男子チームを保有しているサポーターさんからは聞けなかった
「チームを認知してからどのようにチームを応援するようになったか(文化がなくても発足を知れば一緒に動いてくれる)」と言う意見を、聞けたことが興味深い点でした。
5.女子サッカーに知り合いを誘う際に気になる点はあるか
こちらについて主な意見が以下
・男子チームとの日程の兼ね合い(男子の翌日に女子の試合)
・男子サッカーと比べられてしまうこと
・どのような層を誘えばいいのかわからない
・そもそもサッカーに興味があるのか、試合以外の楽しめる要素
分類していくと
男子チームがあるチームのサポーター層は
・男子との日程の噛み合わせ(誘うならサッカー仲間を誘うが2日連続は・・・)
・男子サッカー文化が根付いているだけに、その文化、競技内容との差異
と言った点に目が行きます。
また、男子があってもうまく融和しているチーム、分断しているチームとクラブにより独自の文化形成をしていて、色々考える術がありそうです(Jの知見で活かせる部分を上手く使えるといいですね。)
男子チームがないチームのサポータ層からは
・どのような層を誘えばいいのかわからない
という意見が多かったという結果となっています。
こちらはそもそもサッカー文化が根付いていないため「相手がサッカーに興味があるのかわからない」といった観点が多かったです。
両者総合して多かった意見が以下
・サッカー以外にどのような体験が現地でできるのか
と「サッカー以外のどのような体験(イベント・スタグル)を求めている」
意見が多く目につきました。
また、興味深いのが「地方チームのサポーター且つ若年層(Z世代下部)」
からのご意見で
・スタジアムまでのアクセス(車社会なので、車を保有しない且つ男子チームと違いシャトルも頻繁に出ていない)と言った地域性を感じるご意見も。
6.気になって聞いてみた
ふと思い出した
先日「サッカーはコスパの悪いスポーツ」といった事を中村憲剛さんが聞いたとかなんとかいう記事。
ほんとうに「コスパ」が悪いのだろうか。
特にZ世代は「コスパ」よりも「タムパ」を重視します。
そこに価値を感じれば動かせます。
また、無駄な消費を嫌うが「価値を感じれば惜しまない、また共感を重視する」と言った特徴があります。
仮にここで各年齢層から出てきた
「サッカー以外のどのような体験(イベント・スタグル)を求めている」
に対し、最適なアプローチができていなかったとしたら・・・
この辺りは昨今「可処分時間」について、多く語られるご時世になっているので、時代背景含めさらに深掘りする必要があるかなと感じています。
(そもそも時代の変化に対するアプローチってサッカー界全体として考えないと行けない時期だと思ってます。)
初回のアンケートなので表層的な部分をさらっと撫でた段階ではありますが、ここからさらに深掘りし、「各年齢層別に架空のペルソナ像を作成しユーザ体験としてのつまづきをどうすれば解消できるか考えてみます。」
具体的には以下のようなものを作成吹き出し部分のつまづきをいかに解消し、TO BE図を記載する。
7.で一体何がしたいの?
よく言われます。
興味本位で自分の仕事柄を活かして考えたい。
ただそれだけのこと、そして「WEリーグに夢をもらった娘が大きくなりサッカーをやりたいと思った際に、当たり前にサッカーを楽しめる文化になるように貢献したい」それだけのことです。
これでTO BEを考えても「変えられない」ことは知っています。
ただ「なんとなくわかってるけど」というモヤっとした部分が気持ち悪いので言語化する。
理念先行でつまづきを与えているんだなと言ったアンケート回答もたくさんいただきました。そこに対して何か動くつもりはありません。
「Jリーグのユーザ層を狙うべきか」と言った記事も見かけましたがほぼほぼ私も同意です。
ただし「全く関係のない男性チームのサポーターが、WEリーグ発足に際し、そちらのゴール裏で頑張っているチームもある」という事実からも目を逸らすべきではない、「それだけの魅力はある。思考を止めるな。」
が私のスタンスです。
(プロジェクトマネージャーとして考えるとしたら、うまく女子サッカーに合わせテラーリングしろですが。)
8.じゃあ今すぐ何ができるの?
「短期的施策」「中長期的施策」の2種があり、「短期的施策」は「マンパワーとお金やらが関わる部分」なので1ユーザでは手が出しにくいもの。
では「中長期的施策」において、1ユーザに何ができるのか。
マーケティングの基本に立ち返ります。
「ひとけの無い所に人は集まりません」
ネガティブな発言が目に付くなかで僕たち(WEリーグに魅力を感じている層)ができること。
「楽しい事を共有していこう。女子サッカー楽しいぞ!」
今すぐできることはこれに尽きるのでは無いでしょうか。
2021年の水戸ホーリーホックの合言葉
「楽しむことを止めるな!」
が今僕たちにできる事なのではないのかなとおもいます。
そうやって「楽しい」を共有しながら巻き込んで文化形成できたらいいね。
(といっても刺したいであろうユーザ層のメインSNSが拡散しにくいSNSってのが中々やりがいありますが)
9.まとめると
・男子チームがあるチームでもチーム毎に異なった文化形成をしているよ。
(またチームによって、男子チームに求めていることと同じことを女子チームに求めている、違うものを求めている。と言ったクラブ間による違いも言語化頂いたよ。)
・男子チームのゴール裏コアサポーターだったのに、女子チームを追うようになったゴール裏の方々がいる事実があるよ。
・スタジアム体験の向上に何か糸口があるかもね。
・Jの資産を活かせる部分はあるはず、うまくテラーリングしながら使えるとこ使ってね。
・女子サッカーを、楽しむことを止めるな。
ちょっと表層的なお話が多かったですが、アンケートにご協力いただいたみなさんへの報告及び自分への今後の動き方の戒めのため。
今回も長文駄文失礼いたしました。