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「まん延防止等重点措置(まんぼう)」 --英文メディア各社、苦労したのか 英訳がバラバラ!?

1. 現場で悩まされた「まんぼう」

史上初の”緊急事態宣言下のオリンピック”。その在り方について、さんざん問題点を指摘してきた大手各メディアも、今、文字通り大会を目前にして、”ブレーキ”と”アクセル”の踏み分けをどうするか、かなり戸惑いながら、あわててピッチを上げて、駆け込みで五輪報道体制に入っているように見えます。

ところで、緊急事態宣言については、ニュースの英語化で悩むことはありませんでしたが、ちょっと迷ったのは、”まんぼう”という略称に反発も起きた「まん延防止等重点措置」の英訳でした。まずは、政府は公式にどう訳しているのか、調べてみると・・・

2. 政府の公式訳は?

日本政府のサイトを調べると、Declaration of State of Emergency(緊急事態宣言)の下に、「Priority Preventive Measures」と書いてあります。でも、これじゃ、なんかよくわからない!何がpriorityなんだろう?・・・説明の英文を読んでも当たり前のことが色々たくさん書いてあって、緊急事態宣言と何がどう違うのか、わかりにくい。同僚の英訳のプロたちにも評判の悪い公式訳でした。

3. わかりやすく訳したい

政府の広報ではないので、英語の記事は、"日本の事情に通じていない人にもわかりやすく、なるべく平易な言葉で伝える"という姿勢で書きます。では、どういう訳が適切なのでしょう。strict anti-virus measuresとか、anti-virus restrictionなどと簡単に表すのもありでしょう。でも、まん延防止を緊急事態宣言と比較せねばならぬ時に、どう説明するか。

大手の英文メディアはどう訳しているのか、ひとつずつ調べてみることに・・・

4. 各社の英訳を、調べてみた

✅ NHK WORLD   

intensive anti-virus measures  でも、同じ記事の中で、focused anti-infection measures があったり、targeted anti-coronavirus measuresという記事も。さらに、intensive preventive measures も。つまり、定まった訳は使わずにその時その時で判断しているのでしょうか。

✅ Kyodo とThe Mainichi

quasi-state of emergency
quasi- 
は、発音は【クウォーズィ】【クウェイザイ】の両方あるようですが、類似するものという意味で、「”準”・緊急事態宣言」という感じでしょうか。
なるほど、quasi- を使うと、緊急事態宣言との強弱がわかりやすくなりますね。

✅ Jiji Press と The Asahi Shimbun

pre-emergency measures
なるほど。「プレ・緊急事態宣言」=緊急事態宣言に至る前の段階だ、というのがわかりやすいですね。

✅ The Yomiuri Shimbun 

priority measures 
政府の訳、priority preventive measuresから来ているのでしょうか。

<海外編>

✅ Reuters(ロイター イギリス) 

"quasi-emergency" state of targeted restrictions
なるほど。結構、国内各社の各訳の、”いいとこ取り” のような!?

*AP(アメリカ)は、なぜか、「まん延防止〜」に相当する英訳が見つからず。あらためて「まん延防止〜」として紹介する必要がなかったのでしょうか。

スクランブル


5. ちなみに、中国語では何と訳してる?

✅  新華社(中国)

防止蔓延等重点措施 fángzhǐ mànyán děng zhòngdiǎn cuòshī
なるほど。「蔓延防止」ではなく、中国語では「防止蔓延」になるんですね。

✅ 中國時報(台湾)

防止蔓延等重點措施(比緊急事態宣言低一階)
こちらは、(緊急事態よりも一つ下のレベル)という説明がついていて、わかりやすいですね。

きょうは、ここまで。
結局私も、定訳を決めず、色々”良いとこ取り”で書きました。

今、世界の注目を集めている日本。各国のメディアでどのように伝えられているのか。言葉の観点だけでなく、その内容をウオッチしていきます。

では、また次回!

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                           ( 新宿に出現した3D巨大ネコ  撮影: AJ )

                               AJ 😀


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