「人と比べてしまう」という人間の本能を理解すると少しだけ生きやすくなるという話

2024年12月24日 15:03

仕事が終わった後、ついSNSをスクロールしてしまい、同世代の友達や同僚がキラキラと活躍している姿を見て落ち込むことはありませんか？
「比べる必要なんてないよ」と言われても、どうしても人と自分を比較してしまう。これって、特に若手のビジネスマンなら一度は感じたことがある悩みだと思います。

実は、この「人と比べる」という行動は、私たちが持つ本能の一部であり、悪いことではありません。それどころか、この本能を理解し、うまく活用すれば、人生が少しだけ楽になるかもしれません。という話をしていきたいと思います。

なぜ人は「比べてしまう」のか？その本能的な理由

人間は進化の過程で、他人との比較をする能力を獲得しました。それは、サバイバルのためです。

群れの中での地位を確認するため
原始時代、人間は群れで生活していました。他人と比較することで、自分の位置や役割を把握し、群れの中で適応する方法を学びました。もし自分が弱い立場であれば、それに応じて行動を変えることで、生き残りやすくなるからです。
競争を通じて成長するため
他人との違いを感じることで、「もっと良くなりたい」「この人のようになりたい」という向上心が生まれます。この感覚がなければ、進化や成長は難しかったでしょう。

つまり、「人と比べる」という行動は、進化の過程で私たちが生き延びるために身につけた自然なメカニズムなのです。

原始時代は生存のために役立った比較も、現代では時に私たちを苦しめる原因になります。その理由は、次のような環境の変化にあります。

「無限の競争」にさらされている現代社会
インターネットやSNSの登場で、他人の成功や幸福を簡単に目にすることができるようになりました。しかし、それらは「その人の一面」しか映していません。それにもかかわらず、私たちはそれを「完全な現実」として受け取り、自分と比べてしまうのです。
比較の範囲が広がりすぎている
昔は自分の周囲の人たちとの比較にとどまりましたが、今は世界中の人たちが比較対象になっています。常に自分より優れた人がいるのは当然であり、それに気づくたびに無力感を感じてしまいます。

では、この本能をどのようにポジティブに活かせばよいのでしょうか？

1. 「昨日の自分」と比較する

競争相手を他人ではなく「過去の自分」にすることで、より健全な比較が可能になります。例えば、昨日できなかったことが今日できたのなら、それは大きな成長です。他人ではなく、自分の進歩に目を向けることで、心が少し軽くなるはずです。

2. 比較を「参考」にとどめる

誰かの成功を見たとき、「あの人はすごい」と落ち込むのではなく、「どうすればあの人のようにできるだろう？」と学びの視点に切り替えましょう。比較は参考資料として使い、自分の目標設定や行動に役立てることが大切です。

3. 「得意」や「強み」にフォーカスする

私たちはつい他人の長所に目を向け、自分の短所を気にしてしまいがちです。しかし、どんな人にも得意なことや強みがあります。自分の強みを明確にし、それを磨くことで他人との差を感じにくくなります。

例1: 同僚の営業成績が自分より高い

同僚の営業成績が上だと、自信を失うかもしれません。しかし、成績が良い理由を分析し、「自分の営業スタイルに取り入れられるヒントはないか？」と考える姿勢を持つと、比較は成長の種になります。

例2: SNSで成功者の投稿を見るたびに落ち込む

SNSを見るときは、相手が「見せたい部分」を切り取っているだけだと認識しましょう。そして、その人の努力や背景に注目することで、単なる嫉妬ではなく尊敬や学びに変えることができます。

「人と比べてしまう」という本能は、私たちを苦しめる一方で成長を後押しするツールでもあります。
その鍵は、比較を「健全な刺激」に変えること。無理に「比べないようにする」のではなく、「比較の仕方」を変えることで、自己成長の材料にすることができます。