たけのこ@マンガライターが2024年11月に読んで面白かったマンガ!
さて11月に読んで面白かったマンガです!
いや11月はなんだか後半にたっくさん新刊が出ていたおかげで、11月発売なんですけど、まだこれ描いている時点で読めていない作品が多数あるので、そこはご容赦ください。12月に入れたいと思います。
最後、ギリギリこれ書いてから入れようか迷ったのは『さよならダイヤモンド』と『志村貴子短編集 まじわる中央感情線』。たぶん来月にいれます。面白かったです。
とはいっても12月って、今年の総括とかしてバタバタするんであんまりしわ寄せしたくないところなんですけどね(苦笑
さてと、まずは11月まとめ画像はこちら。どーん。
いやー11月は強いマンガが多かったなぁ。
単純に読んでるマンガが増えてしまった気もしているのですが、悔しくも入れららなかった作品とか、続巻もいっぱいありました。触れられる範囲で、触れようかと思います。
単純に好き嫌いなら『ふつうの軽音部』とかもぜんぜん入るはずなんですけど、もう殿堂入りしてしまった感じがあるのでぜんぜん触れておりません(笑
では個別行きましょう!
『ヨシダ檸檬ドロップス』
若木先生の新作であるこちら。
『結婚するって、本当ですか』もとっても面白かったですが、続くこちらもまた面白い。ラブコメという路線こそ変えていませんが、先生はほんと必ず新しいなにかを入れて、見たことのないものを作ってくれるの素晴らしいとしか言いようがありません。
そんな今作は京都大学を舞台に、女子プロレスラーのヒロインと陰キャ主人公のラブコメとなっております。
先生自身、京大卒出身なんだとか。いつかは描こうと思っていたんでしょうね。京大生にしかわからなそうな地場な感じとか、同志社といがみあってる感じとかも描かれているので、ぜひともそのあたりに関係のある人は手に取ってみてほしいです。
もちろんラブコメとしても上質。すばらしい作品でした。
『帰れ!大鶴谷帰宅倶楽部』
そしてこちらは新星の田中カタパルト先生。単行本は初ですよね。
「帰宅部」というのはどこにでもある、いわゆる「どの部活にも所属していない」の隠語のような存在です。しかし実際に「帰宅する」こと自体を目的として存在している「帰宅部」はあまりないのではないでしょう。
帰宅までのタイムアタックをしたり、カゲふんじゃダメとか、スゴ技を追求するとか、帰宅のためにみずからルールを設けて、どこまでも帰宅を堪能する。この小学生男子みたいなノリが非常に心地よい作品でした。
『巡る遊星』
いっぽうこちらは、ちっともかわいげのない中年男性が主人公。
一応芸人の主人公。元は脚本とかを書きたいと思っており、実際その流れで芸人としてネタを書くようになった。自分は面白いものを書ける!と信じており、それがゆえに周りともうまくいかず、愛想がいいとも言えないし、独善的ともいえる。
周りともちっともうまくいかないんだけれど、それでも求められるときもあって、なにやらゴテゴテ対立しながら進んでいく。この、なんかちっともまっすぐ行かない感じがいいんですよ。リアル……というと違うかもしれませんけど、すべてがかみ合って素直に進むなんて、あまりにもマンガっぽ過ぎるじゃないですか(笑
1巻ではまだ正直進む方向とかも読みづらいところはあるのですが、この質感が目新しいし、興味深い作品です。
『夏のモノクローム』
これ面白かったですよ。みんなにも読んで欲しいです。
昭和の日本映画の黄金期に、脚本家として頑張る女性のお話。
フルアナログなのかなぁ。白と黒のコントラストがはっきりしていて、それが独特の空気を作ってるんですよね。単に黒といっても、薄いくろから濃い黒までいろいろあって、水墨画のような風合いがあるんです。それが、人物たちの気持ちとか、ストーリーを際立たせています。
絵的にはPOPかといわれたら違うかもしれないのですが、読んでもらえばこの良さは伝わるはずです。いい作品です。
『織田ちゃんと明智くん』
これすき~。
逆転生新選組の記憶もちのJKたちのお話とかも好きだし、もしかしたらわたしは逆転生ものが好きなのかもしれません(笑
基本、歴史は好きじゃないし、歴史ものも苦手なので、転生していいとこだけつまむくらいのテンションがあっているのかも。
さてこちら、ヤンキーと女の子が告白して、うまくいった!チューしよう!とした瞬間、前世の記憶がよみがえる。じつは女の子は織田信長、ヤンキーは明智光秀だったのでしたというハイテンション転生歴史ラブコメディ。
前世の記憶を持ちながらも、いまの人格も生きている。女の子を好きな気持ちももちろん持ち続けている。相手がかりに自分が裏切って、命を奪った相手だとしても……
そんな複雑な背景を持ちながらも、高いテンションでワチャワチャ魅せてくれるとっても素敵なマンガです。アニメにしよう。
『若草同盟』
今月のSHURO枠(笑
いや枠で選んでるつもりはないのですけど、SHUROの持つ方向性とかが好きなんですよね。だから連載作品はだいたい好きっていう。
こちらは『あそびあい』などの新田章先生の作品です。
スーパーの店員の女性と、会社員の男性が結婚し生活を共にしだす。そしてなかなかギリギリ感もありながらも、つつがなくふたりの幸せな生活は続いていたのですけど、あるときその線が途切れ、ふたりの生活は新しいフェイズに入っていく……みたいな感じかしら。
ヒロインはマンガを書こう!って思い立つところで1巻終わりますので、「漫画家マンガ」的な雰囲気にもなってくる感じでしょう。
こちらの作品も、どんな作品です!って言いづらい感じはありますが、なんだかどこか危うい緊張感があって、ヒリヒリするのが独特の空気になってます。
『アパレルドッグ』
そして今月のアパレル枠……いやそんな毎回あるわけじゃないですけど、アパレルというかファッションもなんか好きな作品が多い気がいたします。ま、単純にわたし服好きだしね。
そんな今作。
洋服を企画し、デザインし、世に送り出す。そんなアパレルにおける編集者のような立ち位置の主人公。女性ものしか作っていない会社で働いていたけれど、今度はメンズラインを出します!という会社の方針にのっとって奮闘します。
メンズって、正攻法じゃ売れないんだなぁと思わされる奇策がなかなかあっぱれ。実際にこの方法がどうなのかはわかりませんけど、面白いなって思いました。大人になっても自分で服買わない男なんて沢山いますからね。
実際に先生はファッション業界で働いていたそうで、そんな地に足の着いたリアリティがすばらしいです。
『歌舞伎町ヒステリックドリーマー』上下巻
『くるくるくるま ミムラパン』の関野葵の新作です。上下巻で完結しています。
歌舞伎町を舞台に、東横キッズならぬ「K下キッズ」たちが世界を救うお話?というとだいぶ違うか(笑 いや姉妹愛とか社会問題とか能力バトルとかいろんな要素が絡みあってて、ひとことで説明しづらい部分はある気もします。
ただ、先生らしい魚眼っぽい構図で、上下に広さのある絵柄なんかも満載で、これがとってもいいんですよね。やっぱSFは高さが出てないと(そもそもSFじゃない
なんにしても上下巻できちっと終わっているので、ちょっとの合間にぜひとも読んでいただければと思います。
『羊角のマジョロミ』1~3巻
そして鬼才、阿部洋一先生の作品。この3巻で完結いたしました。
マンガを描く男の子、そしてその世界に居心地の良さを感じる女の子。いつしか現実がマンガに取りこまれ……
メタがメタを呼ぶような重層的な構造で、時系列?が飛んだりもするので、難しさもあったかもしれません。でも、先生のとってもキャラクターチックなかわいいキャラクターたちと、それに反した暗黒面の濃いストーリーがクセになります。スク水、お好きなんですね。
『それはただの先輩のチンコ』とかに比べたらぜんぜんPOPに読めるので、一度どうぞ。いや、こっちも十分POPなんですけどね。
『宝石の国』13巻
そして13完結いたしました。『宝石の国』連載お疲れさまでした。
ちょうど108話で終わるっていう離れ技。そもそも「108」が「ちょうど」なのは日本かインドかくらいだよっていうポストも回っておりましたが(笑
キラキラした宝石たちがキャッキャうふふしているお話かと思いきや、なにやら壮大で闇の深そうな背景が見え隠れし、傷つく宝石たちに儚さを感じ、そして諸行無常とでもいうべき最後。もう五体投地で、ひれ伏すしかない、あまりにも天才の所業だったかと思います。
まあわたしは『ダンジョン飯』の久井先生も天才だと思ってますし、1年にひとりくらいは天才っている心持ちです。実際いるしな。
今月はアニメもYouTubeで見れるはずなので、もし原作未読とか、アニメ未視聴とかの方は一度どうぞ。思ってるのと違うんじゃないだろうか。わたしも今、これアニメ見ながら書いてます。すごくいい。
その他
そして惜しくも10作には入りきらなかった作品をいくつか。
強い作品ばかりですね。『うどんの女』はひいき目もあるかもしれませんけど(笑 好きなんですよねえすとえむ先生。
その他のその他
そしてその他のその他は、今月の新刊じゃなかったり、特に取り上げたいと思ったマンガたちです。
『DUCKS(ダックス)仕事って何? お金? やりがい?』
これ、オバマが絶賛したとかで、アメリカの油田採掘場で働く女の子お話。著者の先生自身の経験をもとにつづっている自伝的マンガになります。
多分ですけど、アメリカってこういう「現場」感のある作品が少ないんじゃないかと思うんですよ。いやそれは日本のマンガ事情がすごく手厚くて、いろいろなジャンルや分野にまで及んでいるということの裏返しにすぎないのですけど。
でもだからこそ、その「現場の事情」が読むことができたからオバマはうれしかったんじゃないかなぁと。
で、じゃあなにが描かれているかといいますと、主にセクハラです。
閉鎖された空間でセクハラはダメです!と表向きはきっちり規制されているし、教育は浸透しており、みんなダメなことは知ってはいる。
でも女子が圧倒的にすくない現場ではセクハラ的発言は日常茶飯事だし、ときにはレイプさえも……。この、外からは見えない現場感が刺さったんじゃないかなぁと勝手に思っております。
『桃色メモリー』
で、こちらの山田参助先生の作品も面白かったですね~。さすがおっとどっこいを描いているだけのことはあります。
エロマンガじゃないけど、下ネタギャグ満載で描かれた今作。面白いんですよね。いや、エロマンガなのか?(笑
まあとにかく絵が抜群にうまいなって思います。なんかこう日陰者の矜持みたいなものを感じるんですよね。単に、下ネタが好きなだけかもしれません。
『大皇ガール』
あ、これ電子書籍のみなんですね。
いや、わかるといえばわかりますけれども(笑
タイトルは『大皇ガール』ですけど、表紙良く見てください。「大」の字の上にほうにウニャウニャって書いてありますよね。これ、「天皇の娘」が主人公の皇室ロボットアクションなんですよ。表向きさすがにちょっと……という配慮のもとこうなったんでしょうね。
その題材の稀有さをきちんとエンタメにしているし、基本は幼女ロボットアクションだし、もう一声!と思うところもあるんですけど、この挑戦心に乾杯したくなった作品なのでした。
『キリング・アンド・ダイング』
そして今月最後に紹介するのはエイドリアン・トミネの『キリング・アンド・ダイニング』です。面白かった~これ。
トミネは『長距離漫画家の孤独』が出たときに、へ~そんな人がいるんだ~くらいのつもりで認知しまして、すでに名高い感じでしたからいずれは……と思っていたのですが、ここにきて初購入。そして大好きということを知ったのでした。
バンドデシネの短編集で、中身は色々、雰囲気も色々ではあるのですが、どれもちょっとユーモラスの感じがいいんですよ。これ、海外のこの手の作品ではあんまりない気がします。真面目で、切れ味の鋭い作品のほうが邦訳されやすいってことなんでしょうか。そんなファニーさもあってとっても読みやすいです。
はやく他の作品も読まないと。また好きな先生が増えました。
というわけで、11月分は以上ということで。
あといくつ寝ると「このマンガがすごい」も出ますね。わたしの今年の総決算もそろそろ作っていかないと。皆様もよい師走を。
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