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母親という怪物

母親が、わが子を守るために、盲目的で狂信的になってしまうというのは、よくある話だ。

親と子という関係上、周囲の人や当事者自身にも、その関係が歪んでいるのかどうか判断しづらいことが問題を悪化させる。そして、そこに学校という組織が関わってくるとき、その閉鎖性ゆえに事実は混沌としやすい。

そんな混沌のただ中から、真実を探ろうとした作品が、今作「モンスターマザー―長野・丸子実業「いじめ自殺事件」教師たちの闘い―」だ。

いじめで自殺した子供の母親が、学校の校長を訴えた

これだけ聞いたら何を思うだろう?

どんな酷いいじめだったのだろう。子供は辛かっただろう。学校は、また見え透いた嘘を付いていたりするんだろうか。お母さんは子供を失って可愛そうだ。学校を訴えても仕方ないだろう。

そんな様々な憶測が頭をよぎったと思う。だが、メディアによって伝えられたそんな報道に反し、事実はそれほど単純ではなかった。母親の訴えに学校側は真っ向から反論し、逆に母親を訴えたのだ。

「いじめなど無かった。そして自殺した原因は学校ではなく、母親のネグレクトではないか」

加害側を庇ってか、学校がいじめを認めないことはままある話だが、逆に訴えるとなると話は違う。そこに、それなりの根拠が無ければ打って出ることはできない。

本当の加害者は誰だったのか?

マスコミによってなされた偏向報道。その影に隠れた真実を、詳細な調査により、解き明かしていく。真実などというものは、一面的なものに過ぎないけれど、ひとつのものの見方を示してくれる。

そんな衝撃的なノンフィクション作品。平穏な秋にぴったり、とはまったく言えない。だが、一読の価値のある作品です。是非。


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たけのこ
「欲しいものリスト」に眠っている本を買いたいです!(*´ω`*)

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