夫のちんぽが入らない【レビュー】【本】【漫画】
「夫のちんぽが入らない」
誰がどうみてもインパクトのあるタイトルがついた作品ですよね。そして、中身もなかなか衝撃的であり、話題になったのも納得のひと品です。
そして先日ゴトウユキコさんの作画でコミカライズされたので、本の方も読みなおしてみました。
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今作はとにかく、最初から最後まで「夫のちんぽが入らない」という事実を中心に進みます。
だからこそ、この作品のタイトルは、「夫のちんぽが入らない」以外は考えられません。この主軸がズレていたらこの作品は普通の私小説で終わっていたはずです。
そして、この「インパクトのあるタイトルは生かしたいけれど、あまり直接的に見えすぎるのは避けたい」という、編集者さんやデザイナーさんの苦悩が透けてみえるので、上に貼った新書版のデザインが私のお気にいりです。
比べるのは良くないと思いますが、文庫本からは「このタイトルで出しても大丈夫だな」という安心感がただよっているような気がしてしまうのです。きついことを言えばヌルさを感じてしまうわけですね。
漫画の方は、「走って夫を追いかけていく中で、ジャンプして転びそうになったり、何かに気がついたりしている」という感じでしょうか。
作品の内容をおおまかにとらえて表現している感じですかね。1巻はまだまだ導入でしたので今後の表紙も気になるところです。
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漫画の作画をしているゴトウユキコさんは、これまでも「R-中学生」とか「ウシハル」といった、味のある絵柄でフェミニンな女性を表現してきた方のように思います。
そしてこのコミカライズは「あまりにもハマりすぎている」と本当にビックリしました。いい意味で、私が文章から感じた映像がそのままそこに描写されていました。
もちろんゴトウユキコさんは漫画を描く上で、原作を何度も読みこまれたのでしょう。雰囲気を壊さないよう、どう表現したら一番よいのか悩んで描かれたのだと思います。それにしてもここまで、同じ空気感を出せるものだろうかと。
脚本の段階から、役者をイメージして書く「当てがき」というのは良くある話ですが、これはまるで「ゴトウユキコさんに描かれるための原作」のようにすら思えてきます。勿論そんなことはないんですけどね。
ゴトウユキコさんだけでなく、ゴトウユキコさんに描いてほしいと画策した人のファインプレイだなと、そんなことを感じました。
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漫画は1巻が出たばかり。まだまだ話の導入部分と言ったところです。
この機会に漫画から入ってみるのも良いでしょう。原作自体も、分量は普通ですが文体のせいでしょうか、かなり読みやすいです。「さわやか」という作品ではないと思いますが、話題にたがわぬ素晴らしい作品であることは間違いありません。
皆様も秋の夜長に「ちんぽが入らない」気持ちにひたってみてはいかがでしょうか。
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