かつお節のオーガニック認証について
2023.07.11【追記あり】
先日、弊社宛に『商品をオンラインショップで販売しないか』という営業のメールをいただきました。
こういったことは頻繁にありますので、さらっと目を通しておりました。
しかし、そこにはちょっと気になる但書がありました。
この会社さんは、創業は2016年のため、新しい会社というわけではありませんし、オーガニック界隈の方には、ある程度名前が知られているところです。
メール本文中の内容も少し気になったこともあり、返信をしたところ、行き違いなどもありましたが、やっとこちらから送った内容をご覧になられました。その内容は
そこで帰ってきた返事はこちら。
私はここに、非常に大きな疑問を持ちました。
どこに疑問を持ったかといいますと、そもそもかつお節は『オーガニック認証』というもの自体が取得できないものだからです。
『オーガニック認定』や『有機JAS認証』というものが、日本にはありますが、それらは国が認めた機関が一定の基準を示して、それに沿った認定を行っています。しかしその中で、魚の有機JAS認証は魚については『養殖魚』のみが入っており、天然魚はそもそも入っておりません。
これは天然魚というものは、生育環境や食べている餌などが明確に証明できないためです。
特にカツオのような回遊魚は赤道直下から様々な海域を泳いで回る為、餌も生息域も調査や追跡が困難となります。
私は以前、天然魚の取扱について有機JAS認証機関に尋ねたことがあり、上記のような回答をいただいたため、天然魚を使用しているかつお節などを認証することは非常に困難(というよりも、今の状況では非現実的)である、という旨を伺いました。
さて、上記の内容が頭にあった上で、問い合わせをいただいた
『御社の商品がオーガニックでしたら、ぜひご出品いただきたいと思い』
という言葉は、かつお節がオーガニック認証を取れない食品であるという事実を知らない人からの問い合わせという事になります。
これが一般的な食品販売店さんであれば、「ちょっとこだわりの商品を探していて、ご存じないのだろうなー」とか「なんとなくオーガニックとかの響きの良さげな商品を探しているんだろうな」という程度の認識で、お話をさせていただくのですが…
今回ご連絡をいただいたところの自社紹介文には
とありました。
今回お問い合わせをいただいた方は、審査部門の方で、審査部門という事は、商品選定と販売の可否を決める部署になると思われます。そういった会社の方針の軸となる部署の方からのメールとして、今回はやや疑問が生じましたので、このように返しました。
実際このメールに返信が来るのかは疑問です。
ただ、『日本一厳しい基準』で商品を選定されていて、オーガニックを標榜されている会社さんであれば、既にお取り扱いの商品についてはある程度の基準があるとおもわれますので、その点を伺ってみたいと思っております。
今のところ、かつお節や天然魚類のオーガニックや有機JAS認証の取得は難しく、取得は不可という、ある意味逆転の現象が起こっておりますが、『言葉遊びではない』本質をとらえた良い食品の商品選定をしていただきたいと思っております。
先方がある程度きちんとした認識でお考えであればよいのですが、間違った認識でかつお節類に関するオーガニック認証を捉えられてしまいますと、業界全体だけではなく、日本の食文化にも影響を与えてしまいますので、その場合にはきちんとお話をしていきたいと思います。
言葉に縛られず、目先に囚われず、本質を考える知性と見抜く目が必要とされる時代だと、つくづく思います。
【追記】
2023.07.11現在、こちらから問い合わせた【かつお節のオーガニックの基準】についてなど、一切返信がありません。
非常に残念ながら、今後もこういった内容への返信は期待はできないものと思われます。