大塚 麻衣子 / かつお節コーディネーター

東京都中央区という都会のど真ん中にあるかつお節の荷受け問屋 タイコウ に勤めています。取締役営業兼目利き見習い。 人生を変えるほどの衝撃を受けたかつお節を残したくて、料理人からかつお節屋の世界に転身。 料理人もかつお節屋も知らない、忘れ去られてしまった、そんな話を中心に書きます。

大塚 麻衣子 / かつお節コーディネーター

東京都中央区という都会のど真ん中にあるかつお節の荷受け問屋 タイコウ に勤めています。取締役営業兼目利き見習い。 人生を変えるほどの衝撃を受けたかつお節を残したくて、料理人からかつお節屋の世界に転身。 料理人もかつお節屋も知らない、忘れ去られてしまった、そんな話を中心に書きます。

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忘れ去られた かつお節の話。

はじめまして。かつお節問屋 タイコウの大塚麻衣子と申します。 このnoteには、かつお節に関わる話を中心にお出汁やお料理、食についてなどの四方山話まで書いていこうと思います。 その前に、私の背景について、どうしてかつお節屋になったのか書いていきます。 男社会で世襲の相が色濃く残る世界に、血縁でもない女の私が飛び込んだのか。 そして、今わたしが何をやっているのか。 1. かつお節屋になろうと考えるまで私は18歳の時に地元の九州から東京に進学して専門学校に通い、卒業後は動物病

    • 近海一本釣が単なる看板ではない理由

      先日、SNSの方に『同業者』と思しき方から、このような言葉をいただきました。 『カツオの漁法でそこまで味が変わるとか…看板つけたいだけだろ?』 正直に申します。 「え?本気でそれ言ってるの?」 と、私はビビりました。 かつお節になった場合に、全く別物になっている、品質が天と地ほども違うという事実を把握されていない旨の発言があり、個人的には非常に残念だと感じました。 と、同時に、かつお節の美味しさを知る機会がないのではないだろうかという悲しさもあります。 ですので、きちん

      • 優良誤認と無添加への盲目的信仰の問題

        前回のnoteで、かつお節のオーガニック認証について書きました。 そこでは、オーガニックや有機JAS認証を取得した食品を中心に扱っている会社とのやり取りについて記載しましたが、これは現代の日本に溢れている、」盲目的な無添加信仰の問題が表出していると考えます。 かつお節とは少しお話がずれますが、今回は今の日本における「優良誤認表示」と、それらを鵜呑みにする人の「無添加への盲目的信仰」について、少し辛口で書いていこうと思います。 ひょっとしたら、皆さんの中にはこの記事に反感を

        • かつお節のオーガニック認証について

          2023.07.11【追記あり】 先日、弊社宛に『商品をオンラインショップで販売しないか』という営業のメールをいただきました。 こういったことは頻繁にありますので、さらっと目を通しておりました。 しかし、そこにはちょっと気になる但書がありました。 この会社さんは、創業は2016年のため、新しい会社というわけではありませんし、オーガニック界隈の方には、ある程度名前が知られているところです。 メール本文中の内容も少し気になったこともあり、返信をしたところ、行き違いなどもありま

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        忘れ去られた かつお節の話。

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        • かつお節問屋の出汁語り
          7本
        • かつお節コーディネーターが綴る かつお節との関わり方
          7本
        • 味覚と精神性
          4本
        • かつお節の取り扱い説明書
          6本
        • かつお節の未来について
          2本
        • かつおと昆布と出汁の地域性の話
          2本

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          ラジオ出演のお知らせ

          先日、魚食系ラジオの「JUNK FISH!」のお二人の番組に登場させていただきましたー。 (こちら、↓のポッドキャストでお聞きいただけます。) 実は我が家で週録をしておりました(笑)。 この次は、「やさいやふうど」の 野村 トモカズ さんも登場しており、実はこれも一緒に我が家で収録。 野村さんの会では、私もガヤでちょっとだけ出ています。 私のお話している内容は、まあいつもと同じく『タイコウのかつお節』についてです。 思いのほか収録時間が伸びてしまったのですが、聞いていただい

          鰹節削り器での怪我を考える

          かつお節を削る際に、皆さんが最も気になることは【怪我】ではないでしょうか。 鰹節削り器というものは、刃がこちらに向かってついている為、危険性を考える方は少なくありませんし、それは大切な事です。特に近年はお子さんと一緒にかつお節を削ろうとお考えの方も増えており、怪我の予防に常に軍手の着用や、そもそも刃物が出ていない(怪我をしにくい)形の削り器を選ばれる方もおられます。 ただ、私はここで一つ皆さんにお尋ねしたいことがあります。 『怪我をするって、そんなにいけない事でしょうか。』

          取扱説明書【節は冷蔵庫に入れてはいけない理由】

          今回は、姿節を扱う方に向けての説明です。 削り節の事ではありませんので、ご注意ください。 まず『節』とは、姿売り(一本売り)のかつお節のことを指します。 形状によって、『本節』又は『亀節』といいます。 「本節」は、一尾の鰹を三枚におろした後に、背腹で柵に切り分けて四本に分けて作られたかつお節の事を指します。 「亀節」は、小さい鰹を三枚におろして、半身で作られたかつお節のことを指します。 そして、それらを削ったものを『削り節』といいます。 今回は、削っていない、姿売りのかつお

          取扱説明書【節は冷蔵庫に入れてはいけない理由】

          自分で自分の首を絞めていないか?

          少し過激なタイトルを入れましたが、これには理由があります。 先日、全国鰹節類青年連絡協議会(以下、全鰹青)という、まあ鰹節類に関わっている事業者の青年(といっても中年代もいらっしゃいますが)会の全国大会が、東京で開催されました。 とはいっても、今回はコロナの影響で規模は格段に縮小され、各地区の代表者と東京地区、そして来賓の方がごく少数の、総数で30名程度の非常にコンパクトな会でした。(平時なら150名以上) その中でぽろぽろと聞いた話で、本節(いわゆるカビをつけて、1本丸の

          自分で自分の首を絞めていないか?

          天然カビのかつお節について

          近年、家庭でお味噌づくりやお醤油づくり、甘酒づくりをされる方が増えています。その中でも、もう一歩進んで自宅で製麹(せいぎく:麹を作ること)される方も出てきており、醸造や発酵というものに興味関心を持たれる方が以前と比べて格段に増えたと感じています。 菌をつけている物で、結構最近多く見かけるのが『天然菌』を使って醸すという風潮です。パンでは、昔からレーズンなどで興す「天然酵母パン」があったため、その延長として天然の菌に興味を持たれているのだろうなと推測します。 うちにも以前から

          NIPPON FOOD SHIFT トークセッションに登壇します

          直前のお報せで恐縮ですが… 現在、農林水産省が推し進めております、食と農のつながりの深化に着目した新たな国民運動「食から日本を考える。ニッポンフードシフト」に、弊社の取引先でもあります、株式会社D&DEPARTMENT様が連携しまして、「D&DEPARTMENTもニッポンフードシフト」を2月10日より展開されております。 そのプログラムの一つとして、2/23(水・祝)に、オンラインでトークセッションが配信されます。 (今回は事前収録となりまして、実は今朝収録が終わりました

          NIPPON FOOD SHIFT トークセッションに登壇します

          取扱説明書【かつお節がうまく削れない方へ】

          またまた書きますが、最近弊社では節がよく売れるようになっています。 正直、社長含めスタッフが驚くくらい、節の売り上げが少量でもずっと伸びています。 めちゃくちゃ嬉しいです。 でもそれと同じくらい、ある『お悩み相談』が増えてきました。 その相談内容が『かつお節がうまく削れません!(涙)』ということです。 これは仕方がないことです。 かつお節削り器という道具が、皆さんの生活から遠のいて、既に「珍しい道具」「骨董品」「丁寧な生活をする人が使うもの」「プロの使うもの」というイメー

          取扱説明書【かつお節がうまく削れない方へ】

          取扱説明書【かつお節は洗う?洗ってはいけない?】

          最近、節が良く売れるようになってきています。 若い方からの購入が増えており、世代が、一周回ってきた感じがしています。 また、海外の方からのご注文も増えてきています。 これは、『日本食が健康にいい』という昔からの話を耳にされた海外の方や、海外在住の日本人の方がお求めになられているようです。 そこで気になるのが、節の扱い方。 弊社では、商品に扱い方の説明を書いた紙を入れておりますが、こちらでもテーマごとに分けて短めの内容でさらっと読めるように、改めて節の取り扱い方を書いていこう

          取扱説明書【かつお節は洗う?洗ってはいけない?】

          良いお客様とのご縁を得るには…

          先日の事ですが、知人から連絡がありました。 その内容がちょっと面白く、このようなものでした。 「あなたがnoteやTwitterで書いている事、そのまんまを言っている人が、営業で店にやって来た。」 某大都市圏の出汁素材を色々と扱ってい会社のようで、かつお節や昆布を売り込みに来たそうです。知人(料理人)の勤めるお店では、長くお付き合いしている取引先があるので、料理長さんが『変えるつもりはない』と一度は断ったそうですが、営業さんの自信満々な物言いと態度に、『ならば一度試してみ

          良いお客様とのご縁を得るには…

          【酸味の出ないかつお節の選び方】

          出汁を引くときに、一番多い悩みや相談は、酸味が出るという事。 これは原因が明らかなので、実は誰でも、結構簡単に、酸味のほぼ出ないかつお節を、選ぶことができます。 それは、『一本釣りのカツオを原料としたかつお節を選ぶ』ことです。 酸味の原因は「乳酸」です。 まき網で獲られたカツオは、網の中で暴れまわり、最終的に息絶えるまで、狭い網の中で他の魚と身を叩きあったり、潰されたり、水から出て息のできない苦しさから、必死ビチビチと動き回り続けるのです。 そのため、発生した「乳酸」が筋

          【酸味の出ないかつお節の選び方】

          トンガ 大噴火の影響

          まずは、被害に遭われました皆様にお見舞い申し上げます。 日本時間で2022年1月15日、トンガの首都から北におよそ65㎞離れたところにある海底火山、フンガ・トンガ=フンガ・ハアパイが大規模な噴火をしました。これにより、現地では多くの被害が発生し、15m級の津波の他に大量の火山灰の降下による飲み水の汚染や、噴火によって排出された二酸化硫黄による酸性雨の影響などが考えられますが、今なお現地の状況は詳しくわかっていません。 この噴火によって発生した津波は、日本にも1.2~60cm

          味覚と知性

          うちは、かつお節を専門に扱っている問屋です。 その味は、間違いなく日本一のものであると自負しておりますし、それに見合うだけの仕事もしていると思っています。 そして価格も決して安価ではありません。 (いや、全体で見たら実は全然高い方じゃないんですけどね…) 一流の料理人の方々の、目を開眼させるだけのものであると思っていますし、事実、気づいてお使いいただいている方からの口コミで、現在は多くの一流の料理人の方々にご用命をいただくようになりました。 ところが、圧倒的に美味しいは