パンダのマスクと桃のコンポート。
梅雨の中休み二日目は、思ったよりもしんどくて。
ランチですら外に行くことを迷うほどだった。
午前中の仕事を片付けて12時半。
意外とかかってしまったな。
そう思いながら会社を出て道を渡ったところにある、弁当屋さんに向かう。
真っ白なペンキで塗られたその店は、優しい老夫婦が営んでいていつもニコニコしながら店に立っている。わたしのお気に入りのひとつだ。
カウンターに立つおじさん、今日はパンダ柄のマスクをしていて、とても可愛かった。
どれもワンコインのお弁当はいつも目移りしてしまう。
でも今日は、12時半なのに残るお弁当は1つだけだった。
白身魚のフリットが入った日替わり弁当。
最後の一個を指差し、500円を払う。
あと、おじさんマスクがかわいいね。
ちょっと耳の遠いおじさんはキョトンとしていて、
おばさんに言われてようやく理解していた。
「ありがとう。じゃあこれ」
おじさんはこの辺りで有名な洋菓子屋さんの小さな紙袋をくれた。
ももが3つ。
入っていた。白いふわふわのに包まれた淡いピンク色のもも。
顔を近づける広がるちょっとだけ酸っぱい香り。
パンダのマスクを褒めただけなのに、とっても得した気分になった。
会社に戻り、弁当の後に給湯室で桃をむいて食べた。
ジューシーな果汁は優しい甘さで、食べれば食べるほど幸せになれる。
ももは魔法使いかもしれない。。。
仕事を終えて家に帰る。
今度はコンポートにしちゃおう。
もも2つ。
皮を剥いて身をそぎ、小さな鍋にいれる。
砂糖大さじ3、塩ひとつまみ
水300cc白ワイン150cc。
ゆっくりゆっくり弱火でコトコトことこと。。。
ももの優しい甘い香り、ぶどうの酸っぱい香り。
私の部屋が幸せの香りに包まれた。
パンダのマスクがくれた、小さな幸せ。