おせったい

四国では､お遍路さんに
食べ物や行動で饗(もてな)す御接待という
　　　　　　　　　　　　　　風習がある｡
遍路には憧れていたが､
自分とは縁遠いのだろうなぁと諦めていた｡

ある時､僕を強引に誘い出してくれた人が
　　　　　　　　　　　　　教えてくれた｡
『 aiwadouさん､
　遍路は御接待を断わってはイケないと言う
　　　　　　　　　　　ルールが有ります』
たとえ差し出されたモノが､
　　　　　　　　自分の欲しい物で無くとも､
断わってしまうと相手の優しい気持ちを
　　　　　　　　踏みにじる事に成るので､

『 送るから車に乗りなさい 』と言うような
　　自分の横着を誘うようなモノ以外は､
　　　　　　　断わっちゃイケないんです｡

そうでないと､断られた方が､
　　不快な思いや 恥ずかしい思いを
　　　　　　　　　　　　感じてしまったら
その方は､
もう御接待を出来なく成ってしまうかも
　　　　　　　　　　　　　　　知れない｡
そうすると､
　　　　本当にコマっている遍路がいた時に
接待を断わった遍路のせいで､
　　　　別の遍路が迷惑するかも知れない｡

御接待とは､モノの受け渡しのように見えて
本当は､気持ちの受け渡し､
　　　　　縁の受け渡しなんですと
　　　　　　　　　その人は教えてくれた｡

実社会でも､私は 人様との食事を残さない｡

それは､気持ちを戴いているからだ｡

僕の食の好みは関係ない｡
その一口の辛抱の方が､
　　　　　あとあとの悩みに比べれば軽い｡

気づかいだと思っていた事が
場合によっては､
　　相手を遠ざけてしまっている事がある｡

人と人は､関わり合ってしか生きてはいけない
自身の気づかいが､
　　　　　我儘(ワガママ)に成っていないか､
すこし立ち止まって考える必要が
　　　　　　　　　　　あるかも知れない｡