過去に「好きなもの」を否定されたことをいまだに根に持っているけど、やっぱり星野源さんが好きだ
「あ〜なんだろう、すっきり〜〜〜!」
これは、先日わたしが星野源さんの新刊『いのちの車窓から2』を読み終えたときに、一番に思ったこと。
星野源さんは、愛情深くて、とても繊細で、そしてほんとうに一生懸命生きている。その姿を文字に乗せて、見せてくれたように思う。
とりとめのない日常に目を向けているのは、『そして生活はつづく」から変わっていないのだけれど、『いのちの車窓から2』ではより生きる強さを、周りの人への愛を深く深く感じるエッセイばかりだった。(そして、本当に文章がお上手!!)
そんなふうにこの本に浸っていたのに、突如脳裏に浮かんだのは、13年ほど前のこと。
私が初めてソロの星野源さんの音楽に出会った日、それと同時にひどく腹が立った日のことだ。
当時、毎日J-WAVEを聴いていた。通勤時間はもちろん、家で家事をする時もぼーっとする時も聴いていた。
ある日流れた曲。
♪髪の毛の匂いを嗅ぎ合って〜くさいなってふざけあったり〜
このイントロ、「どこを嗅ぎ合ってるの?」という疑問が何よりも先には浮かんだが、それよりもスーッと入ってくるメロディーと声にびっくりした。体をメロディーが巡ってくるような感覚だった。
そのあと調べて知ったのだが、それは星野源の2ndシングル『くだらないの中に』だった。
あまりに興奮して「これはすごい」「この人一体誰⁉︎」「サケロックの人なの⁉︎」とばぁぁぁぁと星野源さんの情報を浴びてものすごく興奮した。
それで、その日の夜、同時付き合っていた人に「すごい人がいた」と伝え、曲を聞かせた。
私もその人もバンドマンだったので、きっと共感してもらえると思っていた。いや、共感して欲しかったわけではないけど、この興奮を聞いて欲しかったし、普通に「いい音楽に出会えてよかったね」くらいの態度は取ってくれると思った。
しかし、曲を聞いたあと、その人がドライに放った一言。
「あぁ、流行りそうな曲だよね」
…
…は?どういうこと?
いやいやいや、聞いてなかった?私のこの興奮。
すっごく私に刺さる音楽だったのだけど!!それに対してその返し?
は?ふざけてる?え、もう一回言ってくれる?
別に良くね?別に君の好みじゃなくても全然良いのだけど。強要するつもりはまったくないのだけど、その興味のない極みみたいな言い方はなんですかね???
心の中でたくさんの言葉が高速でタイピングしてるみたいに流れていたけど、それに反してまったく言葉が出なかった。フリーズだ。でも少し間を置いて私は言葉を絞り出した。
「そうだろうね」
それでその会話は終わった。
議論する必要もなければ、何かいう必要もない。音楽の好みは人それぞれ。でも人の「好き」に対して返す言葉として、冷たすぎやしないか?今考えても、これはあの時のベストアンサーであり、腹立つと人はフリーズすると学んだ瞬間でもあった。
まぁ本当に興味がなかったんだろうから、全然いいんだけど。
でもそれからだいぶ経って、星野源さんの本を読んでいる自分がいること。
毎週オールナイトニッポンで笑わせてくれる星野源さんがいること。
子育てにおいても星野源さんに救われたこと。(子育てと星野源さんの話はこちらに書きました)
それだけであの時に出会ってよかったなと思う。こんなエピソード付きなのも忘れないからいいか。
そして、後半に出てくる「首筋の匂いがパンのよう」って歌詞は、焼きたてのパンなのか、パンの入った袋を思いっきり嗅いだ時の感じなのか、いまだに気になっている。
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