一日一句【菜根譚】#96 『居高思危,当局莫迷』当事者は状況に迷いやすいが、傍観者は冷静に見える
居高思危,当局莫迷
訳文: 職位が低いときに初めて高い地位の危険を知り、目立たない場所にいるときに初めて目立つことの危険を知る。静かにしているときに初めて動き回ることの疲れを知り、沈黙を守るときに初めて多弁の軽率さを知る。
居高思危 (きょこうしき)
意味: 高い地位にいるときには、常に危険を考え、慎重に行動すること。
解説: 高い地位や権力を持つと、その立場に伴うリスクや危険を忘れがちです。しかし、常にその危険を意識し、慎重に行動することが重要です。
当局莫迷 (とうきょくばくめい)
意味: 当事者は状況に迷いやすい。
解説: 物事の中心にいる人は、冷静な判断が難しくなることがあります。外部から見ると明らかなことでも、当事者には見えにくいことが多いです。
現代の解釈
この文章は、現代の生活にも通じる深い教訓を含んでいます。例えば、夜道を歩くときに懐中電灯を使うよりも、何も光を使わない方が安全に歩けることがあります。懐中電灯の光は限られた範囲しか照らさず、目が暗闇に慣れないため、かえってつまずきやすくなるのです。
同じように、高い地位にいると多くのことが見えるかもしれませんが、低い地位にいる人からはその人が崖っぷちに立っているのが見えることがあります。これは「当局者迷,旁観者清」ということわざに通じます。つまり、当事者は状況に迷いやすいが、傍観者は冷静に見えるという意味です。
まとめ
現代社会では、誘惑が多く、私たちはしばしばその中に溺れてしまいます。例えば、汚職官僚は、公金を横領して美食や女性を楽しんでいるとき、自分の行動の危険性に気づかないことが多いです。しかし、周りの人々はその危険性をはっきりと見ています。
だからこそ、私たちは常に冷静な頭を保ち、状況に流されないようにすることが重要です。自分が「入局」したときも、その「局」に迷わされず、入局前に見えていた危険や罠を忘れないようにしましょう。
このように、古代の知恵は現代の私たちにも多くの教訓を与えてくれます。日常生活の中で、これらの教訓を活かして、より良い選択をしていきましょう。
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