見出し画像

私の海外出産ものがたり。 Part 20 おにぎり

胎盤が出てきた後、
私は大量の出血でふらふらになっていた。
気を失うようにうとうとと眠りにつき、
ふと気がついたら、時間はもう朝方だった。
赤ちゃんはへその緒と胎盤はまだ切っていなかった。

身体を休めるため、眠ってみようとしたが、
マラの家は村のようになっていて、
毎日いろんな人が訪ねてくる。

外はなにかと賑やかでなかなか眠れなかった。

出血もなかなか止まらなかったので、
トイレにも通い続けた。

赤ちゃんはずっと寝ていた。

そんな中、
プナから友人夫婦が訪ねてきてくれた。
前の日の陣痛の時、
心が不安定になった瞬間があり、
思わずメールでその友人に弱音を吐いていた。
彼らは訪ねてくる前に電話で、
何かいるものはないか?と真剣に聞いてくれて、
異国で無謀とも思われる出産にトライしている私たちを
助けようとしてくれた。
いるものはたくさんあったけど、
私は彼女に思わず、
おにぎり....とリクエストしていた。

彼女はマクロビの実践者で、お料理の達人。
気がついたら、
私はそんなリクエストをしていた。

彼らはプナの美しい生命力に満ち溢れる花を束ね、
美しい花束を作って持ってきてくれた。
エネルギーあふれる植物が一瞬にして、
部屋をプナのジャングルの空気に変えてくれた。
そして、リクエストしたおにぎりを持ってきてくれた。

涙がでるほど、おいしかった。

感動している私に「心を込めて握った」と
照れ臭そうに話す彼女がみせた表情は、
最高にかわいらしい笑顔だった。

お腹が優しさで満たされ、
眠りにつくことが出来た。

私は彼らに心から感謝した。

異国の地での心のこもったおにぎりは
私の心を心から癒し、体に元気をくれた。

人には色んな記憶という、事情がある....。

だから....クリーニングするのだ。

赤ちゃんはまだずっと眠っていた。



旅のキュレーションサイト
https://airy-ground.com/category/bigisland/

いいなと思ったら応援しよう!

airy ground
ありがとうございます!サポートいただけると私たちの旅が豊かになります!