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キングオブコントで注目された“暗転”がもたらすコントへの影響

お笑いから離れてしまった自分でも、毎年行われる“賞レース”は注目してみている。

先日放送されたコント日本一を決める賞レース「キングオブコント」その中で出場者の“ニッポンの社長”のネタ終わりの採点の際に”暗転”を使った舞台演出に対するコメントが出た。

芸能に関わっていない人からすると“暗転”という言葉は耳なじみのない言葉だとは思うが、意味はなんとなく分かるだろう。
舞台を“明るい状態”から“暗い状態”に切り替えることを芸能界では“暗転”という言葉を使う。
逆に舞台を“暗い状態”から“明るい状態”に切り替えること“明転”と言う。




コントで暗転を用いることは演出上良い面がある一方、悪い面もある。今回のキングオブコントでは悪い面が注目を浴びる形となった。

松本人志さんが言っていた「暗転の後どのパターンで来るか先回りしてしまう」という言葉。この言葉通りネタ途中に暗転を用いることは、おのずとこの後の展開へのハードルを上げてしまう演出なのである。今大会での一番の暗転の悪い面というのはこの部分であろう。


人間の心理はたった数秒の暗転の中でも気持ちをリセットさせてしまう。審査員のかまいたち山内さんが言っていた「ショートコントのように見せて…」との言葉だが、ネタ途中に暗転を挟むということは「この後別の出来事が起こりますよー!」という案内でもある。
これは完全に悪い面とはいいがたいところではある。ネタの内容によっては世界観を切り替えるためにとても良い演出ではあるが、今回は悪い方に寄ってしまったのだろう。



ここまでは私が養成所のスタッフをしていた際に、講師の方々が言っていた暗転の用い方を今回のケースに当てはめての意見だ。私が見ていた感想だが、前組にネタをしていたビスケットブラザーズさんのネタと比べてネタのテンポがゆっくりだった。

漫才であれコントであれ、良いテンポでネタをすすめることがネタを数割増しで面白く見せる。(私個人の体感)
そのテンポが暗転の乱用によって乱された部分があった。(あくまで今回のネタで私が見て思った暗転の悪い点である。人によっては“あれでいい”という意見もあるだろう)




暗転を挟む良い面を紹介するのであれば…
①ネタ途中に舞台転換が出来る
➁時間軸を変える演出で有効

このくらいだろうか…
ネタ終わりの際、セリフきっかけで暗転をさせてネタを終わらせるよりも、ずっと喋りながら徐々に暗転していってネタを終わらせる方が面白く見えると教わったことがある。(ネタの間に挟むわけではないので今回は割愛)


賞レースという戦いでなければ触れられることはなかったであろうコント中の暗転演出。これを機にネタの内容だけではなく、演出にも着眼してネタを見てみるのはいかがでしょう。

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