勇敢なおじさん

私はこの街の番人である。私はなぜか昔のことを思い出せないが記憶があるうちはずっとこの街を守り続けている。
そら、今日も子供たちの楽しそうな笑い声が聞こえてくる。
そこに車が猛スピードで来た。私はそれを察知して、その車に言った。
「こらっ!やめなさい!子供たちが今こちらにくるでしょうが!」
車は蛇に睨まれたカエルの様におとなしくなり子供たちが行くのを待っていた。
車は私に言った。
「そんなに顔を真っ赤にして怒鳴らなくてもいいじゃありませんか、普段は穏やかな人なのになぁ。」
ふん!そんなこと言っても私はこの街の番人なのだ。決して事故など起こしてはならない。これくらいしないとお前たちは止まらないだろ。
 ある日、いつもの様に見張りをしているとどうやら体の体調が悪いことに気づいた。車のやつを止めようとしても動かないのだ。
車の方も「おや?どうしたんですか、体調が悪そうですね?」なんて言ってくる。
そうこうしていると、何やら冴えない男が私の方に近寄ってきた。
そして一言。
「こりゃダメだな、基盤がイカれちまってら。」
基盤?何のことか知らんが初めて会った人間にそんな失礼な事はない!
しかし男はお構いなしに何やら私の裏側に手を回しガチャガチャと作業しだした。するとあっという間に私は見張り台から降ろされてしまった。
何するんだ!私は必至に抵抗したが、ほどなくトラックに載せられてしまった。

 激しく点滅を繰り返す信号機をトラックの荷台に載せた作業員の男はつぶやく。
「こりゃ完全に壊れちまってるな、また新しいのに交換だな。。。」
 私はこの街の番人である。私はなぜか昔のことを思い出せないが記憶があるうちはずっとこの街を守り続けている。

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