労働基準法・就業規則、監督等その他

46.常時10人以上の労働者を使用する使用者は、就業規則を作成しなければならないものとされており、当該就業規則において制裁の定をする場合には、必ずその種類及び程度を記載しなければならない。

労働基準法
第九章 就業規則
第八十九条(作成及び届出の義務)
常時十人以上の労働者を使用する使用者は、次に掲げる事項について就業規則を作成し、行政官庁に届け出なければならない。次に掲げる事項を変更した場合においても、同様とする。
一 始業及び終業の時刻、休憩時間、休日、休暇並びに労働者を二組以上に分けて交替に就業させる場合においては就業時転換に関する事項
二 賃金(臨時の賃金等を除く。)の決定、計算及び支払の方法、賃金の締切り及び支払の時期並びに昇給に関する事項
三 退職に関する事項(解雇の事由を含む)
三の二 退職手当の定をする場合においては、適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算及び支払の方法並びに退職手当の支払の時期に関する事項
四 臨時の賃金等(退職手当を除く)及び最低賃金額の定めをする場合においては、これに関する事項
五 労働者に食費、作業用品その他の負担をさせる定めをする場合においては、これに関する事項
六 安全及び衛生に関する定めをする場合においては、これに関する事項
七 職業訓練に関する定めをする場合においては、これに関する事項
八 災害補償及び業務外の傷病扶助に関する定めをする場合においては、これに関する事項 
九 表彰及び制裁の定めをする場合においては、その種類及び程度に関する事項
十 前各号に掲げるもののほか、当該事業場の労働者のすべてに適用される定めをする場合においては、これに関する事項

第九十条(作成の手続)
使用者は、就業規則の作成又は変更について、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合ががある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者の意見を聴かなければならない。
②使用者は、前条の規定により届出をなすについて、前項の意見を記した書面を添付しなければならない。

第九十一条(制裁規定の制限)
就業規則で、労働者に対して減給の制裁を定める場合においては、その減給は、一回の額が平均賃金の一日分の半額を超え、総額が一賃金支払期における賃金の総額の十分の一を超えてはならない。

第九十二条(法令及び労働協約との関係)
就業規則は、法令又は当該事業場について適用される労働協約に反してはならない。
②行政官庁は、法令又は労働協約に抵触する就業規則の変更を命ずることができる。

第九十三条(労働契約との関係)
労働契約と就業規則との関係については、労働契約法第十二条の定めるところによる。

労働契約法
第十二条(就業規則違反の労働契約)
就業規則で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分については、無効とする。この場合において、無効となった部分は、就業規則で定める基準による。

第十三条(法令及び労働協約と就業規則との関係)
就業規則が法令又は労働協約に反する場合には、当該反する部分については、第七条、第十条及び前条の規定は、当該法令又は労働協約の適用を受ける労働者との間の労働契約については、適用しない。

47.労働基準法上就業規則の作成義務のない、常時10人未満の労働者を使用する使用者が作成した就業規則についても、労働基準法にいう「就業規則」として、同法第91条(制裁規定の制限)、第92条(法令及び労働協約との関係)及び第93条(労働契約との関係)の規定は適用があると解されている。

48.使用者は、寄宿舎規則に規定すべき事項のうち、①起床、就寝、外出及び外泊に関する事項、②行事に関する事項、③食事に関する事項、④安全及び衛生に関する事項の作成又は変更については、寄宿舎に寄宿する労働者の過半数を代表する者の同意を得なければならない。

労働基準法
第十章 寄宿舎
第九十四条(寄宿舎生活の自治)
使用者は、事業の附属寄宿舎に寄宿する労働者の私生活の自由を侵してはならない。
②使用者は、寮長、室長その他寄宿舎生活の自治に必要な役員の選任に干渉してはならない。

第九十五条(寄宿舎生活の秩序)
事業の附属寄宿舎に労働者を寄宿させる使用者は、左の事項について寄宿舎規則を作成し、行政官庁に届け出なければならない。これを変更した場合においても同様である。
一 起床、就寝、外出及び外泊に関する事項
二 行事に関する事項
三 食事に関する事項
四 安全及び衛生に関する事項
五 建設物及び設備の管理に関する事項
②使用者は、前項第一号乃至第四号の事項に関する規定の作成又は変更については、寄宿舎に寄宿する労働者の過半数を代表する者の同意を得なければならない。
③使用者は、第一項の規定により届出をなすについて、前項の同意を証明する書面を添附しなければならない。
④使用者及び寄宿舎に寄宿する労働者は、寄宿舎規則を遵守しなければならない。

第九十六条(寄宿舎の設備及び安全衛生)
使用者は、事業の附属寄宿舎について、換気、採光、照明、保温、防湿、清潔、避難、定員の収容、就寝に必要な措置その他労働者の健康、風紀及び生命の保持に必要な措置を講じなければならない。
②使用者が前項の規定によって講ずべき措置の基準は、厚生労働省令でこれを定める。

49.
・労働基準法に規定する災害補償の事由について、労働者災害補償保険法または厚生労働省令で指定する法令に基づいて労働基準法の災害補償に相当する給付が行われるべきものである場合においては、使用者は、補償の責を免れる。

・労働基準監督官は、事業場、寄宿舎その他の附属建設物に臨検し、帳簿及び書類の提出を求め、又は使用者若しくは労働者に対して尋問を行うことができる。

・使用者は、就業規則については、その全文を、常時各作業場の見やすい場所へ掲示し、又は備え付けること、書面を交付することその他の厚生労働省令で定める方法によって、労働者に周知させなければならない。

・事業場に、労働基準法又は同法に基づいて発する命令に違反する事実がある場合においては、労働者は、その事実を行政官庁又は労働基準監督官に申告することができ、使用者は、そのような申告をしたことを理由として、労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならないこととされており、これに違反した使用者は、同法定める罰則に処せられる。

50.使用者は、各事業場ごとに賃金台帳を調整し、所定の事項を賃金支払の都度遅滞なく記入しなければならず、日々雇入れられる者に関してもその調整義務が課せられている。

51.
1.使用者は、事業の附属寄宿舎に寄宿する労働者の私生活の自由を侵してはならない。
2.使用者は、寮長、室長その他寄宿舎生活の自治に必要な役員の選任に干渉してはならない。
3.使用者は、常時10人以上の労働者を就業させる事業、厚生労働省令で定める危険な事業又は衛生上有害な事業の附属寄宿舎を設置し、移転し、又は変更しようとする場合においては、厚生労働省令で定める危険防止等に関する基準に従い定めた計画を、工事着手14日前までに、行政官庁に届け出なければならない。

52.裁判所は、解雇予告手当、休業手当若しくは割増賃金の規定に違反した使用者又は年次有給休暇中の賃金を支払わなかった使用者に対して、労働者の請求により、これらの規定により使用者が支払わなければならない金額についての未払金のほか、これと同一額の付加金の支払を命ずることができる。ただし、この請求は、違反のあった時から5年(当分の間、3年)以内にしなければならない。




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