観了記録26「感染家族」
感染家族を見た。韓国のゾンビ映画だったがたいそう面白かった。パラサイトと言い、新感染といい、韓国の映画は面白いものが多い。つまらないものは輸入されていないだけかもしれないが。
田舎で悪徳ガソリンスタンドを営んでいる家族が主人公である。道路に罠をしかけ、そこに引っかかった車に恩を売って高額な金額をふんだくるという恐ろしいマッチポンプ商売を行っている。もうそれだけで違う映画を作れそうな家族構成をしている。とにかく家族全員のキャラが濃い。強欲の権化の母と全く言うことを聞かない上にすぐにペットを殺してしまう娘、そして誰にも頭が上がらない父、そしてガソリンスタンドを作ったはいいが、どうにも最近うまく行かない祖父。そして家を出ていった息子。
パラサイトでも思ったが、韓国ではこういう家族構成が一般的なのだろうか。キャラが濃すぎるだろう。
物語は人の少ない村にゾンビがどこからかやってくるところから始まる。始まるのだが、このゾンビが本当に弱い。犬に追われ、娘に追いかけられ、子供に追い立てられ、と本当に弱い。そして最終的に父の噛みついたところからやっと感染が始まる。ここまでゾンビに怖さのない映画はあんまりないのではないだろか。もちろんギャグ映画になっているようなゾンビ映画ならば話しは違うが、これはちゃんとホラーの空気を壊さずにこのゾンビへの怖さが無い。
ゾンビ映画といえば感染の恐怖というのが大筋になっているジャンルだが、これは一味違う。全く感染しないのだ。いや、感染はしているのだが発症がべらぼうに遅い。最初に感染した父が若返ったことから集まって来た村人に父を噛ませていくのだが、もう絵面がシュールすぎる。一噛みで見た目が十年は若返っているらしい。正直、60を超えた爺が50になったところでそこまで変わらないのだが、本人たちにとっては大事な話らしい。
この感染源になったゾンビ君を気に入った娘とのラブコメじみた映像も面白い。ペットに愛着の湧くことはあるのだろうが、それが人の形をしていればこういうこともあるのかと思った。
最初から最後まで面白いゾンビ映画ではあるが、それだけにホラー要素は強くない。怖いシーンが無いとは言わないが、恐怖を求めてみる映画ではないことは確かではある。