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「私はビジネス書がうまく読めない。小説とかエッセイなら読めるのに」 そう同僚に話したら、だんだんと「なぜ小説やエッセイを読むのか?」という話になった。 ローストビーフをつつきながら、同僚は 「私は最近、昔読んだ江國香織の小説の答え合わせをしているようだ」と言った。 なるほど。いつか辿るストーリーを取り入れたり、これからやってくる人生の可能性を知るためにというのはあるかもしれない。 残念ながら私はすべてがとろけるような恋愛に身を捧げることも、しゃべるカカシや掏摸や誘拐を
今年は本をたくさん読んだ。 コロナ禍と妊娠が重なり、家で過ごす毎日に本はいろんなところに連れて行ってくれて、いろんな出会いをくれた。 なんとなく並べてみると、なんだかけっこう“気分”が顕れていておもしろかったのでまとめてみた。 本の紹介でも感想でもなく、そのときの気分です。 📍「ホリーガーデン」(江國香織) 📍「世界の終りとハードボイルドワンダーランド」(村上春樹) 📍「羊をめぐる冒険」(村上春樹) 時間があったし、かといってなかなか本屋にも行けない時期に本棚から、いつ
ままならない毎日ばかり。丁寧なんてほど遠い暮らし。 暮らしというか、生活。まさに生きる活動。 だけど、ごきげんに生きて活動できるようなやりくりはそこそこ得ている。 やりくりといっても食材を腐らせない方法とか効率の良い手順とか、円滑な人付き合いのコツとか要領よく生きる処世術とかはさっぱり。 人に伝授できるようなやりくりはほとんどない。 知っているのは私がごきげんになるためのやりくり。 おいしい味噌で作る味噌汁の充実感、テレワーク飯で探究する焼きそばの可能性、子どもが帰っ
うちの本棚には『ノルウェイの森』が4冊ある。 文庫では上下巻なので、2冊ある人は多いと思うが、4冊はなかなかいないだろう。 どういうことかというと、上下巻それぞれ2冊ずつあるというだけで、要するに別々の場所に住んでいた2人が一緒に暮らすようになったとき、それぞれが上下巻持ってきたということ。 *** 蔵書とこれから増えるだろう本を見込んで作ってもらった新しい本棚は、全部の本を並べてもまだ余裕がある。 今までのように2段に並べ、隙間に敷き詰める必要もないから、蔵書がずら
SF冒険活劇のような科学に対して、数学はハードボイルドなヤンキースポ根ドラマのよう。 数学という役に立たないもの時間を費やす、なんとも救いがたく愛おしい情熱といったら! 中学、高校と私は数学が好きでした。 答えが必ず出るから。答えがあるとわかっていたから。 どんなに悩んでも、答えは必ず出るから難しい問題ほどうれしかったのを覚えている。 だけど、それは先人たちの答えがあるかどうかを探す壮絶な戦いがあった上に成り立っていたということか。 しかも、その答えのあるかな
科学って、ちょっぴりめんどくさくて、まっすぐで、複雑なのに単純で、なんか愛おしい。 小さな世界を表現する言葉を宇宙の解明にも用いる、唯一無二の答えを探す科学。 そして、その説明はシンプルで美しく。 目に見えないものを見ようと追究するの世界は、ストイックで厳かな世界だと思っていた。 だけど、そこにはツッコミどころ満載なツジツマ合わせがあり、うっかりがあり、迷走や冒険があり、ひらめきがあり、まっいっかというかわいらしい一面があるようだ。 なんと愛おしい世界!