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読書の記録

今年は本をたくさん読んだ。
コロナ禍と妊娠が重なり、家で過ごす毎日に本はいろんなところに連れて行ってくれて、いろんな出会いをくれた。

なんとなく並べてみると、なんだかけっこう“気分”が顕れていておもしろかったのでまとめてみた。
本の紹介でも感想でもなく、そのときの気分です。

📍「ホリーガーデン」(江國香織)
📍「世界の終りとハードボイルドワンダーランド」(村上春樹)
📍「羊をめぐる冒険」(村上春樹)

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時間があったし、かといってなかなか本屋にも行けない時期に本棚から、いつか読んだ本を抜き出して手に取ってみた。
本の中にはあの頃憧れたもの、夢見たもの、頭を悩ませていたものとか、思い出が蘇ってきて照れ臭かった。

いくつかのふたをして見ないようにしていた恥ずかしい過去もとりとめもなく記憶に舞い戻ってきて、少し奇妙な気持ちになったりもして。
「君には知られたくないな」なんておなかの中の子どもに少しコソコソした気持ちになりながら読んで。

出産を控え、過去を改めて覗いてみなきゃいけないタイミングなのかもと思ったりもした。今さら折り合いつかないものばかりだけど、少しだけ気持ちの中で振り返ったりした。


📍「すべて忘れてしまうから」(燃え殻)

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これこそ過去のうまくいかなかった日々にリンクするような話が多かったけど、どちらかというとすっかり忘れてたささやかなことばかりが頭に浮かんできた。
お母さんが作ってくれたハムのサンドイッチと卵のサンドイッチとか、幼馴染と作った秘密基地のその後とか。
思い出したところで、何がどうということもないんだけど。

読んだあと、秘密基地を作った公園をストリートビューで歩いてみるくらいには感慨深いものがあった。


📍「きみは赤ちゃん」(川上未映子)
📍「予定日はジミーペイジ」(角田光代)

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産休入った頃から、急に“出産”がどういうものか気になってきて、いろんな人のレポを読んだりした。その中で読んだ2冊。

つわりもなかったこともあり、その段階まであまり実感がないままだったし、この時点ではまだ母親の自覚もなかったけど、このあたりから「この日々も今だけなんだ」感が一気に増してきた。

この2冊とは別に、手にした本が妊娠とか出産とか家族について描いているものが意図せず多かったのは不思議な話。「月と雷」「夏物語」とか。


📍「モモ」(ミヒャエル・エンデ)

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子どももいつか読むだろうと思って改めて読んだ本。

1月から随分と不思議な時間をすごしてきたなあ、と。
10ヶ月(読んだのは9ヶ月入ったくらいのとき)ってすごく長いし、1日1日は毎日長い1日だったけど、相対的には結構あっという間だったような感じがして、同時に私の時間と周りの人との時間の流れがずれていってる感覚もあって。
不思議な時間の真っ只中にいるときに読んだので、余計不思議な時間に感じられた。

長いようで早い10ヶ月のあと、永遠とも思えるような長い一晩があったり、一瞬で過ぎ去る1週間があったりすることを知ることになるんだけど。


📍「かわいそうだね?」(綿谷りさ)

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ここ数年「かわいそう」っていう感情とうまく付き合えずにいた。
ときどき何かを見るとふと「かわいそう」という感情が湧いてきて、そんなことを思う自分への嫌悪感とかなんでそんなことを思うんだろうという疑問とかに苛まれる。
その対象は人だったり、モノだったりして、得てして別に「かわいそう」ではないものだったと思う。

今もうまく付き合えずに、その感情を前にときどき立ちすくんでしまうけど、前よりもやり過ごせるようになったかもしれない。

子どもに「かわいそう」という感情をいつか説明するときが来るのだろうか。難しいな。
知らなくてもいい感情かもしれない、とも思う。


📍「村上龍料理小説集」(村上龍)

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妊娠期間中、一番辛かったことは、意外とお酒が飲めないことではなかった。
生肉やチーズ、カフェインなどが食べれないこともあるけど、何より辛いのはいちいち「これ食べて大丈夫か?」「これ平気な食べ物だっけ?」って立ち止まらなければいけないこと。

手放しで味えない毎日。本の中で食欲を刺激するしかなかった。
手放しで味わえるようになったら、こんなセクシーな食べ物をたらふく食いたい、それだけがモチベーションだった。


📍「野生のベリージャム」(小島聖)

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出産を前後して読んだ1冊。
山どころか旅行にも行けず、歩くこともままならない日々に、一歩一歩歩くような文体で、私をヒマラヤにもマッターホルンにも連れていってくれた。
ありがたい。

そして、産後1ヶ月して読書を再開したときの喜びといったら。
旅はいい。山はいい。本はいい。

あとがきには作者の聖さんが出産後に書いたあとがきがあった。
「けれど、旅に出なくても最近の日常は旅のように新しいことにあふれている。旅は特別なことではなく日常と同じなのかもしれない。ということは、日常も旅の連続なのかもしれない。」

本はいい。旅もいい。日常もいい。

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最近はあまり読めてはいないけど、少しずつ読んでるので、また。

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