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これはブーテンなうさぎさん🐇

ここ最近の社会情勢…楽しくも不安な久々の仕事…
蘇る3.11の映像たち……なぜか見ちゃったグロ映画…

私のメンタルは不調と言っても良い。
そんな12日土曜日の休日。
今日は久々に布団から出ないぞ!
今日は組踊鑑賞以外の用事はキャンセルです!
と思ってた朝の7時。

耳元に鼻息がかかる。

ア、起キタ?ゴ飯クレヨ

ドアップだねおはようございます。

びっくりしたし、面白かった。
いやいや、どうやって小屋から出てきた!?
憂鬱な休日の朝を一気に笑いに変えてくれたぞ!

唐突に、とある人物が頭をよぎった。

小那覇 舞天(おなは ぶーてん)氏だ。

終戦したばかりの沖縄。
明日と言わず今日この今現在を、どうやって生きていけばいいのかわからない。
辛うじて家は残った。でも…
どうやって食べていく?仕事は?家族はどこに行った?

戦禍の後には、こんな悲しい人々が残された。
そんななか旧石川市(現うるま市)では怪事件(?)が起き始める。

とある民家でのある日……。
明日も知れぬ恐怖に怯える人がいた。
「はー…みんなはどこに行ったのだろう。私1人でどうしたらいいというのだ…」

すると、誰かが庭だった所から声をかけてくる。
家族の訳はない。こんな時に客人も心当たりない。
不審に思いながら声のする方を振り向くと、

やたら陽気な男が勝手に上がり込んできた。

「んなななな、なんだねチミは!?」
「なんだねチミは?そうです!私が小那覇 舞天です!!」
「弟子の林助です!」

※もちろん脚色されたイメージです。

家にしれっと上がり込んできた2人の変なおじさんは、
急に踊り狂い、歌い遊び、笑顔を向けてくる。

暗い顔をしていた人は、呆気に取られつつも
ついつい釣られて笑顔になってしまった。
三線の音に手拍子までしてしまう。

舞天と名乗る、変なおじさんのリーダー格は来た時同様に満足げにその家を後にした。

あまりに急な出来事に頭がついていかなかったが、こう言っていた気がする。

「ぬちぬ、すーじ さびら!!
 (命のお祝いをしましょう!!)」

↑小那覇 舞天 (仮)
 本名 小那覇 全孝。歯科医。

↑弟子の照屋 林助(仮)
通称てるりん
後に、息子にりんけんバンドの照屋林賢、孫にガレッジセールゴリ、親戚に知花くららがいる芸能一家と化す

ぶーてんとてるりんは、落ち込み絶望するしかない石川の人々の前で沢山の笑いを届けた。

時には叱責されたが、
「我々が泣き暮らしても亡くなった人は浮かばれません!生き残った喜びを!沖縄の元気を取り戻そうじゃないか」と明るく楽しくみんなの心を支え続けた。

↑我が家で踊り狂うブーテンと林助(仮)

文字に起こしてみると、こじつけのようにも思うが
しんちゃんと先輩は我が家のブーテンと林助だ。

憂いを吹き飛ばし明るい気持ちにさせてくれる我が家のメンツに毎日救われた気持ちになること。
今日の朝、髪をベロンベロン舐められながら思い返し、今日もまた救われてしまったのだった。

大いにゲラゲラひとしきり笑ってから朝シャンした。

今日もいい日になりそうだ。

次の家にも勝手に上がったらしい。驚いた家主の声と戯けた男達の楽しげな歌声が聞こえてきた。

ああ、隣の人も帰ってこられたんだ。良かった。
この珍事を語りに、今後の話をしに、私も笑い声の方へ行ってみよう!
「もう戦争は終わったんだ!笑って生きてく話をしよう!」
唯一の家財を片手に裸足で家を飛び出した。


不思議そうに不安そうにこちらを見やる人がちらほらいる。
ああ!生きてる人がいる!沖縄は死んでない!
この隣人たちと、これからまた楽しく助け合っていこう!

そして隣家に飛び込んだ。

片手に携えた家財はカンカラ三線。収容所で拾ったガラクタで作ったものだった。

「ヌチヌスージに混ぜてくれ!!」

舞天と林助はニヤリと笑った。

笑いの輪は100人を超える大劇場となった。
後に、ブーテンは「沖縄のチャップリン」と呼ばれる。

カンカラ三線
(える・おきなわより拝借)

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