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虎党父娘は道頓堀"には"飛び込まない
私の父は難しい男である。
妙なところで真面目で、不器用で、それでいて天邪鬼。父は大変めんどくさい男であった。
父をミーちゃん派の群れに解き放つ。
父はケイちゃん派を名乗る。
では父をケイちゃん派の円陣に放り込む。
父はミーちゃんの素晴らしさを語り始める。
ならばと「ピンクレディ箱推しの会」に投げ込む。
父は「やっぱキャンディーズだよな」と言う。
なんなら「男なら寅さんだけ知ってりゃいいんだ」とか全く違う物差しを持って来て皆をポカーンとさせるだろう。何を言ってるんだこの男は??
父はユーモアと不愉快の違いの分からない男でもあるのだ。
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そんな父は野球少年であった。
真面目な父は幼稚園から始めてつい最近まで草野球でその腕を磨いた。
コロナ禍で自然とその交流が途絶えてからは退屈そうに休日を過ごしている。
LINEでやり取りする仲間達は自然と草野球を再開したが、父は社会に流される軟派な男ではないと自負しているのでLINEを侮蔑する期間が長かった。
その結果グループLINEが分からなかった。
彼の面倒くさいプライドは廃れたEメールで「俺も混ぜて」と打つ事を許さなかった。
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でもね昔と今は違うよ。迎合なさい?
そんな父は阪神タイガースの大ファンであった。
私の幼少期、今では考えられないほどテレビではプロ野球中継が放映されていた。仕事終わりの夕方以降、我が家のテレビは常にプロ野球の中継が流れていた。
その中でもよく見るのが阪神タイガースの試合。父のお気に入り球団であった。
試合の様子も選手も全くわからなかったが合間に流れる六甲おろしと飛び交う風船に魅了され、そのパフォーマンスと「父の贔屓だから」という点でのみ小さい私は虎党になった。
小さな私は知らなかったのだ。
父がただ「アンチジャイアンツ」だったという事を。
何となく「プロ野球の際たるは巨人」という風潮に抗う結果、父は阪神ファンとなった。
この天邪鬼は、主人公というポジションが嫌いな男であった。ちなみに愛読書は少年ジャンプとサンデー、月刊マガジンであった。
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そんなこんなで父の背中(と数々の奇行、理不尽)を見て育った私は父が苦手である。
父も父で、大人しくてすぐ泣く私の事が苦手であった。
男の子どもなら会話がなくともキャッチボールで分かり合えただろうか。
父の天邪鬼はDNAにも働いたのか、父の元には三姉妹が生まれ念願の男の子に恵まれることはなかった。父の染色体ウケる。
それでもお互い苦手同士でありながらも分かり合いたい気持ちがあった。
私は妹①が重度の障害を持つきょうだい児。
母がメインでこの妹の介護を家で行うので、連休中など家族イベントは「チーム同族嫌悪⭐︎父娘」の2人でさまざまな行事をこなしたのだ。
父は子どもが苦手だ。
そんな父が頑張って遠い公園に連れていき、釣りを体験させてやり、海水浴や動物園に頑張って同行した。
私だって「ああ、父は私が苦手だけど可愛いんだな」と幼いながらに気づいていた。
ブランコから落ちても気づかず、釣り針が岩に引っかかってはため息をつかれ、溺れ、動物園の人混みを手を繋いで歩きタバコの火で火傷させられたが、頑張って同行した。
私と父は辛苦を共にした運命共同体なのだ。
「「家族だってアレだし辛いよ」」
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話が何度も前後して申し訳ない。
とにかくどんな理由であれ、私と父は虎党である。
虎党で野球好き。
昔ほどテレビでは野球中継のある日は大幅に減った。それでも甲子園やWBCなど、ことあるごとにお互いにテレビの前でボソボソと語り合いぎこちない会話のキャッチボールが行われる。
未だアレのアレ以降に父に会えていないのが寂しいくらいだ。LINEすればいいんだけど、娘も天邪鬼で真っ直ぐなのでちゃんと直にあって野球談話で喧嘩したいと思っているのだ。
虎党になった理由が「巨人が苦手だから」というのは世間には大っぴらには言いづらい事実だが…いや、noteで思いっきり書いちゃったが。
好きになったきっかけはどうあれ今の父は野球の全てが大好きで特に阪神を贔屓していて、そこに沖縄出身者がなかなか実らない事に残念がり、宜野座村でキャンプをするとほんの少し嬉しそうにする。
(そういやどこぞの球団だけ宮崎によく行くような…🤔)
昔ほど阪神に固執はしていないかもしれない。それでも何となくまだ虎党を名乗ってほしいなと思うアレのアレの後日であった。
もしかしたらアレのせいで阪神アンチになってたりして。天邪鬼だから、、、。
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感動をありがとう!!
ところで、タイトルに道頓堀"には"と書いたのにはちゃんと意味がある。
昔プリマートでパンダスタンプという切手のようなポイントシールがもらえた。パンダスタンプを集めて商品と交換できた。
ある日溜まったポイントで何故かドッジボールをもらった。誰の発案だったかも覚えていない。
鬼ごっこですら野蛮に感じた臆病な幼少期、ドッジボールがとても嫌いだった。
父は真面目な男であったので、私にドッジボールをしようと提案した。私はとても嫌だったが父の愛に応えねばと思い受けて立つ事にした。
閑散とした公園。父と娘は初めてキャッチボール(?)をした。
美しいフォームでボールを投げる父。なんていいストレートなんだ。……はて私は捕手か打者か???
私は思いっきり避けた。
ボールは貰ったその日に国場川に飛び込んだ。
それを追って父も川に飛び込む羽目になった。
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