悩める駐妻に、強く生きる勇気をくれたミュージカル、『SIX』について語らせてほしい
推しミュージカル、そして推し漫画について語るので、いつも以上に冷静さを欠いてしまうかもしれない。それだけ、熱く語りたい!という気持ちの表れなので、ご容赦を。
ミュージカル『SIX』が日本で上映される。
日本に帰国したいっっ!!と、これほど強く思ったのは、いつぶりだろうか。
『SIX』って何それ?
という方がほとんどだと思うので、まずは簡単に概要を説明させてほしい。
『SIX』は2017年初演の比較的新しいミュージカルである。当時、ケンブリッジ大の学生だったトビー・マーロウ氏とルーシー・モス氏によって制作され、トニー賞2部門を含む、世界中で35の賞を受賞。世界各国で上映されており、日本でも2025年に来日公演に加え、日本版オリジナルキャストでの公演が予定されている。
私はこの春、カナダでの公演を観に行き、すっかり『SIX』の魅力にハマってしまった。(何度も観たかったのだが、観に行けたのがツアー終盤だった・・・)
このミュージカルではバックバンド以外、ヘンリー8世の6人の元妻しか出てこない。そして彼女たちは、全員、ヘンリー8世に「ひどい目に遭わされた」女性であり、ガールズバンドを結成するに当たって「一番ひどい目に遭った元妻がリードボーカルね!!」と、自分たちの悲劇自慢(?)を始めるのだ。
まずは日本オリジナルキャスト版の動画をぜひ見ていただきたい。
元妻たちの半生とヘンリー8世の仕打ちをざっくりと(雑に)説明しよう!
キャサリン・オブ・アラゴン(中央・イエロー):スペインから嫁いだ王女様。元々はヘンリー8世(以下「ヘンパチ」)の兄と結婚したが、兄が早世したため、7年間宙ぶらりんになった後に結婚。当初はラブラブだったらしい。24年間の結婚生活を送ったが、出産した6人の子供のうち成人したのは次女のメアリーのみ。若い愛人と結婚・男子を産ませたくなったヘンパチによって離婚させられる。持ち歌は"No Way"
日本オリジナルキャストは鈴木瑛美子、ソニン
アン・ブーリン(中央後列・グリーン):元々はキャサリンの侍女。ヘンパチに愛人になれと迫られ、「愛人じゃなくて正妻じゃないと嫌よ!!」と突っぱねたために、ヘンパチは離婚を認めないカトリック教会と決別し、自分を神とするイギリス国教会を設立。その後、アンは女児・エリザベスを出産するが、男児には恵まれず、他の女性と結婚したくなったヘンパチに姦通罪などの罪を被せられて斬首される。持ち歌は"Don't Lose Ur Head"
日本オリジナルキャストは田村芽美、皆本麻帆
ジェーン・シーモア(左・ホワイト):キャサリンとアンの侍女(ヘンパチ、半径5メートル内で女遊びしすぎ)。アンの処刑翌日に婚約、すぐに結婚。ヘンパチ溺愛の男児・エドワードを出産するが、直後に死亡。個性が強い他の5人の妻に比べて、キャラも存在感も薄めだが、本作品では「私が一番愛されたのよ!エドワードも産んだし!!」と主張。持ち歌は"Heart of Stone"
日本オリジナルキャストは原田真絢、遥海
アン・オブ・クレーヴス(右から2番目:赤):現ドイツの公国から政略結婚でやってきた。面食いのヘンパチは、アンの肖像画(美人)をチェックしてウキウキだったが、実際に対面したらちょっとイメージと違ったらしく、わずか数ヶ月で結婚を無かったことに。散々な仕打ちと思いきや、ちゃっかり「王の妹」として厚遇され、実家にも帰らず、悠々自適ライフを満喫する。持ち歌は"Get Down"
日本オリジナルキャストはエリアンナ、菅谷真理恵
キャサリン・ハワード(左から2番目:ピンク):イケイケなティーン(結婚当時19歳)。アン・オブ・クレーヴスと離婚したヘンパチ(当時49歳)に溺愛されるが、若い頃の火遊びや、結婚後の不貞がバレてしまい、わずか1年後に斬首刑に。ちなみに結婚後の不貞は純愛だったらしく「王妃じゃなくて、恋人の妻として死にたかった」と処刑の際に言ったとか。持ち歌は"All You Wanna Do"
日本オリジナルキャストは鈴木愛理、豊原江理佳
キャサリン・パー(右:ブルー):最後の妻。20代で前夫2人と死別した苦労人。ジェーン・シーモアの兄、トマス・シーモアと恋仲だったが、ヘンパチに求婚されて結婚。妻というより、介護者として最期を看取る。ヘンパチの子女たち、メアリー・エリザベス・エドワードと良好な関係を築き、教育環境も整える。いい人すぎて心配になるレベルだが、ヘンパチと死別後はかつての恋人とあっさり結婚。持ち歌は"I Don't Need Your Love"
日本オリジナルキャストは和希そら、斎藤瑠希
・・・キャサリン3人にアン2人。名前が紛らわしすぎますね。
ヘンパチ(夫)がどうであれ、私たちは最高!!
もうね、ヘンパチやりたい放題なんですよ。私のオンライン英語TeacherのKristy(南アフリカ在住)も「Henry the 8th was sucks, but as an entertainer, he was awesome!!(ヘンパチはクソだけど、エンタメとしては最高!!)って言ってたからね。
でね、「ヘンパチひどい!!!」って歌っていた元妻たちがね。だんだん、「いや、ヘンパチとかもう関係なくない?ヘンパチいなくても、私たちは最高なんだよ!!」ということに気付いて、最後はハッピー!!って感じで歌って幕が閉じる。本当、最高!!!
カーテンコールは撮影OK。解放感と多幸感に溢れた6人を見て!!
駐妻になってから、夫と子供あっての自分、のような気持ちになってた
去年の夏から駐在帯同することになって。日本にいたときは、共働きで家事も育児もできるだけ半々!を心がけていたものの、役割分担が大きく変わり。
「○○さんの奥さん」「●●ちゃんのママ」としての人間関係がほとんど。こっちで友達も出来たけど、駐妻は自分も含めて主婦業メインの人が多くて、自分の人生の主導権を握れていない気持ちになっていた。
そんな中、「夫がどうであろうと関係ない!!ハッピーに生きようぜ!!」と高らかに歌う6人の女性たちの歌声が響いて、終盤はボロボロ泣いてしまった。
今は家族優先の生活をしていても、自分は自分。それぞれの人間として最高でハッピーなのである。
気持ちが落ち込んだ時はサントラやYoutubeでSIXの動画を見るようにしている。スタイリッシュでかっこいい女性たちに、励まされているような気分になるのだ。
ヘンパチと元妻6人のことが覚えられない? 「セシルの女王」を読めば大丈夫!!
ここまで熱弁してきたが、イギリスの歴史なんてよく分からないし、登場人物が覚えきれない・・・という方が沢山いるかもしれない。
が、心配無用!!こざき亜衣先生の漫画「セシルの女王」を読めば、当時の時代背景やヘンパチがなんで6回も結婚しちゃったのかが、手に取るように理解できるようになる。
主人公コンビのセシルとエリザベスのことは一旦脇に置いておいて・・・
まだまだ連載中の「セシルの女王」、ちょうど最新刊では最後の妻、キャサリン・パー(パーさん)がヘンパチと介護・・・もとい結婚生活を送っている。
実はミュージカルSIXを見る前から、「セシルの女王」はマイベスト推し漫画のひとつだった。このnoteを読んで、面白そうだなと思ったら、ぜひ単行本を買って読んでほしい。ちなみに期間限定で3巻無料キャンペーンもやっているのとか。
ちなみに来日版1月9日19:00の回と、日本キャスト版 2月5日14:00の回が “セシルの女王Day”として、スペシャルコラボ企画のポストカードが貰えるらしい・・・。くぅ・・・なぜ!私は!!日本にいないのだ・・・!!!
ミュージカルのキャストイメージと漫画キャラクター。似てる人もいるし、全然違う人もいる。
というわけで、勢いで語ってしまった。本当、日本にいる人が羨ましい!ので、ぜひ観に行ってください。80本一本勝負です。
願わくば、どこかの街でもう一度観ることが出来ますように・・・!