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変体仮名とくずし字

 筆で漢字を書く際に、形をくずして書かれた文字が、くずし文字。漢字(字母)をくずしてできたのが平仮名。

 平仮名の字体の中で、1900年(明治33年)以降の学校教育で用いられていないものが「変体仮名」と呼ばれています。
 変体仮名は、平安時代頃から使われ始め、寺子屋でも教えられており、一般に広く普及していました。明治時代までは、変体仮名のくずし字も多く使われていました。

明治時代 出雲路敬通の書

 仮名書道では、色紙などに散らして作品を書く際、さまざまな変体仮名のくずし字を用います。

 連綿やまとまりの美しさのために、どの字を使うか、どれくらい崩すかを瞬時に選びながら筆を動かして、作品に仕上げていきます。
「あ」を「安」にするか「阿」にするか「亜」にするかで、ずいぶん趣きが変わります。
 昔の人は日常的に、多様な音と字の組み合わせの中から自在に一文字を選び、文を筆でしたためていたと思うと、和歌の意味も何重にもとらえられて感慨深いです。

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