2023年新春、都道府県対抗女子駅伝、自分的な感想(その1)。【陸上・マラソン・駅伝】【エッセイ】
「オールスターだけど真剣勝負、真剣勝負だけどお祭り」、それが「都道府県女子駅伝の独特の魅力」、だから大好き!
「都道府県対抗女子駅伝」、いわゆる「全国女子駅伝」。
1月15日日曜日に開催されました。結果は、大阪が優勝でした。
今回は「原則として敬称略での表記」にさせて頂きます。
なお今回の記事、書き上げたら(その1)(その2)の共に想像以上のすさまじく長い文章量になってしまっています。できるだけ「パソコン(PC)あるいはタブレットでの御拝読」を何卒よろしく御願いできるととても嬉しいです。
1月12日木曜日(本番の3日前)、「山本有真さん(愛知。名城大学4年生。今回は「1区で2位」)」をメインテーマで綴らせて頂きました。
正直、1月12日のnote記事は、「都道府県対抗女子駅伝」の「プレビュー(展望)的な内容」は全くないですし、そのときは本当はもう一つ、記事の終盤部分で言及したい別のこと(長野東の全国高校駅伝での優勝と、優勝の原動力になった村岡美玖さんのこと)を少し綴らせて頂こうと構想していましたけど、有真さんのこと(及びプロローグ的に、鈴木亜由子さんのこと)に想像以上に文章量を要した関係で結局綴れずじまいでしたけど。
ですけど、「山本有真さん」という1人の陸上選手(恐らく今後、女子陸上の長距離・駅伝において重要な存在を担える選手であると自分は強く期待するから綴った感じですし)に光を当てることを通して、特に「2016年、2019年の愛知の2回の優勝劇」(有真さんが優勝メンバーになったのは2019年です)を改めて振り返ることができて、想像以上の読者もいたことをも含めて、綴ってよかったと強く感じてます。
で、自分にとって、「都道府県対抗女子駅伝」は、「1年で最も楽しみにしているスポーツイベントの1つ」であり続けている感じで、今回はテレビ観戦ができましたのでをも含めて、「一人の陸上ファン、スポーツファンとして」、今回の「都道府県対抗女子駅伝」を、自分用メモとしてを含めて、感想的な文章(いわゆるレビュー)を綴らせて頂きます。
では、基本的に「1区から順番に9区へと振り返っていく感じで」綴らせて頂きます。話の展開上、順序がごちゃ混ぜになるかもであることをあらかじめ申し添えさせて頂く感じです。
今大会の最終オーダーリスト。恐らく、多くの陸上ファンが
「ビッグネームが数えるほどしかいない、恐らく『松田瑞生(大阪、9区)+α』の感じ?」
と感じたのではと想像です。と申しますのも
木村は、鈴木亜由子(愛知。日本郵政グループ。2019年大会が現時点では最後)や松田と同年代(亜由子が31歳、松田が27歳、木村が28歳)ですので、年齢的な意味で「区切りをつけた」意味での欠場かもです。
小林は、今季は2つの大学女子駅伝(仙台、富士山)のいずれも「小林らしいスーパーエース感」が伝わらない、というか本人自身がもどかしさを隠せてない、いわば恐らく「感覚が狂ったまま」の感じでしたので、欠場は「今後の選手生命を考えるとやむなし」と感じます。
欠場の理由は、これは正直「本人が最も悔しいと想像」です。
例えば不破は「状態がよくない」が特に顕著で、直近の富士山女子駅伝(12月30日)を欠場でしたので。
ですけど、不破は恐らくどうしても出場したかった、恐らくたとえどのような役割でもいいからと(昨年は4区での出場でした)。自分も正直、観たかったですし。
ですけど、これは田中や小林とかにもいえますけど、不破は「特大の才能を持っている」訳です、いわば「大きく育って欲しい」と。
そう考えると、「目先の勝利や栄光よりも、中長期的な意味での『ほんとうの最終目標を叶えること』のために何がより必要であるか」と。
だからこそ「心苦しいけど、無理して欲しくない、出場になると本能的に無理をするのが容易に想像できるから」と。それ故に「欠場させる」の判断になったと想像するのです。
「ああ、群馬はぎりぎりまで、不破の出場の可能性を探っていたんだろうなあ」と感じが、最終オーダーリストで隠せてないんですよ。
9区(アンカー、10km)。最終オーダーリストは「樺沢和佳奈(資生堂)」。中学校時代から陸上界を湧かせてきて、陸上の有力校ではない慶應義塾大学を経ている「異色の才媛」です。かつ、本質的には「スピードランナー」で、1区はぎりぎりの守備範囲ですけど、9区は「距離的にいけるのか?」の感じが正直ありました。ただ、追うことでより輝けるタイプではあるので、「距離がいけるならば、1区よりは9区により適正がある」選手ではありますけど。
恐らくですけど、不破が出場可能ならば
「1区岡本-2区荻野-4区樺沢-9区不破」
「1区岡本-2区荻野-4区不破-9区樺沢」
のいずれかであったと想像するのです(恐らく前者)。
あとで改めて言及しますけど、実は「9区の樺沢」自体は、実は成功しています。尤も群馬の全体順位的には「不破の不在はやはり大きかった」感じでしたが。
…と、「ビッグネームの不在」云々で、話が長くなりました(汗)。
村岡には、「この悔しさを成長の原動力にして欲しい!」と伝えたい。全国高校駅伝での輝きは、本物であると信じてるから!
では、1区のことへと話を進めましょう。
では、振り返りを「1区」から順に進めます。
これは自分の持論ですけど、
そう、自分は「駅伝は、特に1区こそ最重要である」と考えてるんですよ。で、この都道府県対抗女子駅伝は、
「アンカー(9区)が最長区間(10km)でもある。」
ですので、
都道府県の事情にもよる(そもそも「20位台に行けるだけでも快挙といえるレベルの都道府県」でならば、1区にno.1を置くことも有意義な戦術といえます)ので一概にはいえませんが、自分がその都道府県の監督ならば、上述の考え方でいきます。
ただ、都道府県対抗女子駅伝は、「勝てばよい」ではなくて、いわば「教育的意義の大きい大会」でもありますので、「過程を重要視する」「中高生・大学生の育成」の意味をも持ちます。そういったことにも考慮の必要はあるかなですけど。
そのような中で、自分は今回の1区は、特に要注目選手が2人いました。
山本、村岡の説明は、より細かくは後述で改めてさせて頂きます。
1区でいえば、この2人と共に要注目選手として挙げられていたのが「岡本春美(常磐高校→三井住友海上→ヤマダ電機)」です。高校時代から女子陸上界を湧かせている1人で、流れに乗ったときの爆発力はそれこそトップレベルです。一方で「100か0か」の極端な傾向もあり、野球でいう「ロマン砲」的な感じでもあります。
その一方で、都道府県対抗女子駅伝はいつも群馬で出場していた感じで、不破の欠場もあり、一見すると自由奔放だけど実は責任感が強い性格がプラスに作用できれば、の感じでした。
で、本番がスタート。西京極の競技場(たけびしスタジアム京都)を出て、主導権を握ったのは岡本。岡本の右斜め後ろに山本で、山本をマークするように村岡、村岡の左隣に水本佳菜(大阪。大阪薫英女学院高校3年生。今春からエディオンへ。年末の全国高校駅伝では1区区間賞に輝き、昨年の全国女子駅伝でも1区を務めて好走していた)、この4人を中心に、車道寄りの最前列にポジションを取りに行った兼友良夏(鹿児島。京セラ)をも絡んで動く展開に。
最初の1kmは「3分10秒」。で、「開始1.3km(まだ五条通りで!)」で、早くも第1集団が縦長になる展開に。
「開始2.2km」、ここで西大路通りへ。この時点で早くも「群馬(岡本)、愛知(山本)、長野(村岡)」の3人が先導して、これに「水本、小海遥(新潟。仙台育英高校→第一生命)」の2人が食らいつく展開に。つまり「開始2.2km時点で第1集団がわずか5人に絞られる展開」になります。
(小海は開始当初は第1集団の10番手付近を走っていました。)
「3kmでの中間点」、「9分27秒」。この時点で第2集団とは既に6秒差。
岡本が主導権で、次いで歩道側に村岡、車道側に山本。その後ろで歩道側に水本、車道側に小海。
有力チームでは、福岡・鹿児島・東京・長崎は第2集団(6~9番手)、京都・兵庫・神奈川は第3集団(10~20番手)にいます。宮城は1区は「細川あおい(仙台育英高校1年生。年末の全国高校駅伝では5区の大役を務めたが、村岡に逆転されてレース後は大粒の涙を流したとのこと)」でしたが、30番手付近に沈む苦しい展開に。
「開始3.8km」。ここで展開が動きます。村岡が息が上がり始めて、第1集団から一気に脱落に。腕を懸命に振って、「ここで粘るんだ」という表情が伝わる、でも身体が動いてくれない。
「美玖ちゃん、ここが踏ん張りどころだよ!あなたならできるよ!」
テレビの前で、自分はそう語り掛けてました。
1区は「開始2.2kmの西大路通りへの突入から、ずっと長い直線」ですけど、実は「だらだらとした上り基調」でもあります。逆に9区は「長い直線だけど、下り基調」になる。村岡が「長野が誇るヒロイン」として輝いた昨年の年末の全国高校駅伝の5区は、今回の9区のラスト5km部分、つまり「下り基調&長い直線を活かした」感じが大きかったのです。
「4.65km、西大路円町の交差点」。いったん下ってから、勝負の上り坂を直後に控える場所ですけど、ここで山本が岡本に並んで揺さぶりをかけます。一方で村岡は「既に半泣き」状態に。この時点で「1位集団から10秒差」。
「4.9km過ぎ」。1区の特徴の一つが「ラスト1kmで一気に上り坂になり、それを終えてのラスト400mからのラストスパート勝負」ですけど、この「ラスト1km勝負」を待たずして、小海が車道側から一気に抜け出して「ロングスパート」を仕掛けます。
小海の最大の持ち味、長いストライドが輝いてる!山本、岡本は「不意打ち」された感じに。その一方で「ラスト800m」の時点で、村岡は6位集団に吸収された感じに。
「ラスト400m」、今回は「タスキ」の看板が設けられて、ラストスパートの合図、この時点で小海は2位に8秒差。小海のロングスパートの脚色はより輝きを増している!そう、これが、仙台育英時代に観たかった小海の輝きなんだよ!(2年生のときに全国高校駅伝で1区区間賞ですけど。)
「ラスト250m」、2区の走者が見えている。
そして、第1中継所に1位入線は、小海。「19分06秒、初の1区区間賞」!
2位争いはラストで山本が岡本を差し切り、山本が2位、「19分16秒、1位と10秒差」、持ち味になったラストスパートの切れ味は示せた。で、3位は岡本。
で、4位は水本(大阪)、「19分20秒、1位の新潟とは14秒差」。全国高校駅伝1区区間賞が真の実力なことを証明!
そしてそれ以上に、走り切った水本も、襷を受けた中島紗弥(エディオン)も、共に「とびっきりの笑顔」なことが、観ている自分も嬉しい!(特に中島!)
京都は「12位、1位と38秒差」でした。1区は佐藤奈々(スターツ)で、経験豊富な選手ですけど、実力的には「正直、『でしょうね』的な順位、タイム差かな」です。
で、村岡(長野)がきた。「19分57秒、15位、1位と51秒差」。
第1中継所が見えた「ラスト200m」の時点では、もう足の回転ができなくなっていた。
それでも、精一杯の笑顔で、2区の名和(長野東高校2年生。全国高校駅伝では1区4位[1位と6秒差]で優勝への流れをつくった)に襷を渡す村岡。
邪魔にならないように足を動かして中継所の端へ、そして一礼。
しかし、一礼の直後。両目を覆うように悔しさが溢れ出る姿が、一瞬ですがカメラに映る村岡。
「悔しい…、悔しいよ…、こんなはずじゃなかった…。」
観ている自分も、村岡の立場を想像して、とても悔しい気持ちでした。
どれほど悔しかっただろう。3.8kmで息が上がってしまい、一気に離されて、ついには足の回転ができなくなっていった。
「ここで粘るんだ、あきらめてはいけないんだ!」
「なぜ、自分はあれほどに1区での出場を望んだの?」
頭ではわかっていたはずです、「気持ちの強さ」は、2年生の全国高校駅伝の1区でも伝わっていましたし(「19分45秒、区間3位」。このときは「将来が楽しみな選手だね」の印象程度でしたが)、村岡が「気持ちの強さ」と「足の回転の速さ」が最大の魅力であることを証明したのが、年末の全国高校駅伝での5区の姿でした。
だけど、身体は言うことを聞いてくれなくなっていった。
想像ですけど、「最大級の挫折」を味わった感じではと。
ここで場面を、12月25日、「全国高校駅伝」5区に移します。
あのときの村岡(長野東)は、「アンカー(5区)」でした。
相手関係にもよるけど、1位は仙台育英が最有力視されていた。
(仙台育英の5区は1年生の細川あおい。大器といわれてはいるが未知数。留学生のデイシー・ジェロップは既に2区で起用されていた。
人間が走るときに前が見える[追いつけるかもと思える]ぎりぎりの範囲が「20秒~25秒」といわれてます。)
1区~4区の長野東の選手の走りや表情からは、「村岡への絶対的信頼感という、プラスの共有意識」が伝わってきました。
「展開次第」と述べたのは、後ろには超強力な留学生の「カリバ・カロライン(2年生)」を擁する「神村学園(鹿児島)」がいる。
そう考えると「仙台育英と25秒差以内、かつ神村学園に30秒差以上のリード」を確保できることが「長野東の理想のシナリオ」。
で、神村学園は1区(田島愛梨。3年生)が「ラスト250mで脱水症状」に陥り、「1位と32秒差、11位」でのスタートに陥ります。この悪い流れをその後も挽回できず(というかむしろ傷口を広げた)、長野東と神村学園の秒差は「3区終了時点で41秒差」。そして「アンカーに渡す時点で62秒差(7位)」にまでなり、この時点で村岡にとっては「あとは1位の仙台育英を仕留めるだけ、それに集中すればよい」。
さあ、スタート。「1位と13秒差」、後ろは関係ない。直後を走る3位立命館宇治(瀬川藍。3年生)を瞬時に置き去りにして、下り坂を下って、2km強の西大路通りの長い直線へ。
村岡の走り、「回転の速さ」が伝わる。いわゆる「典型的なピッチ走法」。「開始1.4km」、西大路通りの長い直線がまだ続く中で、早くも「13秒差→7秒差」。村岡、脚色がよく、何よりも表情が「きりっとしている」、これは「いつ、どのように逆転するか」、それだけだと。
「2.65km過ぎ」、西大路五条の交差点を右折の場面。インコースが空いたのを確かめてすっと身体を右に寄せて、カーブの流れを活かして一気に細川を仕留める村岡。少し細川に粘られるけど、「3km」で引き離しに成功、後は神村学園との差だけど、恐らく30秒差以上はある、悲願成就が見えてきている。
「3.8km」、村岡の脚色はより輝きを増している、何よりも村岡が「楽しそうに走っている」ことが伝わる!
ラスト500m、村岡が1位で西京極の競技場へ。ラスト150m、村岡がちらりと横を向く、恐らく神村学園との距離差を確認した感じか。もう大丈夫だ、優勝を確信。
「やった、やったよー!」、両腕を大きく横に広げて優勝のゴールテープを叶えた村岡。まあ尤も、「優勝ポーズ、考えていなかったでしょ?」感を正直感じましたけど。
ゴール後、優勝の原動力になった村岡は「嬉し涙」になっていた。
で、嬉し涙が収まった後、「どうだ、勝ったよ、私!」と、「とびっきりの笑顔」に!
そう、村岡、「楽しそうに走ってる」のが伝わるんですよ。
そして「ハチマキがとても似合っている」!
1区を走りたい。自分が主導権を握って勝ちたかったからかなと想像です。
でも、アンカーって「最大の責任を背負うけど、だからこそ目標を叶えたときの喜びは人一倍だといえる、最高の役割なんだよ!」と自分は思うのです。
しかも、優勝を叶えれば、アンカーのゴール場面はテレビに絶対に映ります。いわばアンカーって、「最もおいしい位置付け」なんですよ。まあ負ければ「問答無用で戦犯」になる怖さもありますし、今回だと細川(仙台育英)はそうなってしまった訳ですけど(ゴールしたときまでは、恐らく「無我夢中」だったと想像ですけど、ゴールし終えて、「あっ、自分、負けてしまったんだ、自分のせいだ、わーん(と号泣)」の感じに映りました)。
これはあくまでも自分の想像ですけど、
そう、「村岡をアンカーに」というのは、恐らくは「2つの意味」があったと思っていて、
そして、「理想のシナリオ」、いや「理想以上のシナリオ」に持ち込めた(神村学園の脱水症状は、彼女たちにとっては「悲運」ですけど)。
この言葉が「本心」と伝わるのは、村岡が「優勝ポーズを考えていなかったこと」に示されてます。そして、村岡は「人一倍に責任感が強い」ことも伝わります。恐らく村岡が1区を希望し続けたのも、この「責任感の強さ」が故と想像ですけど、仲間や監督が「村岡のアンカー」が最適解であると信じていたことも、村岡の「責任感の強さ」からではと。
そう、「美玖ちゃんが持ってる責任感を、みんなで分かち合いたい、だからアンカーを走って欲しい。1区だったら責任感を『出しっぱなし』になってしまうから。」という想いからだったのではと。
気が付けば、自分は村岡に魅了されていました。「ずっと応援し続けたい選手に、また1人出会えた!」と。
だからこそ、今回の「都道府県対抗女子駅伝」の1区。
村岡にとって、3.8kmで息が上がってしまってから襷をつなぐまでは、「どれほど悔しかっただろう、どれほど悲しかっただろう…。」と、想像すると自分も心が痛みます。
だからこそ、1人の人間、1人の陸上ファンとして、村岡に伝えたいこと。これはリンク添付ツイートでも綴らせて頂いてますけど。
これからも、村岡を応援しています。だからこそ、エールを送るのです。
村岡のこともですけど、話を小海のことに戻します。
小海は、仙台育英で1年生のときからメンバー入りしていて、当時から「大器である」という評価を耳にしていました。
(厳密には1年生では最終的には補欠だったが、当時の放送では「小海を5区に置けていれば優勝できたかも」の趣旨があったと記憶する。このときの仙台育英は3位でした。)
2年生では「1区で区間賞」、しかし3年生では負傷上がりであったこともあり「3区で区間4位」でした。2年生では優勝、3年生では3位でした。
高校時代の小海への印象は、
そう、負傷に悩まされたり、好不調の波が大きかったりで、才能を発揮し切れないまま終わった感の高校時代でした。
で、2021年に社会人に。就職先は、女子陸上界の名門の一つ、第一生命です。潜在能力は、プロの目から見ても「開花すればすごいものがあるはず」と読んでいたと想像です。
実際、確か昨年のクイーンズ駅伝では、最長区間の3区を務めていました。
今回、現実にこうして1区区間賞を叶えたことは正直驚きでしたけど、「持っている潜在能力をついに爆発させた」と考えれば、小海の今回の区間賞は決して驚きではない、といえます。
好不調の波の大きさは、「独特の長いストライドを活かすためによる『最大出力の大きさ』が故」と想像です。あるいは最大出力に身体の成長が追い付いていなかったからかもしれません。
正直、「第2の故郷」といえる宮城からの出場だってできたと想像ですし、そうすれば宮城はより強力な選手編成を組めたかもです。
ですけど、こうして新潟で出場する、それは「自分の故郷は新潟である」という明確な意思表示といえる。「故郷からの出場にこだわる姿勢」は、自分はとても好感を抱くのです。
「中学生と高校生に上のほうの順位で走ってもらいたいという気持ちがあったので、上のほうでタスキを持って来られてうれしかったです。」
話しているときは、少し「ふにゃふにゃしている」感じですけど、それと力強い走りとの「ギャップ」が魅力的。
持っている潜在能力は高いですので、これから小海がどのような成長曲線を描くのかを、楽しみにしています。
そして、山本。結果は「19分16秒、1位と10秒差、区間2位」でした。
ですけど、「いまできる全力は出し切れたのでは」と想像です。
あの鈴木亜由子でも、実は1区での区間賞はゼロです。
(だいたい、ラスト400mのラストスパートで力尽きていた感が。)
それを思えば、「Great」を与えてよいのではと。愛知の8位入賞の原動力にもなりましたから。
ちなみに、愛知の9区は、磯部早良さん(安城学園高校→豊田自動織機。純粋な地元選手で、社会人1年目)でした。
全国高校駅伝で2年連続で1区で出場で、「2年生で7位、3年生で8位」です。ですので実力者ではあるのですけど、ごめんなさい、当時の印象は全くなかったです。
ですけど、いわば「将来性型」の磯部を9区で起用したのは、「流れをつくる」をより優先させたから(だから山本が1区。勿論恐らく本人の希望もあったでしょうけど)でしょうけど、「ポスト鈴木亜由子時代」に既にある訳で、「中長期的スパンで考えて、山本と共に長く愛知を支える存在に」という意図からでしょうと想像です。
結果は、磯部は「個人としては区間33位」でしたけど、粘りは伝わったと想像ですし、「いまできる全力は出し切れた」といえるのではと映ります。
なお、兵庫は「16位、20分01秒、1位と55秒差」、宮城は「20位、20分12秒、1位と66秒差」でした。
特に兵庫は、「1区苦手症候群」を今回も安定の発動で、これが最終的に「8位入賞を逃す」(9位でした)大きな要因になってしまいましたけど、「田中希実が結局は欠場になったことの、精神的なショック」が大きかった感じに、正直映ります。
…って、気が付けば「1区」だけで、想像以上にかなりの文字数になりましたけど。
大阪の優勝の最大の原動力は、「松田瑞生の稀有な存在感」は共感。でも2区で「流れをつくった」中島紗弥の貢献度も称えられて欲しい!
で、「2区(4km)」。小林祐梨子さん、早狩実紀さんが長く走ってきた区間です。「スピードランナー」、あるいは「準エース級」が集う傾向が強い区間ですけど、「1区でつくった流れを加速させたい」あるいは「1区で失速した流れを立て直したい」位置付けになります。
ですので、勿論1区が最重要ですけど、2区の位置付けもとても重要です。
で、もうこれは最初に述べますけど、自分は、今回の大阪の優勝は、9区に「絶対的なエースにしてスター選手」である松田がいること、及び1区の水本が想像以上の好走をしたこと(社会人・大学生と同等以上の走りをした時点でとても賞賛に値する!)も、勿論大きいのですけど、自分は
と強く思ってます。勿論、「最大のMVP」は9区の松田ですけど、中島が2区で「持てる全力を出し切ったこと」「役割を完遂できたこと」が、大阪を優勝へと引き寄せる大きな一助になった、と感じてるんですよね。
「1.5km過ぎ」、大阪は前を走る愛知を抜いて2位になります。
愛知を抜いて、「1.9km」で北大路通りへと右にカーブの時点で、大阪と1位の新潟は「7秒差」。
(襷をもらった時点では「14秒差」でした。)
「2.5km」で新潟を一気に抜いて、1位になる。
「2.7km」、ここでまた右にカーブ。後ろから神奈川(渡邊菜々美。加藤学園高校[静岡]→パナソニック。社会人になって一気に成長で、クイーンズ駅伝ではスピードランナーとして湧かせてる存在です)が、大阪との差を「21秒差→6秒差」へと詰めている。
「ラスト1km」、ここで「紫明通りのS字カーブ」に突入です。
小林祐梨子さんがこのS字カーブを大得意にしていたので、自分は「祐梨子カーブ」と呼んでいます。この「祐梨子カーブでのコース取り」は、「都道府県対抗女子駅伝の名物の1つ」になっています。
「ラスト700m」。この時点で、大阪と神奈川の差は「3秒差」。
後ろから迫られているのは明らかに感じている、「さあ粘るんだ、踏ん張るんだ」と強く意識しているのが、中島の表情から伝わる。
「ラスト250m」。紫明通りを抜けて、最後のカーブを右折、カーブを終えると「ラストスパート」に。差は「3秒差」で変わらない。
ここから、中島の脚色はより輝きを増す。最終的には2位の神奈川との差は「3秒差」で変わらなかったですけど、ラストスパートでの脚色は中島が渡邊をより上回っていたように、自分には映ってました。
3区の中学生に襷を渡す際に、中島は(襷を受けるときと同様に)「とびっきりの笑顔」での襷渡し。「できることはやり切った」感じが伝わります。
これは、自分の「1人の人間としての持論」です。
自分自身が、子ども時代に学級の「no.2、no.3の役割」を務めた経験が多いから、そう強く抱くのだと思ってます。実際、「no.2の役割」って、「『担任』や『no.1の役割』と『クラスメイト』との架け橋役・調整役」として、とても重要な役割であると学んできました。
これは「現実社会・芸能界・スポーツ」、いずれにもいえると思ってます。バイプレイヤー(脇役)って、普段は「月のような役割・立ち位置」です、いわば正直「陰のような存在」です。でもそのバイプレイヤーが「最高の輝きを放った」とき、それは「チームも、そのバイプレイヤーも星のように、きらりと光り輝く」、自分はそう強く感じているのです。
そう、今回の中島さんは、最高の輝きを放っていた(その貢献度を伝えたい意味で、ここからしばらく「中島さん」という表現を用います)。
確かに記録上は、「12分49秒、区間8位」です(尤も「区間2位が12分44秒」なのでそれに比肩といえる。ちなみに渡邊は「12分31秒、区間賞」)。
でも中島さんのその輝き、その貢献度は、「全体で見れば、とても大きかった。もし中島さんが持てる全力を出し切れていなければ、あるいは中島さんがいなければ、大阪はほぼ終始主導権を握って優勝を叶えることができなかったかもしれない。」、自分は正直、そう感じているのです。
「一見すると粘りの走りだけど、その内実は攻め続けての走り」といえる感じで、「攻めの走り」で「2区で1位になり、それが最終的に『絶対的エースに襷が渡った時点でほぼ勝ち確の感じ』になった」意味では、「2019年の愛知の優勝劇」に相通ずるんですよね。
これがどういうことか、より掘り下げて説明しましょう。
大阪薫英女学院高校時代、鹿屋体育大学時代から、中島さんの名前は存じていました。鹿屋体育大学時代、「いい選手だね」とは感じていました。でも正直、それ以上の印象は実は全くなかったのです。
(尤も、「日本インカレで5000m優勝の経験」や「全日本大学女子駅伝で3年生で3区(6.9km)で区間3位、4年生で3区で区間3位」と、実力者ではあるのですが。)
それが自分の中で「面白い選手だね」に1つステップを上げたのが、昨年の「都道府県対抗女子駅伝」でした。とはいえそのときも、まだそれ以上の感じではなかったのも、正直な感じです。
で、今回。見ていて感じるのは、きつい表現かもでごめんなさいですけど、
そう、「能力の最大値自体は高くないかもしれない、でもそれを『頭を動かし続ける』ことで補えている」ことが伝わるんですよね。陸上って、「自分自身との勝負」ですので「気持ちのスポーツ」と自分は思っていますけど、「頭を使い続ける」ことも同等以上に大切なんだと再認識で。
で、「抜ける」「スパートが必要」と判断したときにギアを上げられること。「ギアを上げたモード」のとき、腕の振り、足の回転が上がっていることが伝わるんですよ。
「ギアを上げる」でいえば、中島さんって、後ろから渡邊が猛然と追い上げてる(というか手持ちの実力通りならば恐らく高確率で抜かれてる)と感じていると思うのに、「最後まで絶対にあきらめなかった」ことです、自分は今回の大阪の優勝で、なぜ中島さんを特に称えたいのかというと、
と感じているんですよね。
それと「走ることが大好き」が伝わることも、自分の中で好印象ぶりがより強かった感じです。これは恐らく、大阪のメンバーとして走れてる誇り、嬉しさが少なからず影響してるかもですけど。
それでいて、ラストで9区の松田瑞生さんがゴールするとき、というか松田さんが1位で競技場に入ったときから既にですけど、中高生メンバー以上に、「人一倍の松田瑞生さんが大好きでたまらない感じが全開の感じ」が、走りとのギャップを感じて、それがもう「優勝!」なんですよ(それでいて所属会社が異なるというオチが。「松田さんはダイハツ、中島さんはエディオン」ですので)。
それと、恐らくおろすとロブヘア?の感じですけど、一つ結びの髪が「凛々しい」感じで似合ってますよ、と。それでいて「とびっきりの笑顔」が似合うこともとても素敵と映ります。
いずれにせよ、「応援したい選手にまた一人出会えた」感じで、自分にとっては「今回の隠れた最大の収穫」でした。
で、とても素敵な話だなと感じるのが、1区の水本さんは、今春から中島さんと同じエディオンに入社が決まってるとのことですけど、この中島さんと水本さん、学年では「5学年差」ですので中学校・高校での直接の交わりはない計算ですけど、
「中島さんと水本さんは、『中学校・高校・実業団でいずれもチームメイトになる』。」
これって「エモい」なあと。高校と実業団で共にチームメイトはあっても、中学校も含めてチームメイトというのは、映画やアニメのようなとても素敵な話だなと(しかも中学校は公立とのことなので、つまり恐らく自宅が近い?ということになる)。
ですので、「中島さん、水本さんの2人が、これから1人の人間としても、1人の陸上人としても、御互いに成長し続け合える関係でいて欲しいです!」と、ささやかなエールを伝えさせて頂きます。
これは、どちらかが壁にぶつかって逆境になるときとかがあっても、「1人じゃないよ、心のそばにいるよ」という関係であり続けて欲しいですという想いをも込めています。
そして、先述でも言及させて頂いたように、確かに中島さんは「バイプレイヤー型」かもしれません。でもだからこそ、
「『大阪チームに中島あり』といえる、1年でも長く大阪チームを支え続ける(必要不可欠な存在であり続ける)存在でいて欲しいです!」
そう強く抱きます(エディオンの本拠地登録は大阪ですので、「ふるさと登録」が不要であることは大きなプラスですので)。
で、2区終了時点では、「3位が群馬(32分19秒、1位と10秒差)、6位が愛知(32分26秒、1位と17秒差)、7位が福岡(32分30秒、1位と21秒差)」でした。
愛知は1区2位、福岡は1区5位(1区は野田真理耶、北九州市立高校3年生)の好走の流れをそのまま活かせた感じになり、「1区が最も重要で、2区でその流れを加速させること」の重要性を再認識させた感じです。
というのも、これは駅伝の言い伝えの一つですけど、
これって恐らく真理なんだろうなあと感じるんですよね。
で、京都は「8位、32分37秒、1位と28秒差」。京都の2区は村松灯(立命館宇治高校→立命館大学2年生)で、中学生時代から都大路を湧かせている実力者ですけど、「4人抜き」でしたけど、実は「区間10位(区間2位と9秒差なので、悪くはないのだが)」。村松の本来の実力や、都大路との相性のよさを考えれば、「隠れた誤算」であったかもです。
1区の村岡が失意の結果に終わった長野は、2区は名和夏乃子(長野東高校2年生)。「15位→14位」でしたけど、「12分52秒、区間9位(区間2位と8秒差)」でしたので、できる精一杯の走りはできたのではと想像です。
そして、意外であったのが、「米澤奈々香(宮城。仙台育英高校→名城大学1年生)」。
「20位→19位」であったこともですし、「13分02秒、区間17位」。
そう、「ノーインパクト」に終わった感じが否めません。
(実際、テレビの途中映像で全く取り上げられていなかった。)
2区での出場が発表された時点で、「ああ、恐らく万全ではない感じかな。」と正直想像の感じでしたけど、「実際は、無理をしての感じだったのかもなあ…。」と、正直切ない感じになりました。
4区で、中学校時代からの盟友関係である(学年は米澤が1学年上です)、杉森心音(仙台育英高校3年生)が出場していたことも、「どうしても出場したい」の意向に影響していたかもです。尤も実は杉森も「4区、区間16位」と不本意な感じでしたけど…。
そう考えると、鈴木亜由子(出場10回)、松田瑞生(出場9回)って、この「都道府県対抗女子駅伝」で「大きな失敗」の経験は恐らくないんですよね、だから「女子陸上界の中心的存在であり続けている」と改めて強く感じます。
そして「不破聖衣来、田中希実が最終的に欠場の判断になった」のは、「出場したけど不本意な内容に終わることをさせたくなかった」かもしれないなあ…、と考えさせられます。
ドルーリー朱瑛里は「事実上の完全独学で、いわば基礎ができていなくて、それでいて躍動感が伝わる走り」。基礎ができればどこまで伸びるのかを含めて「異次元の可能性」を感じる。
で、「3区(3km。中学生区間)」。
京都御所の近くを走りますけど、3区と8区は「中学生区間」で、「新星の発見の場になる」感じであったり、「積み上げたものを一気に吐き出す(勿論、その逆もある)」感じが起きたり、都道府県対抗女子駅伝のドラマ性を高める存在であり続けています。
「3区は下り基調、8区は上り基調」であることが特徴です。
レース自体は、「2.2kmまでの烏丸通り」では1位の大阪(増田来瞳。3年生)が飛ばして、2位の神奈川(井上穂奏。2年生)を引き離しにいく、で、「ラスト800m」でカーブを左折して御池通りへと走りますけど、この「ラスト800m」の時点では、大阪と神奈川の差は「3秒差→6秒差」でしたが、「ラスト300m」で「3秒差」に縮まり、そこから大阪が粘って、最終的には「大阪が神奈川に1秒差で先着で1位入線」でした。
ですけど、この3区は完全に「ドルーリー朱瑛里(岡山。3年生)」の独壇場でした。
テレビ中継で「1分50秒程度、ずっとドルーリーを映していた」ことが、その衝撃を物語っています。
「9分02秒で区間新」という結果以上に、内容自体に衝撃を感じます。
(父がカナダ人、母が日本人の、いわば「日本育ちのハーフ」とのことです。)
都道府県対抗女子駅伝の歴史では、何人もの「スーパー中学生」の伝説がありました。自分が記憶する限りを、引っ張り出します。
5人共に、日本の女子陸上界をその後も長く湧かせ続けてきた(湧かせ続けている)稀有な存在です。米澤だけ、この中では中学生時代の区間賞経験がないですけど。
実際、自分がこうして陸上が、特に女子陸上が大好きになった大きなきっかけが、「2007年、中学3年生のときの、鈴木亜由子の3区での快走」でしたので。あれはもう、自分の中では「とても大きな衝撃」でした。
躍動感に満ちる、「『ばね』を感じる走り」でしたから。
田中希実、廣中の中学生当時の走りも、衝撃でした。特に廣中は「異次元の走り」と感じたことを記憶しています。
ですけど、です。今回のドルーリーの走り。
うまく表現できずでもどかしいですけど、「鈴木亜由子、田中希実、廣中の中3当時をも上回る、異次元の衝撃の走り。」と感じたんですよね。
解説の小林祐梨子さんが、「惚れ惚れする、躍動感あるフォーム」と仰るように、「スピード感が伝わり、それでいて無理のない感じ」に映ります。本質的には「ストライド走法に近い感じ」で、廣中に近い感じかなですけど、「ストライド走法に近いけど、廣中に柔らかさをプラスした感じ」が、ドルーリーの「異次元ぶり」をより高めています。
それも、小学生時代に地域の陸上クラブの経験はあるとのことですけど、中学生になってからは「学校の女子陸上部は3人」で、陸上は「ほぼ独学で」身に付けたとのこと。ですのでドルーリーはいわば、「独学で」いまの躍動感あるフォームを確立できていることにすごさを感じる一方で、「基礎ができていない」のに完成度の高さを感じる、ともいえます。
これから将来をどうするのかは、1人の陸上ファンとしては「温かく見守ります」に尽きます。そもそもがまだ中学生ですので、「長い目で温かく見守る」が本筋であると思いますし。
ですけど、ドルーリーが「進学先の高校が陸上の有力校であるのか、そうでないのか」もとても興味深いですけど、
「長所を伸ばす」「特定の型にはめない」。
このことが、1人の陸上ファンとして、ドルーリーの指導者に強く願うことです。長所を伸ばすことにひたすらに特化すれば、「より望ましい方向性が見えてくることに結び付く」と思いますので。
では、気が付けば、「1区~3区」までの時点で既にかなりの文章量ですので、「4区~9区」の感想を、(その2)で綴らせて頂きます。
【陸上・マラソン・駅伝#2A】【エッセイ#12A】
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