50点を全力で出し切る
朝4時30分。
鳴っていた目覚ましを止める。
猫の「まるお」はまだ足元、布団の中で寝ている。
むくりと起き上がり、台所へ。
冷蔵庫から食材を取り出して並べる。
まずは鍋に火をかけて、真空パックになっているスイートコーンを湯せん。
その間に玉子を割ってボールに入れる。
砂糖と塩を適量入れてかき混ぜ、熱したフライパンにバターを敷いた。バターが溶けてきたところに、といた玉子を流し込む。
ジュワーという音と共にバターの良い香りがふわりと漂う。
俺、作ろうか?
何となくその場の雰囲気で言ってしまった。
すると、予想外に奥さんと息子の反応が良かった。
「え、いいの?」
「父ちゃん作るの?やったー!」
気が付けば、息子・奥さん・自分のトータル3つの弁当を作ることになっていた。家族の良いリアクションを見るのは嬉しい限りだが、一つだけ問題があった。
よく考えたら俺、弁当なんて作ったことねぇや。
この時、キャッキャッとはしゃぐ2人を見ながら、今まで出したことのない分野で本気にならねばならないことを悟った。
コロナの影響で、息子の保育園での給食の提供が休止となった。連絡があったのは土曜日。とりあえず月曜火曜は弁当持参になるらしい。
保育園で月に一回ある「弁当の日」。この日は奥さんが前日から準備に忙しくなる。一言で言えばかなり大変そうなのだ。
今回は土曜に連絡があって月曜が弁当の日になるというスケジュール。なかなかタイト。そして急。何とか力になれないものかと思った時にポツリとこぼした一言が「俺、作ろうか?」だったのだ。
無理なことはしない。
出来ることを最大限活かす。
これが今回の弁当作りにおける自分なりのテーマだ。
弁当で使う玉子料理といえば、本来は玉子焼きが良いのだろう。でも正直、上手く焼ける気がしない。イチかバチかでチャレンジするのも違う気がする。
だから、スクランブルエッグにする。
弁当のメインは豚肉の味噌漬けを焼いたもの。
一から味付けして作るのは自信ない。時間もない。
だから、食べたことがあって美味しいことが分かっている味の良い加工品を焼く。
美味しく食べてもらうためには、ひとつひとつを失敗しないことが大切だ…と思う。そもそもカッコつけて良く見せようとする必要はないのだ。スキルが50点しかないのに、80点を狙うのは無謀だ。自分の持つ50点分の力を出し切る方がよっぽど良い。
そんな50点を積み重ねて完成させた弁当がコチラ。
お粗末さまです。すみません。
決して綺麗ではありません。「THE男メシ」です。
でも、全力は出しきりました。
ちなみに、スクランブルエッグの下には鶏肉のそぼろを敷き、さらにその下にご飯があるという仕組み。
おかずのラインナップはコチラ↓
・ブランド豚肉「さんきょうみらい豚」の味噌漬け。
・みんな大好き安定のソーセージ。
・家の近所の自治会長さんからもらった小林市で育てられた美味しいトマト。
・粒のみを削いだ北海道産真空パックのスイートコーン。
はい。大変でした。
弁当作れる人、尊敬します。
キャラ弁作れる人、神様です。
世のお母さん達は偉大だ。
それだけは、ハッキリ分かった。
「弁当ありがとう。おいしかった」
「あの玉子のご飯のやつ美味しかった」
お世辞でも、褒めてもらえたらやっぱり嬉しい。
作って良かった。
そう思えた週始めの月曜日。
眠い。
でも、とりあえず成功ってことにしよう。
またどこかのタイミングでやってみよう。
次は60点を目指そう。
…実は、弁当箱に詰めた玉子の黄色を利用してミニオンの顔を作ろうとしたのだけど、ハードルが高過ぎて途中で断念した。
でも、それはまた別の話で。