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本は表紙の「色」で売れ行きが変わる!?

本の売れ行きが、表紙の色によって大きく変わることを
みなさん知っていますか?

出版関係者の間ではよく知られている事実ですが、
各ジャンルには売れやすい色が存在します。
特に、女性向けのライトノベルやティーンズラブ、
ボーイズラブにおいては、売れやすい色が明確に決まっています。

何色だと思いますか?

そうです、ピンクや赤、オレンジなどの暖色系で
明るい色の表紙
は売れやすい傾向にあります。
一方で、青や紫、緑などの寒色系の表紙は売れにくいのです。

書店に並んでいるティーンズラブやボーイズラブの本をよく見てみると、
緑や青の表紙が少ないことに気づきませんか?
これは、売れにくいために意図的に避けられているからです。

このジャンルを担当する編集者なら、こうした傾向を理解しているため、
イラストレーターにカバーイラストを依頼する段階で、
先に表紙の色について伝えています。
また、デザイナーとのやり取りでも、「暖色系でデザインしてください」と依頼することが多いです。

なぜこんな傾向があるか、考えてみてください。
恋愛小説の色のイメージはどんな感じでしょうか?

少なくとも、青や紫の恋愛小説はどこか冷たく、
破局しそうな印象を与えますよね。
それに対して、ピンクや赤の恋愛小説は、燃え上がる情熱や
溺愛ラブラブな雰囲気
を想像しやすく、読者も手に取りやすくなります。

そのため、恋愛小説の表紙の色は、基本的に暖色系が多く、
特にピンクや赤が好まれる傾向
があります。

私も今までの編集経験でこの「色で失敗してしまった」ことがあります。
シリーズものの編集をしていると、巻ごとにカバーの色を
少しずつ変えていくことがあります。
シリーズタイトルや登場人物が同じである場合、
カバーイラストのキャラクターも共通になります。
そのため、背景の色を変えることで、
巻数の違いを視覚的に読者に伝える工夫
をするんですね。

このとき、最初はピンクや赤、オレンジ、
場合によってはピンク寄りの紫などを使っていって、
あとはもう、同じ色しかないよね……となった時に、
「そうだ! 黄色がある」と思い、試しに黄色を使ってみました。

結果……、顕著に売れ行きが悪かったのです。
黄色も暖色系ではありますが、
ラブロマンスを感じさせる色ではないのでしょう。
むしろ、知的なイメージや知識欲を刺激する色といった印象があります。

また、ライトノベルやティーンズラブでは、
ヒロインのドレスの色にも気を配ります。
美しい青いドレスは素敵ではあるものの、
表紙の多くを占めるようであれば、避けたほうがいい場合もあります。
そのため、「青ではなく、白やピンク、あるいはレインボーのように光らせてほしい」といった細かな指定をすることもあります。

このように、表紙の色によって売れ行きが変わるというのは、
出版業界では当たり前のことなんです。
出版社や編集者は、どの色が購買意欲を高めるのかを日々研究しながら、
本作りをしているんですね~。

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あいこ@小説編集者
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