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道場システム
創始者が何か事業を立ち上げたとします。
その事業が広がっていけば、人手を増やしますよね。
更に、それが全国に拡大するとなると、各支部を作って、その支部に運営を委任します。
道場経営も正にそうだと思います。
最初は一人の指導者が指導を行い、どんどん会員が増えていけば、
最終的には支部を作って、その支部に自分とは別の指導者を配置します。
ある程度、その支部に指導内容を委任する形にすれば、展開も容易にできます。
一方で、創始者の理念が明確で濃い場合は、その理念に強く共感できる方でないと指導者を任せることが出来ません。
自分の意に反することを教えて欲しくないという創始者は、そう簡単に支部を作りません。
私が以前、通っていた道場の先生が正にそうでした。
その方は、かなり凄い方でしたが、敢えて情報発信はせずに、ひっそりと自分の道場だけで指導をしていました。
武道は感覚の世界ですので、それを伝えることの難しさを当人は熟知していたからだと思います。
もちろん、論理的に説明することは可能ですが、結局、技を行うのは他人なので感覚の世界になってしまうんですね。
佐川幸義先生も正に同じタイプだったと思います。
つまり、質に拘ると、自ずと道場の数を絞るしかないんですね。
逆に普及に拘るなら、ある程度、質については目をつぶる必要があります。
どちらが良い悪いという話ではなく、どちらに重きを置くかの話だと思います。