こんな中学校を創ってみたい(第6回) ~朝リス~
朝読書?朝学習? いいえ、「朝リス」です。
中学校の朝読書の効果は高いらしい
全国でおよそ80%以上の中学校が、朝読書を採用しています。朝から読書をすることで、落ち着いた気持ちを醸成したり、豊富な知識を得られたり、想像力を膨らませたりしながら「読解力」が向上すると言われています。データからもその効果は一定の水準を保っているようです。何よりも、スマホ普及率が高くなり、読書そのものに触れる単純機会が減っている今、学校内で、生徒がそのよさに気付いたり、面白さに引き込まれたりする場面を設定
することは、大変重要なことだと思っています。
朝リスニング「朝リス」で英語に触れる機会を増やす
あえてこの朝の時間に「リスニング」の経験を積ませてみようかと思いました。毎朝、英語に触れる機会をもつことにより、自然と耳から入る英語に慣れ、英語に関心を向ける効果を期待しています。ただリスニングテストのように学習的なイメージが強いと生徒もやる気をもてないでしょうから、以下のような方法・手順で取り組んでみたらどうかなと思っています。
⑴英語版の漫画を準備する
今人気のものでもよいし、先生のお勧めでもよいのですが、英語版の漫画
を準備する(予算がどれくらいかかるか分からないし、出版社や原作者等
に許諾を取る必要があるか…)。
⑵コマのセリフを収録する
英語教諭やALTが漫画のセリフを音声として収録する。場合によって
は、朝の時間に放送しつで直接アテレコしてもよい。もちろん、担当者の
負担は増えてしまうが…。
⑶生徒は朝リスの時間に漫画を読む
漫画を読みながら、吹き込んだ英語を聞きます。細かい指示はなく、それ
を毎日のようにやってみる。
期待される効果は?
検証が必要でしょうけれど、次のような効果を期待しています。
⑴目の動きが漫画と英語で一致してくる
最初の内は、何となく絵を追っていて(コマ吹き出しは英語)、音声はあ
まり意識しない状態であっても、継続するうちに音声とコマの進み方があ
ってきて、漫画と英語が徐々に一致していく。また、漫画なので集中力が
続かない生徒でも、定着するまで絵だけを見ながら楽しむことができる。
⑵学校図書館の単純利用数が増加
朝リスで使用している英語版の漫画を学校図書館に入荷することで、これ
までの内容や続きが気になった生徒が、学校図書館に足を運び、英語版の
漫画を借りていく。借りなくても昼休みや放課後に学校図書館に足を運ぶ
生徒が増加していく。
⑶英語の授業でのリスニングを軽減
多くの英語の先生は、オールイングリッシュとまではいかないまでも、授
業内で英語を多用しながら生徒の耳を慣れさせている。そこにさらに「リ
スニング対応」のタスクを入れてしまうと、授業時間が足りなくなってし
まったり、本来やりたいタスクが中途半端になってしまう可能性がある。
朝リスは、それを解消する手段の1つにもなりえる。
⑷英語が好きになる生徒増加
全国の英語の先生は、それはもうあの手この手で、生徒が英語を好きにな
るように、高いエネルギーをもって授業を工夫している。しかし「英語教
育の充実」を目指した「小学校で英語が必修化」により、英語嫌いが増
加・二極化していると言われている。漫画を使用した気楽な「朝リス」は
英語に関心をもち、好きになる生徒の増加が期待される。
最終的には英語だけに特化せず、選択制で
最終的には、朝読書、朝学習、朝リスを自分で選択できるような幅をもたせていくことが重要な気がしています。
ただ、朝読書や朝学習は普通によくある取組のため、生徒はその良さも面倒くささも理解しています。「朝リス」も同様の状態にするために、最初のうち(1か月くらいで十分)にある程度は全員強制で行ってみて、生徒自身にその良さや面倒くささを実感させます。その上で、朝の時間帯に行う「学校ルーティーン」を選択して活動に取り組めばいいと考えています。それも固定ではなく、今日は朝学習、明日は朝読書、その翌日は朝リス、のように。
生徒自身に他にやりたいことがあれば、それでもいいのですが、わずか10分チョットの時間でやれることと考えれば、一般の公立中学校であれば、活動内容ありきの選択制を行うことで、主体的な活動だと言っても悪くはないでしょう。ただ、個人的には「朝リス」を選択する生徒が最も多くなる気がしています。ただの勘ですが。
意外とやってる実際を聞かない「朝リス」
朝リスニングを行っている学校がないかと検索しながらネットを漂ってみたのですが、意外と見当たりませんでした。もしかしたら過去にやろうとして活動が上手くいかなかったのか、やり方がまずかったのか、教員や生徒の反対意見が多かったのか。
分かりませんが、実践してみたら面白くないかなぁ、と思っています。
皆さんいかがですか?「朝リス」。