代わりに泣いてくれる優しい雨
朝から土砂降りの雨。こんな日は外に出るのが憂鬱だ。
服は濡れるし、縮毛に苦戦してセットした髪は乱れる。道路は混んでいつまで経っても車は進まない。いつもはすんなりできることが上手く進まない。そんな雨の日だけど、感謝するときもある。
私の代わりに泣いているようで神秘的な感情を抱いてしまう。それは決まって心が落ち込んでいる時。しんしんと降る雫が涙のように見えてきて、雨音が声をあげて号泣しているように聞こえてくる。
今は梅雨、傘を差さずに小走りで歩く。降り注ぐ水がまるで黒いものを浄化するようにわたしを濡らしていく。濡れていくほど身がきれいになっていくよう。悲しいことも、辛いことも私に別れを告げる。
「あぁ、泣いていいんだ」と自然と頬を伝って。
ずぶ濡れの私は泣いててもわからない。あふれ出る思いを吹き飛ばそうと全力疾走していた。
なんで走っているの?
なんで泣いているの?
雨は降り続ける。
私の涙も止まらない。
本当はこんなにも泣きたかったんだ。こんなにも無理してたんだ、気づかなかった。
素直に泣けて良かった。気づかせてくれてありがとう。
泣きながら雨宿りしていると、雨は止んだ。
自然とわたしも晴れやかな気持ちになった。
明日も優しい雨が降る。
今度は誰の代わりに泣くの?
最後まで記事を読んでくれてありがとうございました!