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高校時代に書いた読書感想文を、おとなになって、思いっきりリライトしてみた。

実家に帰省したとき、高校2年生の夏休みに書いた「読書感想文」を見つけた。黄ばんでる。。。w

読書感想文「闇の絵巻ー闇夜への憧れ-」

「闇の絵巻」梶井基次郎

17歳の選書センス。いかがであろうか(笑)。
なんというか、中二病的な闇文章で笑える。
難しい漢字使いがち。
強めの文体を使いがち。
誤字脱字ありがち。
陰の文字が好物。闇、黒、蝕、悪魔。
まあ、そういうお年頃だったということで。

懐かしくなって一読してみたら、思いっきり「赤入れ」というか「リライト」したい衝動に取りつかれた(職業病というべきか、モヤモヤ感が半端なかった)。

そこで今回は本能的な思いつき。
当時の読書感想文のリライト後の内容を、考察を混ぜながら振り返ってみる。
このテーマでいこうと思う。

取り合えず、「闇の絵巻」ってどんな内容だったか。
Youtubeで朗読動画を発見(実にいい声だ。)。

朗読散歩 / いやしのおと より

さて、ここからが大人になってからの目線でリライトした後の内容。
(リライト前の内容はそのうち公開予定)

そして今回もMicrosoft Bing Image Creatorで、イメージを生成してもらう(最近のお気に入り)。


闇への誘惑

闇の世界。
苦渋や恐怖で、その一歩を踏み出すことの出来ない暗黒の世界。
一寸気を変えてみれば、そこは深い安堵に包まれた安息の世界。
実に歪(いびつ)だ。

筆者読書感想文より
Microsoft Bing Image Creatorにてテキストから生成(闇の世界)

闇への憧れ

"ぼくは誰の眼からも隠れてしまった。"
"巨大な闇と一如になってしまった。"

”ああ、闇への憧れが満たされたのだ。”
歪んだ快楽ともいえるこの感情。
誰もが持っている制御不能な悪魔である。

筆者の読書感想文より

闇への逃亡

その悪魔は突如として姿を現す。
身内に住み着く悪魔である。
それはまるで、重苦しく身内を流れる血流のようだ。
ぼくの身内は次第に蝕まれ、黒々とした畏怖と化し、ある日突然裸足で飛び出した。夢中で駆け出し、闇の中へ消えてゆく。
行方は定かではない。只、一心不乱に逃亡する。

筆者の読書感想文より

闇の世界

現実の世界から遠ざかりたいのかい?
誰もいない洞窟に潜んでいたいのかい?
悪魔の甘い誘惑は、一層気持ちを高振らせる。

筆者の読書感想文より

視野の左では、渓が瀬を成して轟々と高渦を巻いている。
切り立った崖は、まるで地球の骨のようだ。
ぼくは今、この世の闇よりも濃い闇で包まれている。
何層も何層にも渡る黒洞々たる霧で覆われている。

筆者の読書感想文より
Microsoft Bing Image Creatorにてテキストから生成(闇の世界)

死の予感であろうか。
己が暗黒と化せば「死」は決して襲ってこないだろうという、空想地味た、刹那の気の迷いであろうか。

現実と向き合うことに疲れてしまった。
何かに縋りつきたい一心だった。

「死」への拘りは、こうも人間を大胆に変えてしまう。
意識とは別の部分でどんどん肥大していくのだ。
何とも恐ろしい・・・身を噛むような無意識下の欲求。

筆者の読書感想文より

一箇の明かり

やがてぼくは、黒々とした空間に一箇の電灯を見つけた。
今にも消えそうに、ゆらゆらと漂う明かり。

急に、底知れない恐怖が呼び起こされ、頭の中で「バアーン!」とシンバルを叩かれたような衝撃を受けた。

感覚と感情とが支配するこの空間で、色彩あるものにより、自身がぼんやりと照らし出されることに、深い屈辱を受けた。

心の貧窮と、闇夜に溶けていた己の欲望とが明白にされるようで・・・。
ぼくの眼は、自然になんとなく明かりから離れていった。

筆者の読書感想文より
Microsoft Bing Image Creatorにてテキストから生成(一箇の明かり)

現実世界へ

突如広々とした展望の中へ出る。
結界(けっかい)に来たのだ。
そこは闇の世界の最終地点。
現実世界への入り口。

筆者の読書感想文より

ぼくは、新しい決意と秘やかな情熱を満たして、重い鉄の扉に手を掛ける。
気持は極致に達し、同時に、今まで煮詰めてきた感情を振るい落とす。
それがどのような決意で、いかなる情熱であったか、誰も知る由もない。

”次は、ほのかな一箇の明かりを求めて歩き続ける「旅人」になりたい。”

筆者の読書感想文より
Microsoft Bing Image Creatorにてテキストから生成(結界を超える)

ぼくは度々こうした冒険を楽しんだ。
闇の境地へ踏み入ることに快感を覚えた。

闇の中の冒険を終えたあと、さも何事もなかったかのように現実に戻る。
友人と会話をし食事を摂る。そして床に着く。

そしてまた現実に疲れたら闇に消える。

筆者の読書感想文より

読了

不安」と「希望」。
相反する感情の中でかき乱される作者自身が、何とか自分を保ち、何とか人生を生き延びていくための処世術であったのではなかろうか。
「死」と隣り合わせの、実に危険な冒険であるが、映画や旅行を楽しむかのように、闇への逃亡を楽しむ。

暗闇の情景と作者の心情とを、五感に訴える繊細なタッチで描く。
暗黒の「黒」一色の世界かと思いきや、「黒」にもいろいろな「黒」があることに気付かされる。
まるで絵画を読み解いているような不思議な感覚に陥った。

そして
”読了の後味は?”と聞かれたならば、
"なぜだかとっても爽やかだ”
と答えるだろう。

筆者の読書感想文より

おまけ

ここからは、おとなになってからの独断と偏見の考察。

作者の冒険マップの全体像を想像してみた。
凡そこんな感じだろうか。
キーワードは結界(けっかい)

生(日常)| 闇 |    死
    結界 ①    結界②

<ルート>
A「生」~「闇」への結界①越え:意外と容易い。感情の依存大。
B「闇」~「生」への結界①越え:一箇の明かりが必要。タイミング重要。
C「闇」から「死」への結界②越え:闇の快楽に溺れてしまうと容易い。
D「生」~「死」への結界①②越え:病気や不慮の事故死。
E「死」より前への結界①②越え:不可能。

ぼくはこの中のコースAとBを楽しんでいる。とでもいうのか。
また、コースC(超えてはならない一線)への拘りも見え隠れする。
小説の世界を図示化するのも、なかなか面白い。

ただ、17歳が憧れだけで携える地図としては、いささか危なっかしい気はしないだろうか。

Thanks!
Note.クリエータの"よなか"さまより、素敵なイラストをお借りしました。
ありがとうございます。


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