子の為に靴下のやれつくろはむ暇ある日の嬉しきこゝろ 柳原白蓮『流轉』
白蓮、43才の時に刊行した歌集『流轉』より。
宮崎龍介と一緒になり、二人の子どもにも恵まれ、幸福な頃の歌。
「やれ」とは破れのこと。靴下の破れ。
子どもの世話や雑事に追われ あれをせなあかん。これをせなあかん。と
ばたばたしているとき頭の中もそれらでいっぱいで こころは窮屈になっている。けれど、そこに置いて気になってた子どもの破れた靴下のつくろいをやろう。そんな暇があるなあと思うとき こころの中にも自由な空間がうまれて、あー嬉しいなあ。と思う わたしのこころです。
そんな歌だととりました。
この歌を読み進めると「暇ある日の嬉しきこゝろ」で
読んでいるわたしのこころも 晴れてくるような気がする。
「嬉しきこゝろ」が感染する。
「嬉しきこゝろ」、白蓮のこゝろのなかの笑顔が見えるような歌。
何も特別なことは歌にしていない。平穏。
36才。伊藤家から出奔。伊藤伝右衛門と離婚。
37才。柳原家に連れ戻され幽閉。5月、香織(男の子)を出産。
38才。関東大震災をきっかけに宮崎家に入り、龍介との生活を始める。華族からも除籍される。
ギャップにくらくらする。