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ツンデレ童話(3)マッチ売りのツンデレ少女──その後の物語

 最近は日産特集記事を書いているので、もしかすると私を自動車マニアだと誤解している方がいるかも知れません。

 しかし、本当に書きたいテーマは日産ではなく、実はツンデレ童話の続編なのです。

 そんな中、ちょっぴりツンデレの気配を感じさせるT Kさんから、こんなコメントをいただきました。

『あとの2人のツンデレ美少女はどうなったのか、少しだけ🤏気になりました。。』

 きっとこのコメントには、こんなツンデレ的な思いが込められているはずです。

『べ、別にすごく気になったとか、そういうんじゃないから! 少し、少しだけ気になったんだから勘違いしないでよね!』

 実際、指摘されてみれば、ツンデレ少女たちにはまだ名前すら付けておらず、その後どうなったのかは語らずじまいでした。童話にありがちな『抜け落ち』といえるかも知れません。

 そこでまずは、ツンデレ童話の登場人物に、それっぽい名前を付けてみました。

生粋のツンデレ:クレア・フィッツジェラルド
 ツンとした気品を感じさせる『クレア』に、イギリスやアイルランド系で格式高い『フィッツジェラルド』を合わせ、プライドの高いツンデレらしさを反映。

クレア・フィッツジェラルド

マゾデレ気質のツンデレ:リリー・ド・マルセイユ
 可憐さを感じさせる『リリー』に、フランスの地名『マルセイユ』を取り入れた響きで、どこか挑発的ながら愛らしいキャラクター性を表現。

リリー・ド・マルセイユ

癒し系ツンデレ:ソフィア・ハーグ
 穏やかで知的な印象の『ソフィア』に、オランダや北欧を連想させる『ハーグ』を組み合わせ、癒し系のやさしい雰囲気を強調。

ソフィア・ハーグ

ダンデレ紳士:レオナルド・ヴァン・モントフォール
 
高貴で洗練された印象の『レオナルド』に、ヨーロッパの貴族風の苗字『ヴァン・モントフォール』を加え、ダンディで誠実なキャラクター性を表現。

レオナルド・ヴァン・モントフォール

第一章:マゾデレ気質のツンデレ少女の野望

 まず、街の大通りに立つ二人目の少女、リリー・ド・マルセイユ。
 マゾデレ気質のツンデレゆえに、今日も少々複雑なトーンでマッチを売っています。

『はぁ? あんた、今日もマッチ買いに来たの?…べ、別にあんたが買いたいって言うなら、仕方なく売ってあげるわ。でも、そ、そんなことで私が嬉しいと思ってるとか…誰も言ってないんだからね♡』

 とはいえ、リリーは昨年のマッチ相場高騰騒動で学んだ『投資』の味を忘れられません。マッチ相場をきっかけに、今度はどんな金融商品が盛り上がるのか――そう期待しながら、こっそり証券会社のアプリをスマホでチェックしています。

『あのレオナルド・ヴァン・モントフォールの真似をして、もう少し儲けちゃおうかしら…。え? わ、私は別にお金なんて欲しくないわよ。でも、ちょっとだけ新しい服とか、靴とか……そういうのは欲しいかもしれないだけなんだから…勘違いしないでよね!』

 そう言いつつもしっかりマッチを売りさばき、今日もリリーのツンデレ節は炸裂中です。

第二章:生粋のツンデレ少女のこだわり

 一方、一人目の少女、クレア・フィッツジェラルドは、今年こそ『自分のブランド』を作りたいと意気込んでいました。

 というのも、昨年のマッチ狂騒曲のさなか、クレアは街のファッション・インフルエンサーから『そのツンデレっぷりが魅力的』とスカウトされ、雑誌で少しだけモデルを経験しています。以来、自分のツンデレオーラを活かして何か発信できないかと考えていました。

『ちょっと、あんた聞いてる? わ、私がツンデレなんて言われてるけど…こう見えてモード系の洋服とか興味あるのよ。ま、まああんたには関係ないけどね! でも、もし私のブランドができたら、あんたにだけは特別に教えてあげてもいいかも♡』

 そう言いながら、マッチ売りの横でノートにデザインのアイデアをコツコツ描き溜めるクレア。街の人々から見ると微笑ましい光景で、そのうち『ツンデレファッション』という新ジャンルが生まれるのでは…と噂され始めています。

第三章:癒し系ツンデレ少女の新しい日常

 昨年、一躍『マッチの億トレーダー』として有名になった三人目の癒し系ツンデレ少女、ソフィア・ハーグ。優しげに見えつつツンデレを隠そうともしない彼女は、このたび『原点回帰』を決心していました。

 といっても、ただのんびりマッチを売るだけではありません。大儲けしたお金の一部を使い、小さな子ども向け図書館の建設を手伝い始めたのです。寒さに震える子どもたちが暖かい室内で、本や紙芝居を楽しめるように寄付しています。この図書館が発展して、世紀末には『海の上の図書館』になるのです。

『べ、別にあんたたちのために寄付してるわけじゃないんだからね。勘違いしないでよ。ほんの気まぐれなんだから。それに…もし子どもたちが喜んでくれたら…ちょっとだけ嬉しいかも♡』

 ソフィアは相変わらずマッチも売っていますが、今は昔ながらのリン入りマッチではなく、環境にも人体にも優しい新素材マッチ。彼女いわく『別に環境保護なんか意識してない』そうですが、SNSでは『#癒しツンデレのエコマッチ』がちょっとしたブームになっていました。

第四章:ダンデレ紳士の帰還

 そんなマッチ相場で大きな利益を得たダンデレ紳士、レオナルド・ヴァン・モントフォール。世界中を飛び回っていたようですが、今年になってようやくデンマークに戻ってきました。久しぶりにツンデレ少女たちに会うため、まずは大通りへ足を運びます。

『ボクはやっぱり、キミたちのツンデレを見ると落ち着くんだ。もしマッチが残っているなら、また買わせてくれないかな』

 その言葉に、三人の反応は相変わらず素直ではありません。

クレア(生粋のツンデレ)
『急に来なくなったくせに、何しに戻ってきたのよ!』と、照れ隠しで罵声まじりの塩対応。

リリー(マゾデレ気質のツンデレ)
『あ、あんたなんかがマッチを買ってくれても嬉しくないんだからね。もうちょっと意地悪してよね…!』と、意味不明な要求で相手を困らせる。

ソフィア(癒し系ツンデレ)
『べ、別に待ってたわけじゃない』と言いつつ、その声はどこか弾んでいる。

 すると、レオナルドは三人にひとつの提案をします。

『実はね、今年はこれまで稼いだお金で“小さなツンデレ・カフェ”を開きたいと思ってるんだ。キミたちが集まる場所を作って、世界中の人たちにツンデレの魅力を知ってもらいたいと思って…。もちろん、まだ計画段階だけど、参加してくれるかな?』

 三人は驚きながらも、それぞれのツンデレ流で承諾します。

クレア(生粋のツンデレ)
『べ、別にあんたのカフェに興味なんかないわよ。でも…まあ、私の考えたツンデレファッションを店で展示してあげてもいいわ。そ、それくらいなら協力してあげるわよ!』

リリー(マゾデレ気質のツンデレ)
『ふ、ふーん。カフェで働けって言うの? じゃああんた、私の接客態度にイチャモンつけてよね! べ、別に私は嫌われたいわけじゃないんだから…。いいわ、ちょっとだけ手伝ってあげても…いいかも♡』

ソフィア(癒し系ツンデレ)
『べ、別に興味ないわよ。ただ、子どもたちが遊びに来られるようなカフェにしてくれるなら…ちょっとだけなら力を貸してあげてもいいわ。ま、まあ、あんたがそこまで言うならね…♡』

 それぞれのツンデレ発言の裏には、わくわくする気持ちが隠せませんでした。レオナルドも心底うれしそうに微笑んでいました。

第五章:ツンデレ・カフェの幕開け

 そして数ヵ月後。レオナルドの資金提供と、三人のツンデレ少女たちの個性が合わさった新感覚のカフェが街はずれにオープンしました。その名も、『Tsun Café(ツン・カフェ)』

クレア(生粋のツンデレ)
 自身が考案した『ツンデレファッション風の制服』をスタッフに着せ、SNSでの宣伝戦略を担当。

リリー(マゾデレ気質のツンデレ)
 接客担当として常連客に軽口を叩きつつ、『叱られたい』客層をしっかり取り込んでいる。

ソフィア(癒し系ツンデレ)
 キッズスペースを兼ねた『ミニ図書コーナー』を担当し、子どもたちが来るたびに『べ、別にあんたたちのためじゃないんだけど』と言いながら、嬉しそうに遊んであげている。

 一方、カフェの奥まった席では、レオナルドが店の会計や次なる投資計画を練りつつ、三人のやり取りをほのぼの眺めていました。

『やっぱり、ツンデレの魅力は世界をあったかくしてくれるね。…って、ボクが声をかけたからって、別に好かれたいわけじゃないけど…ま、まぁ、楽しいからいいかな』

 こうして『ツンデレ×ダンデレ』が生み出す不思議なカフェは、たちまち街の噂となり、大盛況になりました。

『マッチで世界を動かしたあの少女たちがいるらしい!』と興味津々で訪れる人や、気付けば毎日通う“ツンデレファン”も続出しているといいます。

第六章:Tsun Café(ツン・カフェ)

クレア(生粋のツンデレ)
『ツンデレブランド』の服をさらに近隣都市にも売り込みたいと、目を輝かせています。

リリー(マゾデレ気質のツンデレ)
 相変わらず刺激を求め、新メニューの辛口評価を常連客にお願いしながら『もっと酷評して! えっ、優しい? 優しい言葉なんかいらないのに…でもちょっと嬉しい…!』と大混乱しました。

ソフィア(癒し系ツンデレ)
『子どもたちがのびのび過ごせるように』と、さらなる寄付活動を拡充する計画中。エコ・マッチの評判も相まって、街中から応援が集まっています。

 そして、レオナルドはというと、カフェを拠点に次なる投資案件を検討しながら、三人のツンデレを温かく見守り続けています。

『ボクはただ、キミたちが楽しそうにしているのを見るのが好きなんだ。…べ、別に恩を返してほしいとか、そういうのじゃないんだけどね。新しいプロジェクトでも考えたら、また協力してくれるかな?』

 三人は口をそろえて言います。

『誰があんたなんかと組むかっての! …ま、まぁ、相談くらいなら聞いてあげてもいいわよ♡』

 ツンデレ全開の返事が返ってくるたび、レオナルドは安堵と幸福に満たされるのでした。

エピローグ

 新たな年の始まりとともに、三人のツンデレ少女――クレア、リリー、ソフィア――と、ダンデレ紳士レオナルドは、それぞれの夢を追いかけながら、街に笑顔とツンデレの空気を振りまいていきます。

 マッチを手に、ツンデレな言葉を交わし、ほんのりとしたぬくもりを灯す彼女たち。そして、その灯りを静かに見つめる紳士。

 物語はまだまだ続いていきますが、今日も『Tsun Café』には、ほのぼのとしたツンデレが満ち溢れているのでした。

つづく…

 マッチ売りのツンデレ少女『Tsun Café』インターナショナルフランチャイズ展開編では、秋葉原のコンセプトカフェ『オオカミメイドカフェ』との熾烈な争いに発展するかもしれません。

武智倫太郎

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