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ぷりぷり市の謎のカード

登場人物
俺:松田優作や古谷一行のような癖毛でロン毛の探偵。名前はただの探偵。無名であることを選んだ、冷静で皮肉屋のプロフェッショナル。今回の移住手続きで、ぷりぷり市の奇妙な陰謀に巻き込まれる。

本田すのう:ぷりぷり市の市長。LAB(ロン毛しか愛せない病気)に罹患している。三兄弟を育てる主婦であり、子育てエッセイを執筆。市役所の煩雑な手続きを助けるが、彼女は何か知っているかもしれないが、知らないかもしれない。
#下書き再生工場

蒼龍 葵:路地裏も歩くR指定の変態看護師。妄想好きで、ブラックコーヒーが好き。ぷりぷり市役所の不可解なシステムの背後に隠された陰謀を感じ取る。

みくまゆたん:ルポライター。執筆活動に情熱を持ち、葵とともに謎を解明しようと動き出す。
#下書き供養企画

プロローグ

 俺は探偵だ。名前? ただの探偵。自分の名前は必要ない、そういう生き方を選んできた。今回の依頼はシンプルだった。住民票をぷりぷり市に移す、それだけのことだ。しかし、ぷりぷり市は俺を待ち受ける場所ではなかった。

 市役所に入ると、まずは一般的な手続きカウンターへ向かった。マイナカードを差し出し、移転の手続きを依頼した。だが、窓口の職員はマイナカードをじっと見つめた後、首をかしげた。

《どうかしているとし課》
『お客様、こちらではマイナカードではなく、タイパカードかコスパカードが必要になります』

『タイパカード? コスパカード? 何だそれは?』
 俺が日本を離れているうちに、日本では訳の分からないDXブームで行政システムが壊滅的なダメージを受けていたことは知っていたが、まさかこんな意味不明なカードシステムまで導入していたとは驚いた。

 職員は困ったような笑みを浮かべ、説明を始めたが、どうにも理解できない。結局、俺は《どうかしているとし課》へ案内された。だが、そこでも明確な答えは得られず、《なんのはなしです課》へ回された。彼らも手続きについて何も分からず、最終的には《どうでもいい課》にたどり着いた。

《どうでもいい課》
『こんなバカげたシステムがあるなんて、俺は何かの冗談に巻き込まれているのか?』

 お役所仕事の意味不明な『課』を盥回しにされた俺は、ぷりぷり市で唯一の知り合いに連絡を取ることにした。彼女の名前は本田すのう。ぷりぷり市の市長であり、三兄弟を育てながら子育てエッセイを書いている主婦でもある。

 俺がロン毛探偵になる一歩手前のセミロン毛探偵だった時に、本田すのう市長のロン毛萌えのツボに嵌ってしまい、それ以来の付き合いだ。最近は毛が伸びすぎて、『神が与えし髪比率7:3はどこへいったの? ベストオブベストロン毛は中村倫也と山下智久だって言っているじゃない』と、意味不明なことを口走るようになったが、俺は中村倫也も山下智久もどちらも知らなかった。最近覚えたのはロバート秋山だが、彼では髪が長すぎて好みではないらしい。

#なんのはなしですか

《なんのはなしです課》
『すのうさん、手続きが全然進まない。タイパカードとかコスパカードとか、一体何なんだ?』

 彼女は電話越しに溜息をついた。『それ、よくあるのよ。私も最初は混乱したわ。でも大丈夫、すぐに何とかしてあげるわ。』

 数十分後、すのう市長は直接市役所にやってきた。彼女は市役所の職員に短く指示を飛ばし、俺の手続きを迅速に進めてくれた。

『ありがとう、すのうさん。どうしてこんな複雑なシステムを運用しているんだ?』

『ぷりぷり市はね、独自の文化が強すぎて……何事も効率よりも独自性を優先するのよ。でも、大きな問題にはならないはずよ。』

 だが、俺の探偵としての直感は違和感を覚えていた。こんなに手続きが複雑なわけがない。ぷりぷり市には、何か隠された秘密があるのではないか?

 その後、俺は別の奇妙な人物と出会った。蒼龍 葵、妄想好きで変態的な看護師だ。彼女は俺に、この市役所のシステムがただの偶然ではないと話してきた。彼女自身もこの奇妙な制度に巻き込まれ、何か大きな陰謀に気づいたらしい。

『これはただの手続きじゃない、もっと大きな何かが動いているのよ』と、葵はブラックコーヒーを飲みながら語った。

 さらに、ルポライターの『みくまゆたん』も加わり、俺たちは、ぷりぷり市役所に隠された陰謀を解明しようと決意した。奇妙な住民票手続きは、ぷりぷり市の裏で何か大きなものが動いている兆候だった。

 これから、ただの探偵と彼の仲間たちが織りなす、ぷりぷり市の謎が明らかになる——。

 その夜、俺たちはぷりぷり市役所の周辺を調査することにした。葵は、職員たちの不自然な動きが気になると言っていた。特に《どうでもいい課》の職員が、定時後に密かに出入りしているという噂を聞きつけていたのだ。

『もしかして、市役所内で不正な取引でもしているのかもね。夜にカードが発行されるなんて、妙じゃない? きっとアレよね。ふふふっ…』と、葵は変態的な表情で、にやりと笑った。

 俺は『きっとアレよね』の変態的な意味が分からなかったので、その可能性を否定しなかった。表向きの複雑さの裏には、何かが隠されているに違いない。すのう市長も協力してくれると約束したが、彼女もすべてを知っているわけではなさそうだった。

 市役所に着いた俺たちは、裏口に回り、職員が出入りしている様子を観察した。真夜中にも関わらず、人の気配が絶えない。不自然な静けさの中、蒼龍 葵が呟いた。

『この市役所、他の役所とは何か違う気がするのよ。見て、この出入りの量。普通の市役所がこんな深夜まで、忙しいなんてあり得ないでしょ? きっとアレよね。ふふふっ…』

『みくまゆたん』は黙々とノートにメモを取りながら、『これ、記事にしたらかなり注目されると思うわ。ぷりぷり市の謎…怪しいカード制度の裏には一体何が?ってね』と軽く頷いていた。

 その瞬間、建物の中から微かな物音が聞こえた。俺は素早く身を伏せ、窓越しに中を覗いた。すると、暗い廊下を職員たちが小声で何か話しながら歩いている姿が見えた。手には、タイパカードやコスパカードらしきものが大量に積まれている箱を抱えている。

『やはり、ただの手続きじゃないな。こんな深夜にカードを動かす理由が何かある…』

 その時、突然、俺たちの背後に誰かが近づいてくる気配がした。素早く振り返ると、そこには、ロン毛フェチの本田すのう市長が立っていた。彼女は険しい表情を浮かべ、何かを決心したかのように口を開いた。

『やっぱり気づいたのね。ぷりぷり市のカード制度には、深い闇があるの。私もずっと疑っていたの。でも、これ以上関わると危険よ』

『危険? すのうさん、何が起きているんだ?』と俺は問いかけた。

『カード発行システムは、ただの住民管理のためじゃない。実はこの街は、国から独立した特区として、特定の利権団体が裏で操っているの。表向きの市役所業務はただのカモフラージュ。あのタイパカードやコスパカードには、もっと別の目的がある…』

 すのう市長は声を潜めながら、俺たちに驚くべき事実を語り始めた。

『その目的って一体…?』『みくまゆたん』が慎重に尋ねた。

『それは…』すのう市長が言葉を続けようとしたその時、急に後ろから光が差し込んだ。市役所の職員たちがこちらに気づき、足音を立てながらこちらに向かってきたのだ。

『ここで話している場合じゃないわ。さあ、逃げましょう!』すのう市長は俺たちを急かした。

 俺たちはすのう市長に従い、急いで市役所を後にした。しかし、謎はまだ解けていない。ぷりぷり市のカードシステムの裏に隠された真相は何なのか? これからの調査がさらに危険を伴うものになることは、誰もが薄々感じていた。

 俺は探偵として、この不可解な状況に立ち向かう覚悟を決めた。次の手掛かりを追って、この闇の中に切り込んでいくのだ。

 俺たちは市役所から逃げ出し、夜の闇に紛れて人気のない通りに身を隠した。まだ心臓が高鳴っている。あの職員たちが追ってくる気配はなかったが、俺たちの後ろには暗い陰謀が重くのしかかっていた。

『もう話せるな? すのうさん…。真実を教えてくれ』 俺がすのう市長に静かに問いかけると、彼女は深く息をついてから、ようやく真相を語り始めた。

『タイパカードとコスパカード…。それは、ぷりぷり市を外部から完全に隔離するためのツールなの。市民たちは表向き、それを便利な市民カードだと思っているけど、実際には市内のすべての情報がそのカードで統制されているの。出入りや買い物、日常のすべてが監視され、コントロールされているのよ』

『じゃあ、住民票を移すってことは…。私たちもその監視システムに巻き込まれるってこと?』と、蒼龍 葵が驚きの声を上げた。

 すのう市長は静かに頷いた。 『だから、タイパカードやコスパカードを持っていない限り、ここで正式な市民にはなれない。でも、あなたたちがこれに気づいたことで、今や利権団体に狙われているわ。ぷりぷり市の支配者たちは、自分たちのシステムを外部に漏らされることを恐れているの』

『みくまゆたん』がメモを取りながら首をかしげる。 『それって、つまりこの街は外から来た人を完全に管理下に置くための仕組みだったってことね…。じゃあ、住民たちは自由じゃない?』

『その通り。ぷりぷり市は一見平和な田舎町に見えるけど、実際には完全な監視国家の縮図なのよ』

 すのう市長は苦々しい表情で続けた。『私も最初はこんなシステムだとは知らなかったけど、市長になってからすべてを知ることになったわ』

『じゃあ、なぜ今まで何もしなかったんだ?』と俺は冷静に尋ねた。

 すのう市長は一瞬黙り込んだ後、真剣な眼差しで俺を見つめた。
『私が何もしていないように見えたかもしれない。でも、このシステムを暴露するには準備が必要だったのよ。タイミングを待っていた。あなたたちのような外部の協力者が必要だったの』

 彼女の言葉には本気の決意が感じられた。俺たちは、知らぬ間に大きな闘いの一部に巻き込まれていたのだ。

 俺はすのう市長を見て、『で、次はどうするんだ? 市民全員を、すのう市長の好みのロン毛にする条例でも作るのか?』と聞いた。

 彼女は笑みを浮かべ、『そ、それは、カードとは関係なく、市長提案としてぷりぷり市議会に提出済みで、風紀委員会で審議中よ。システムに関しての次の一手は簡単よ。この街の中枢、タイパカードやコスパカードの発行センターに潜入して、証拠を掴むの。システムの中枢に手を入れれば、すべてが明らかになるわ』と答えた。

 俺は深く息をついた。こんな小さな田舎町が、巨大な陰謀にまみれているとは思わなかった。だが、これが探偵の仕事だ。真実を暴き、闇を照らす。すのう市長、蒼龍 葵、そして『みくまゆたん』。

 俺たちはこれから、最後の一手を打ちに行くことになる。

 その結末がどうなるかは誰にも分からない。ただ一つ分かっていることは、俺たちはこの街の闇を照らすために進み続けるしかないということだ。

 夜の静けさの中、俺たちは次の行動に向けて歩き出した。ぷりぷり市の謎はまだ解けていないが、俺たちはその真相に迫ろうとしている。

…と話を膨らませたもののオチを思いつかない。
#もうこれ自分じゃどうしようもないから好きにしてくれぃ!

後半に続く…

武智倫太郎

#吉田戦車 #ぷりぷり県 #コメント小説リレー

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