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小学生でもわかるGX入門(江戸時代編)

 やぁ、みんな! 将軍様や悪代官、腹黒い商人の大黒屋、忍者、お侍さま、隠密同心、岡っ引き、うっかり八兵衛や風車の弥七などが登場する時代劇は好きかな? ボクは暇人じゃないから、時代劇は『大岡越前』、『水戸黄門』、『銭形平次』、『桃太郎侍』、『長七郎江戸日記』、『遠山の金さん』、『必殺仕事人』、『暴れん坊将軍』、『大江戸捜査網』くらいしか観ていないけどね。この手の勧善懲悪物の時代劇は、庶民に『御上が何とかしてくれる』と誤解させる洗脳番組なんだ。だけど、現実は日本の御上は年貢を取り立てるだけで、何にもしてくれないんだよ。しかも、悪代官の岸田文雄之介が、腹黒い総合商社と共謀して料亭で次のような悪巧みをしているかも知れないんだよ。

『三井屋よ、認証シールを誤魔化してエコに優しい感じのバイオマス燃料を輸入するとは、お主も悪よのう。』

『いえいえ、お代官さまほどではございません。この三井屋は、お代官様のお知恵を拝借しなければ、FSC®森林認証を偽装するだけで、御上から補助金をいただけるなどとは、思いもよりませんでした。』

『これこれ人聞きの悪いことを。幾らワシでも何時までも認証偽装を見逃すように小童役人に圧力を掛けるのは容易なことではござらぬぞ。小童役人どもにも袖の下を渡さねばならぬのでな。』

『それにはぬかりはござりませぬ。小童役人など、いつものように、この山吹色の饅頭さえあれば、なんとでもなりましょうぞ。』

 こんな感じで江戸時代から、日本にはバイオマス発電で使う材木も不足していたんだ。多くの人が日本は江戸時代から森林が豊かだったと誤解しているんだ。でも、江戸時代は『田上の禿』で有名な禿山があるよね。田上の禿以外にも、各地で森林伐採し過ぎて、土砂崩れや鉄砲水が頻繁に発生していたんだよ。

 さらに、今年に入ってからは、世界最大のアメリカの木質バイオマス燃料会社のエンビバも破綻しちゃったね。環境問題の観点からは、世界中を探しても要らない樹は存在しないんだ。

 日本は化石燃料も木質バイオマスも、ほとんどを輸入に頼っているんだ。だから、海外から燃料が買えなくなると、近代エネルギーが使えなくなり、江戸時代のように後退することになるんだよ。これは水素アンモニアなどの非現実的な燃料輸入でも同じことだよ。

 大日本帝国は大東亜戦争中に軍艦や戦闘機の燃料も尽きてしまい、松根油で鬼畜米英と戦うつもりで、昭和20年に『松根油等拡充増産対策措置要綱』を閣議決定して、日本中の松を切り倒して松の根っこからテレピン油を絞ろうとしたんだ。

 だけど、松を切り倒した後でわかったことだけど、蒸留に必要な設備もエネルギーもなかったんだよ。

松根油の生産について

 だから、結局は単に労力を無駄使いして松の木を切り倒しただけで、飛行機は一機も飛ばなかったんだ。これって、現在、日本政府がSAF燃料と言っているのとまったく同じ構図だね。官僚は頭が弱いから、歴史からは何も学べずに、過去の過ちを繰り返すことしかできないんだ。

輸入燃料と肥料が無くなったらどうなるの?

 日本が燃料も肥料も輸入できないほど貧乏な国になると、お肉や野菜も海外から買えなくなるんだ。だから、日本人の大半は餓死して、江戸時代と同じ人口約三千万人くらいが、日本に住むことになるんだ。

 生き残った人たちは、自給自足の生活をしなくちゃならないから、どれくらいの農地が必要か考えてみよう。

 ところで、みんなは『石(こく)』って単位を知ってるかな? 実は加賀百万石などの『石』が単位なんだ。これは大人が一人一年間に必要なお米の目安が、一石なんだ。昔は海外からの食料輸入がなかったから、藩の中で作られる米の量と人口が比例していたんだよ。つまり、百万石なら百万人が生活するのに必要な米がとれる藩って意味なんだよ。

 米の一石を十分の一にすると一斗になるんだ。つまり、一石は10斗だよ。一石を百分の一にすると一升になるんだ。これは一升瓶の一升と同じ単位で、一升は1.8リットルだから、一斗缶の一斗は18リットルで、その十倍が一石になるんだ。一升は10合だから、1合は1.8リットルの十分の一で180ccなんだ。つまり、1,000合の180リットルが一石になるんだよ。昔の人は一食に米一合が目安だったから、一日三食すると3合必要だよね。だから、一石の1000合を3で割ると、約333日分の食料で、一人分の約一年分の食料が一石という計算になるんだよ。

 一石は約180リットルだけど、乾燥した米は水よりも重いので、一石の重さは約150キログラムの米なんだ。

 一石の米を生産する面積単位は『反(たん)』だよ。一反は約300坪で、約0.1ヘクタールくらいの大きさだよ。江戸時代は化学肥料がなかったから、一反の田圃からは一石(約150kg)の米が収穫できていたんだ。最近は米を品種改良したり、化学肥料を使っているので、全国平均だと一反からは500kgくらいの米が収穫できているんだ。幾ら品種改良して耐寒性が強くなっても、肥料が無ければたくさん収穫できないので、化学肥料が無ければ、一反で一石の米が収穫できるということが、持続可能な農業の前提条件だよ。但し、この化学肥料無しで150kgの反収を実現するのは大変なので、人間の屎尿も全て堆肥にして畑に還元することが前提条件なんだよ。

北斗の拳の理想の世界
北斗の拳の現実の世界

 肥料がないと雑草も生えないんだよ…(´;ω;`)

『家畜を飼えば家畜の屎尿で堆肥ができるじゃない!』なんて甘い考え方をしている人は『過放牧』という言葉を勉強した方がいいよ。

つづく…

武智倫太郎

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