9/11とAIリテラシー:テクノロジーの進化による危機管理の変革
格好つけて英語のタイトル付けてみた : 9/11 and AI Literacy: Crisis Management Transformation through Technology Evolution
本日、2023年9月11日は、アメリカ同時多発テロ事件(9/11)から22年目にあたります。この事件は2001年9月11日の午前8時46分(NY時間)に、アメリカン航空11便がワールドトレードセンター(WTC)のノースタワー(北棟)に突入したことで始まりました。その後、午前9時3分(NY時間)には、ユナイテッド航空175便がサウスタワー(南棟)に衝突しました。さらに、第3機目はバージニア州アーリントン郡の米国防総省本庁舎(ペンタゴン)に墜落しました。
その他にも、報道があまりされませんでしたが、第4機目のユナイテッド航空93便はワシントンD.C.に向かって飛行していたところ、ペンシルバニア州(PA)の野原に墜落しました。
当時、私はニューヨーク州(NY)の東海岸とは逆の西海岸、カリフォルニア州(CA)に住んでいました。3時間の時差があり、午前8時46分(NY時間)は、カリフォルニア時間では午前5時46分でした。当時はSNSが普及しておらず、朝の6時ごろから電話が鳴りっぱなしでした。
電話をかけてくる人は皆、『テレビを観ろ』とだけ言って、慌てて電話を切るので、何事かと思ってテレビをつけると、日本語チャンネルでは昨日の日本のニュースが一日遅れで放送されていました。そのため、『日本語チャンネルは使えねぇ』と思い、CNNにチャンネルを変えたところ、WTCから煙が出ている様子がLIVE(生放送)で映し出されていました。
WTCの倒壊には、ノースタワーとサウスタワーのどちらも1時間以上かかっており、突入直後からテレビに釘付けになりました。私は近年ではテレビを持っていませんが、当時はテレビが主な情報源でした。
9.11( #SeptemberEleven または #NineEleven )発生時の2001年では、インターネットは普及していましたが、当時はBBS(掲示板)の全盛期でした。
Twitterが流行し始めたのは2008年頃で、日本で流行し始めたのが2010年頃です。Facebookが流行し始めたのも、Twitterと同じ2008年頃です。これは国や地域によって大きく異なります。
LinkedInを使いこなせている日本人は非常に少ないです。しかし、欧米やアフリカ諸国では、LinkedInは2003年以降、国際的にメジャーなSNSとなり、現在の世界の登録者は9億人を超えています。また、ラーメンや花やアイドルの写真を投稿する人はいません。とはいえ、LinkedInですら20年程度の歴史しかなく、SNSの歴史はそれほど長くありません。むしろ、AIの歴史のほうが古いです。
そのため、若い読者が本稿を読むと違和感があるかもしれませんが、情報伝達速度や情報量は20年前と現在では大きく異なります。
NYからCAのサンタモニカまでの距離は約2,800マイル(約4,506km)で、ルート66(Route 66はCAのサンタモニカからイリノイ州(IL)のシカゴまでつながっており、NYに行く際は途中で別のルートに乗り換えます)で結ばれており、バイクや自動車で運転すると3~4日かかる距離です。この所要時間は、途中でどれだけ休むかによっても変わります。
日本人でも、あえてルート66でアメリカ横断旅行に行く人は多いです。このコースの体験談は、多くの日本人が執筆しているため、ここでは説明を割愛します。
飛行機でも飛行時間が6時間以上必要なので、CAとNY間は意外と距離があり、この東西の距離が3時間の時差を生じさせる原因です。
これだけ距離が離れていても、全米各地でパニックが発生し、暴動が誘発されかねないため、アメリカの中でも主要都市でテロの標的になりやすいCAやコロラド州(CO)の多くの企業が臨時休業になりました。
CAのロサンゼルスでは、9.11の9年前の1992年に、テロなどなくても韓国系住民と黒人との民族間対立でロサンゼルス暴動が発生しました。ロサンゼルス暴動の引き金となったのは、警察官による黒人への不当な扱いがビデオに残されていたことです。
アメリカでは、警察官による黒人への暴行(生死に関わるレベルの暴行や不当な射殺は現在でも日常的に発生しています)が原因で、デモや暴動が近年でも頻繁に起こっています。
ロサンゼルス近辺には中国人街や韓国人街があり、多くの移民が住んでいますが、LAPD(ロサンゼルス市警)の人種差別はあからさまです。私が中華街で警察に呼び止められても、日本人だと言うと、警官は『自分は沖縄基地にいたので、日本のことはよく知っている』と笑い話で済ませますが、同じ警官が目の前で相手が中国系や韓国系だと分かると、いきなり血相を変えて銃を抜き、『Put your hands on your head, spread your legs, and kneel down!!』(頭の上に手を置き、足を広げて、ひざまずけ!)と言います。この決まり文句に『cross your fingers』が加わることもあります。
英語に慣れていない日本人がこの警官の早口の命令を聞くと、『プッチャ・ヤー(Put your)・ハンドン(hand on)・ヤーヘッド(your head)、スプレッチャ(spread your)・レッグッ(legs)、アン・ニーィダン(and kneel down!!)』のように聞こえ、何を言っているのか分からず、理解できなければ、指示に従わなかったという理由で射殺される可能性もあります。
アメリカは銃社会なので、一家に1丁以上の銃があるのが普通です。1人で100丁以上持っているガンコレクターも多く、銃規制問題は毎回アメリカ大統領選の主要テーマの一つになります。
アメリカ人の言葉が理解できずに留学生が射殺された話としては、1992年の『日本人留学生射殺事件』が有名です。この事件では、ハロウィンパーティーに出かけ、訪問先の家を間違えた日本人留学生が、家主からS&Wの.44マグナム(大口径なので見た瞬間に危険だと分かる銃です)を構えられ、『Freeze(動くな!)』と警告されたのを、『Please(どうぞ)』と聞き間違えて射殺されました。
話を9.11に戻すと、この米国本土攻撃は、1941年12月7日(日本とは時差があるため、1日ずれています)に大日本帝国がハワイの真珠湾を攻撃して以来のことで、9.11発生以前は『Remember Pearl Harbor(真珠湾攻撃を忘れるな)』が合言葉でしたが、9.11以降は『Remember September Eleven』に変わっています。
GoogleやYouTubeなどで、911発生当時のニュース映像を検索すると、『アルジャジーラはカタール政府が資金提供している』という趣旨のワーニングメッセージが出てくることがありますが、ボイス・オブ・アメリカ(VOA)、ラジオ・フリー・アジア(RFA)、ラジオ・フリー・ヨーロッパ(RFE)、ロシア(RTR)、France 24、韓国のKTV国民放送、北朝鮮の朝鮮中央放送、平壌放送、中国のチャイナ・メディア・グループ、中国中央電視台、中国国際放送はすべて国営放送です。
また、日本のNHKやイギリスのBBCは公共放送と呼ばれる特殊形態です。9.11に関する情報は、GoogleやYouTube、SNSや自然言語処理(NLP)を含め、すべて何らかのバイアスがかかっており、バイアスのかかっていないマスメディア情報など地球上には存在していません。
情報リテラシーやAIリテラシーの問題として、様々な情報を分析して自らバイアスのない情報を求める技術が個々人に求められていますが、これは非常に困難な課題です。
武智倫太郎