![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/155496903/rectangle_large_type_2_c6d8953089f3b6520269df3e45a0bf29.png?width=1200)
ビクトリー焼きそばを作ってみた:レシピ付き
ジョージ・オーウェルの小説『1984年』では、オセアニアを支配する独裁政権『党』によって提供される低品質な生活必需品やサービスに、ビクトリー(Victory)の名がつけられています。以下は、その代表的な製品や施設です。
ビクトリー・マンション (Victory Mansions)
主人公ウィンストン・スミスが住んでいるアパートの名前です。非常に老朽化しており、住み心地が悪いことが特徴です。
ビクトリー・ジン (Victory Gin)
ウィンストンが頻繁に飲む、安価でまずいアルコール飲料です。作中では、味が薬のように不快で、すぐに酔いが回ると描写されています。
ビクトリー・タバコ (Victory Cigarettes)
ウィンストンが吸うタバコです。粗悪品で、中身がボロボロと崩れ落ちる描写があります。
ビクトリー・コーヒー (Victory Coffee)
オセアニアで提供される品質の悪いコーヒーです。作中では非常に苦いと描かれています。
ビクトリー・パン (Victory Bread)
粗末で栄養価も味も乏しいパンです。ウィンストンの食事に頻繁に登場します。
これらの『ビクトリー〇〇〇』は、『勝利』や『栄光』といった言葉で美化されていますが、実際には劣悪な生活環境や低い生活水準を象徴しており、党の抑圧的な体制下での貧しい生活を反映しています。
また、物語の中では、『ビクトリー・コーヒー』ではなく『本物のコーヒー』が登場するシーンがあります。これはウィンストン・スミスと彼の恋人ジュリアが隠れ家で過ごしている場面です。ジュリアが持ってきた贅沢品の一つが『本物のコーヒー』であり、これに対するウィンストンの反応が以下のように描かれています。
ウィンストン:『Coffee…. Real coffee!』(このセリフを覚えていないと、この記事のオチがわからないので、覚えておいてください)
ジュリア:『Inner Party coffee. Half a kilo.』
ジュリアが持ってきたこのコーヒーは、内党(Inner Party)の特権階級が享受できるものであり、一般市民が飲む『ビクトリー・コーヒー』とは異なります。このシーンは、党の階級社会における格差や、物質的な贅沢が厳しく管理されている状況を象徴しています。
ビクトリー焼きそばとは?
最近、noteで『袋麺が高くなっている』『ステルス値上げが進行している』という情報を得たので、近所のスーパーに袋麺の値段を見に行きました。私は普段から高級品を食べているわけではありませんが、玄米採食や脂肪分の少ない鶏肉、秋刀魚のような旬の魚しか食べていないため、袋麵は食べず、値段も知りませんでした。
店内では5個入りの袋麺が500円ほどで売られていました。私は5個入り袋麺の値段は300~350円くらいで、1個あたり60~70円程度だと思っていたので、1個100円は高いと感じました。しかし、その隣に360円の袋麺が売っていたので、『そうそう、これが袋麺の値段だ!』と思って手に取ったところ、なんと5個ではなく3個しか入っていないことに気づきました。これが『ステルス値上げ』なのです。なぜなら、360円で3個入りだと、1個あたり120円になってしまうからです。
そもそも、健康に悪そうな袋麵など食べたくもないのに、それが2倍に値上げされていると知ると、さらに食べる気がなくなってしまいます。これは『買えるかどうか』という問題ではなく、『気分の良し悪し』の問題なのです。
そんな気持ちで特売コーナーに行くと、なんと『味の大関 5食パック復刻版』が250円で売られていました。この『復刻版』は、昭和41年(1966年)に発売された『味の大関』が、令和4年5月(2022年)に約56年ぶりに復活したものです。昔の即席麺はパーム油などで揚げていたため、フライ麺と呼ばれていました。フライ麺には約20gの不健康な脂が含まれており、健康志向の高まりによりノンフライ麺が普及している昨今、この復刻版は昔の『健康に悪い部分』まで忠実に再現されています。
そこで、試しに一つ食べてみましたが、途中で気分が悪くなってしまいました。健康食を続けていると、ジャンクフードを食べると湿疹が出たり吐き気を感じたりする体質になってしまうのです。
そこで残った4つの『復刻版』のジャンク麺を健康的に食べるために、私が開発したのが『ビクトリー焼きそば』です。
ビクトリー焼きそばの作り方
1.麺の袋を開け、中に入っている粉末スープは捨てます。これはフードロスにはなりますが、不健康なものを食べるよりはロスしたほうが健康的です。
2.少し多めのお湯でジャンク麺を茹で、不健康な成分を湯に溶かし出します。その後、不健康なお湯も捨てます。エネルギーの無駄遣いかも知れませんが、不健康なものを食べて湿疹が出て病院に行くくらいなら、少々のエネルギーロスは仕方ありません。実際に変なものを食べて発疹が出る人はたくさんいるのです。
3.麺を茹でている間に、ニンニクを刻んでオリーブオイルで香ばしく焦げ目をつけます。焦げ目がつく直前で止め、余熱で仕上げます。フライパンが100度に冷めたころに少量の塩水を加え、鷹の爪を投入して再度過熱します。ニンニクと鷹の爪を一緒に炒めると鷹の爪が焦げるので、塩水とガーリックオイルを混ぜた状態で鷹の爪を加えるのがポイントです。
4.茹で上がったジャンク麺をガーリックオイルと鷹の爪で味付けしたペペロンチーノ・ソースに絡めます。
5.ペペロンチーノ風の塩焼きそばを皿に盛り、バジルの葉っぱを千切りにしてかければ『ビクトリー焼きそば』の完成です。
これで、一個50円の復刻版ジャンク麺でも、美味しいビクトリー焼きそばとして楽しめます。
ところが、さっき近所のスーパーの生麺売り場に行ったら、生の蒸し焼きそば麺が3つ入り100円で売られていました。そこで、
『Yakisoba…. Real Yakisoba!』
と感動し、生焼きそば麺を買ってきました。これなら、1玉あたり33円ほどなので、ビクトリー焼きそばよりも安く、健康的な焼きそばが作れます。
但し、蒸し焼きそば麺の表面には得体の知れない油が塗られているので、まずは湯煎して余分な油だか脂を洗い流し、ごま油などで調理すると、さらにおいしく健康的な『リアル・焼きそば』が作れます。
武智倫太郎