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フル~ツインフォメーション|バナナの酸味

お世話になっております。フル~ツインフォメーションのお時間です。

突然よく分からない通販番組のようなタイトルが始まって何?とお思いでしょうか。みなさん、果物好きですか?おれは、相当好きです。大好き。できれば毎日フルーツのことだけ考えて暮らしていきたいと思っております。

たいへん、もうフルーツという単語を聞くだけで、おれの中のパブロフ・ドッグは高らかに声をあげ、海は大波、山は大噴火、そして天からは歓びの雨が降るといったところでしょうか。大げさに聞こえますか?ちょっとだけ大げさに書いていますけども。

人間、とみに日本人はフルーツに対してすごく意識が高いといいますか、味への追求は目を見張るものがあると感じています。もはや、同じものを食べるのであれば、隣人が食べているものよりもおいしいフルーツを食べたいと無意識下で考えているとすら思うんですよ。例えば八百屋さんでスイカを叩いて確認する主婦。現実にはあまり見たことがありませんが、日本人のフルーツに対するシンボルとしては充分すぎるほどに私共の生活に浸透していると思いますし、ものすごく、その姿に共感できますでしょう?

八百屋の店先にならんだ色んなスイカ、人それぞれ好みはあるけどどれもみんな素敵です。その中で人よりもみずみずしくて甘いスイカを選ぼうとするのは自然というか、よく理解ができる部分ではないでしょうか。それは、日本人のDNAに深く刻まれた遠いご先祖様からの贈り物。みんなみんな生きているんだ友達なんだっていうことですよね。大げさに聞こえますか?少しだけ大げさに書いていますけども。

実はこのほど仕事で日本全国のフルーツについて調べ、地域に隠れた魅力的なフルーツを見つけ出してその魅力を掘り起こすという、なんとも幸運な仕事を獲得しました。それでおれは人よりもフルーツについて想いを巡らせる時間が長いものですから、多くの時間をフルーツに捧げていると言ってもいいでしょう。一人で部屋にいるときなんか、最もおいしいパイナップルの甘味と酸味のバランス感のことばかり考えていますからね。7:3?うーんいや6:4!とか一人暗い部屋でやっていますから。

それで、この週末も長野県の生坂村という人口1,700人ほどの小さな村に行っていたんですが。この村は古くからおいしい巨峰がよくとれる土壌が整っていて、県内でも有数のぶどうの名産地として知られているということです。そこでとれる巨峰は地場の景勝地「山清路」の名を冠して「山清路巨峰」と呼ばれているそうです。ちょうど今時期が旬を迎えたということで、また巨峰のほかにも様々、おいしいぶどうが集まっていると聞きまして、半分仕事、半分趣味の感覚で行ってきました。

心なしかここまでのわたくしめの文章が躍っておりますのは、このぶどうを味わった興奮冷めやらぬままタイピングをしているからに他なりません。ちょっと一回頭を落ち着かせて書かねばこの感動が必要十分に伝わらないのではと考えまして、じっくり熟成をさせて後日改めてお伝えさせていただきたいと思うんでね。今後「フル~ツインフォメーション」と題しまして全国様々なフルーツ情報をお届けしたいと存じますよ。いいですよね。フルーツについて好き勝手書けるのが楽しみです。押忍押忍。今日は、標題にあります通り、バナナのお話です。

この頃は「糖度」というものがひとつフルーツの価値を測る指標になっているかと思いますが、じゃあ糖度が高けりゃ高いほどおいしいのかというとそうではないような気がしています。

それでバナナなんですが、バナナはその最たるところでありまして、人々はバナナの糖度についてものすごく敏感に捉えておられますよね。数年前、バナナジュースやスムージーが大流行した際には、「糖度●度」がひとつ売り文句になっていたように思います。隣のお店よりも一層甘いものを、ということですよね。糖度18度なんて数値も見たことがありますけれども。

当然、甘くないバナナよりも甘いほうがおいしいと思いますし、あとは水分をどのくらい含んでいるかとか、硬さはどのくらいかとか、ねっとり感はどのくらいかといったところも、バナナ好き諸兄は必ずチェックするポイントではないでしょうか。

ただ、糖度が高ければ高いほどうまいかというとそうでもない!アンパンマンにはバイキンマンが必要なように、与党には野党が必要なように、アクセルにはブレーキが必要なように、甘味に対する酸味の両輪でもってこそバナナはその真価を発揮するとおれは考えています。

要するに甘味が先行しがちなのを酸味が抑えにかかる構図ということですよね。おいおいと、ちょっと待てよと、バナナの味という名の手綱を握っているのがこの酸味なのではないかと、おれは考えています。

この構図を修辞を用いれば用いるほどよく分からなくなってきますし、妙な思想が見え隠れしてしまいますので一旦今回は割愛しますが、甘味至上主義跋扈するバナナ界に、おれという名の酸味が待ったをかけて参りたい!とそういうふうにすら考えてございます(結局修辞を用いるのかよ)。

これ、どのくらい伝わっておりますか?今のところ、おれの身の回りにいる人たちには全く共感が得られていない部分ではあるんですけれども、この件に関しておれが口角に泡を溜めながら言葉を紡げば紡ぐほど「少し強めのお薬を出しておきますね」などと言われてしまうのでとても悲しい、いや悲しいという言葉では最早言い表せないほどの強い孤独感を覚えてしまいます。

今日に至るまでこの主張に近い意見を見聞きした例が一度だけあります。それは10年程前、フジテレビの深夜にやっていた「ヨルタモリ」という番組で、タモリと糸井重里がバナナの酸味について語る一幕があったんですが、まさに上記のような主張で、当時20歳そこらのおれはぶんぶんと頭を縦に振って頷いておりました。わたくしめのような小市民が声高らかに主張するよりも、タモさんと糸井さんがそうおっしゃるならなんとなくそんな感じがしてきませんか?

ただ、この気持ちに共鳴したのが10年程前のテレビ番組の一瞬だけだったという事実に悲しいを通り越して腹立たしさすら感じるということなんですが、少なくとも、このわたくしめのオピニオンに対して物申したくなっているあなたが、あなた自身の中におりませんか?おりませんですか!?それがすなわち、「フルーツに対する意識が高い」という最初の主張のなによりの証左であります!

ということで、次回からはそんなフルーツ意識の高い皆様に対してぜひ旬のフルーツ情報をお届けしたいと思いますんでね。きょうは、きょうのところは、少し強めのお薬を飲んで寝ます。そんな感じです。



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