マーケティングを戦略的に成功させる有効なフレームワークを用いたターゲット設定方法とは?
こんにちは!
アイドマ・ホールディングスです。
マーケティングを成功させるためには、戦略的なターゲット設定方法を取り入れることが重要となります。
この記事ではターゲット設定とは何を意味するかを分かりやすく解説し、それを助ける2つのフレームワークを使った方法を紹介していきましょう。
マーケティングに取り組んでいるビジネスパーソンのみなさんは、ぜひ参考にしてくださいね!
戦略的ターゲット設定はマーケティングの出発点
ターゲット設定とは、マーケティングにおいて商品やサービスを世に広めるために、そもそもどのようなターゲットにそれを提供するのかを戦略的に設定することを指します。
それはマーケティングの出発点ともいえる、重要な作業です。
市場分析による選択と集中
マーケティング戦略を策定する際に原則とすべきは、かの高名な経営学者ピーター・ドラッカーが提唱する「選択と集中」です。
自社の商材にニーズがもっともマッチしている潜在顧客のグループを選択し、そこに「ヒト」「モノ」「カネ」「情報」を集中して投下することで成功の可能性を高めることができます。
あなたが向き合うべき市場を構成しているのは、多種多様なニーズを持ったユーザーたちです。
これらのユーザーすべてに対応しようとするならば多くの種類の商材が必要になります。そうなれば、投下するリソースは分散して個々の商材のパワーは低くなり、投資効率は下がらざるを得ないのです。
ターゲット設定とは効率よくリソースを「集中」して投下するために、その潜在顧客グループを絞り込む「選択」に他なりません。
ターゲット設定に欠かせない「STP分析」とは?
マーケティング戦略の出発点であるターゲット設定を、効率よく進めるためのフレームワークというものがあります。
フレームワークとは物事を分析したり戦略を策定したりする際に、考えを整理して議論を進めやすくする思考ツール、あるいは論理モデルのことです。
ターゲット設定に有効なフレームワークは2つ存在します。そのひとつが「STP分析」です。
この方法論では以下の3つのステップで市場を分析して、ターゲットを設定します。
●S/セグメンテーション
●T/ターゲティング
●P/ポジショニング
個別に見ていきましょう。
S/セグメンテーション
セグメンテーションとは日本語では「区分」や「分割」の意味です。
マーケティング上でのセグメントは、同じ志向性のニーズを持つ人たちをグルーピングして、市場をいくつかに分けることを指します。
同じ志向性のニーズを持つ人たちをまとめるのに使われるのは、例えば以下のような指標です。
●居住エリア
●文化
●年齢
●性別
●職業
●価値観
●ライフスタイル
●趣味
市場に存在するニーズを確かめるためには、憶測ではなく裏付けのある情報をもとに進めなければなりません。
ちなみに、現代のユーザーのニーズや日常行動を調べるのには、ソーシャルメディア分析が効果的です。
ソーシャルメディア分析を使えば、自社商材や関連ジャンルのユーザー像を捉えやすいといえるでしょう。
行動指標や心理をうまくまとめられ、想定外のニーズやユーザー像の発見につながるケースもあります。
T/ターゲティング
セグメンテーションによるグループ分けによって、市場に存在するであろうニーズを理解したら、次はどのグループを標的(ターゲット)として照準を絞るかです。
これがターゲティングです。セグメンテーションとターゲティングの違いは何でしょうか。
前者は同じ志向性のニーズを持つ人たちをグループ分けして、市場を細分化する分析段階のことです。後者はどのグループを狙うかを絞り込む意思決定段階といえるでしょう。
P/ポジショニング
市場の中で狙うべき潜在顧客グループが決まったら、次は市場の中での自社の優位性や独自性を見極めて、位置付けを明確にします。これがポジショニングです。
ポジショニングにおいては2つの軸を使って、自社の立ち位置を明確にしていきましょう。
ソーシャルメディア分析から、自社商材や他社商材がユーザーからどのように思われているのかが分かります。
例えば、デザインや機能、プライスなどの軸のうち、自社商材や他社商材が多く語られているのはどの軸についてか、などです。
あるいは、ユーザー目線では商材の特長をどう捉えているかなどが分かるでしょう。
そのようにソーシャルメディアの投稿を分析しつつ、STP分析に活用するのは効果があります。
ポジショニングの注意点としては、関連性の高い軸は採用しないことです。
例えばグレード感とプライスという2つの軸を選ぶと、プライスが上がれば上がるほどグレード感も当然上がるので、客観的な分析にはなりません。
できるかぎり関連性が低い、かけ離れた視点の軸を選ぶのがポイントです。
適切なターゲット設定には6Rを使おう
ターゲット設定の際に有効な、もうひとつのフレームワークは「6R」です。以下の6つの「R」を念頭に置くことで、より戦略的に進めることができます。
●実際の市場規模/Realistic Scale
(市場規模は充分にあるのか?)
●市場の成長性/Rate of Growth
(ニーズが今後増えそうであるか?)
●競合他社の実態/Rival
(強力な競合ブランドが存在しないか?)
●波及効果の想定/Ripple Effect
(口コミなどの波及の発信源となりえるか?)
●到達可能性の予想/Reach
(販売チャネルや広告媒体を通じて到達可能であるか?)
●測定可能性の見極め/Response
(施策に対する効果が測定可能であるか?)
個別に掘り下げてみましょう。
実際の市場規模/Realistic Scale
どのような素晴らしい商材を扱い、ターゲットを的確に絞り込んだとしても、コストを上回る収益を上げない限り持続可能にはなりません。
自社商材の売上高は、以下の2つの公式で表現できます。
売上高=ターゲットの市場規模×シェア
売上高=購入者数×購入頻度×客単価
ターゲット設定の際には、充分な情報収集の上でこの公式に当てはめてシミュレーションをしてみましょう。
概算にはなりますが、そのターゲット設定は現実的か非現実的かという初期段階の判断には役立ちます。
市場の成長性/Rate of Growth
現在は市場規模が小さくても今後の成長が期待できるなら、その市場は有望と考えられます。
例えば以下のようなグループは、今後の成長性という意味では有望です。
●1人世帯
●独身OL
●ワーキングママ
●シニア
競合他社の実態/Rival
ターゲット設定の際には、できるだけ強力な競合が存在せず、かつ競合している商材の数が少ないほうが有利です。競合他社の状況分析は入念に行いましょう。
波及効果の想定/Ripple Effect
マーケティングの投資効率を考えると、周辺への波及効果が高いと思われるターゲットを設定していくのが効果的です。
有名な「イノベーター理論」によれば、各分野の目利き役である「イノベーター」は少数ですが、一般層に大きな影響力を持つのでマーケティングの戦略上、非常に重要な役割を果たします。
とりわけ近年ではSNSの普及によって多くの「フォロワー」を抱えたイノベーターが「インフルエンサー」として台頭しているのは周知のとおりです。
特に選択肢が多すぎて自分に合うものが選びにくい業界や、専門知識がなければ選びにくい業界ほど、インフルエンサーであるイノベーターを味方につけたいものです。
到達可能性の予想/Reach
市場規模が大きくてライバルは少なく成長性も波及効果もあるとしても、その人たちに到達できなければ意味はありません。
販売チャネルや広告媒体を通じて到達しないのであれば、マーケティング活動そのものが成立しないのです。
測定可能性の見極め/Response
さまざまなアクションに対する効果が測定できないものは、改善することができません。
ターゲット設定の際には、打ち出した施策の反応や効果が測定できるかどうかも大切です。
ターゲット設定の失敗あるある
ターゲット設定でよく失敗してしまう代表的な2つのパターンを紹介しておきますので、そうならないように気をつけてください。
まず、欲張りな経営者は「すべての人に」「全ての女性に」「あらゆる大学生に」などと広過ぎる範囲でのターゲット設定をする場合があります。
このようないわゆる「オールターゲット」は、ターゲット設定をしているようで、まったく意味をなしていません。業界のトップクラスの企業や官公庁に多く見られます。
次に、年齢と性別のみで絞り込んでいるケースです。「40〜50代前半の女性」などの、一見もっともらしく思えるターゲティングかもしれません。
しかし、年齢と性別のみのターゲット設定の弊害は大きいのです。その理由をよくある「20~30代前半の女性」の例で解説しましょう。
まずはその人たちの内訳を考えてみます。細かく分類すると、見えてくるのは以下のような人たちです。
●大学生(独身)
●大学生子供なし(学生結婚)
●大学生子供あり(学生結婚)
●独身OL
●既婚OL子供なし
●既婚OL子供あり
●独身OL子供あり
こうして見ると「20~30代前半の女性」の中にも、さまざまなライフスタイルおよび価値観を持つ人たちがいるので、必ずしも一括りにはできないのです。
「20~30代前半の女性」というターゲティングの意図は、そのくくり方で似たようなニーズが存在することが前提となります。
しかし「自分で稼いでいるか」「結婚しているか」「子供がいるか」などで生活パターンも価値観も大きく変わってくるでしょう。であれば、ニーズも大きく変わるのは間違いありません。
以上の「オールターゲット」や「年齢・性別のみ」のターゲット設定では、すべての場合において2つのリスクが付きまといます。
それは「商材のメッセージがぼやける」ことと「施策が散発的になる」ことです。詳しく見ていきましょう。
【商材のメッセージがぼやける】
商材をヒットさせるためには、その商材に対してユーザーからの感情移入を促し、指名買いしてもらうことが必要です。
そして「感情移入」を促すためには、以下のような価値を提供する必要があります。
●その商材が自分の感性にフィットする
●その商材を通して前向きな気分が得られる
●その商材を通して自尊心が満たせる
しかし感性や気分、自尊心を満たすポイントなどは人によって異なるものです。
にもかかわらずそのような大枠のターゲット設定では、異なった考え方や価値観、生活様式を持つ人たちをひと括りにしてしまいます。
当然ながら商材のメッセージ性がぼやけてしまいます。その結果として誰にでも当てはまるメッセージを探すことになるでしょう。
つまるところ、スペックや機能を打ち出すしかないという結論に収まりがちです。
しかし、スペックや機能しか打ち出されていない商材では、ユーザーの感情移入は促せません。
なぜならそのような商材は品質や相対的なプライスなどの「合理的判断基準」しか提供されていないからです。
感性や感情に訴えるような、ユーザーの心を動かせる価値はそこにはありません。
【施策が散発的になる】
ターゲット設定の範囲が広すぎると、マーケティング関連の担当者間でターゲット像を共有するのが困難になります。
そのため、マーケティングの個々の部門の担当者それぞれが、バラバラにターゲットを解釈したり、偏ったターゲットに重点を置いたりしがちです。
そうなると結局のところ、打ち出される施策が部門ごとに統一性を欠き、散発的な弱い施策になってしまいます。
広範囲の火事に多数のジョウロを使って火を消そうとするようなもので、ほとんど効果はありません。
このようにターゲット設定を間違えば、そこから続く施策はことごとく失敗することになるのです。
ターゲット設定の際は、このような状態に陥らないように注意して、2つのフレームワークを上手に用いて進めましょう。
まとめ
マーケティングを戦略的に進める上でのターゲット設定について分かりやすく解説し、それを助ける2つのフレームワークを紹介しました。
ターゲット設定はマーケティングの出発点となる、非常に重要なものです。的確に行わなければ、マーケティングが空回りしてしまうでしょう。
そのためには、STP分析や6Rなどのフレームワークを使えば、効率よくターゲット設定ができます。
マーケティングに携わっている人、これからマーケティングに向き合う人を含めてここでの情報を参考にして、最適なターゲットを設定してください。