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【お仕事紹介シリーズ#3】シナリオライター「ゲーム内の『言葉』にかかわるもの全てを扱う」

このシリーズでは、各職種の方にインタビューして、具体的な仕事内容について紹介をしています。

アイディスの「シナリオライター」の仕事

アイディスのシナリオライターは、ゲーム内の「言葉」に関わる全般を作成します。世界観の説明、シナリオ、アイテムやキャラクターの説明文、名称、セリフなど、その範囲は多岐にわたります。また、新しいアイテムなどプランナーが作成した文章の校正・校閲のチェックも行います。

左:アイテム説明文章(各アイテムの効果・性能の説明)中:購入パッケージの説明(限られた文章内での簡潔なまとめ)右:エピソード作成シナリオライターらしい仕事)

シナリオライターの仕事はプランナーやディレクターが兼任することが多いかと思います。しかし、ストーリーに特にこだわりがある場合、ゲーム全体の言葉に統一感を持たせ、没入感を演出するために専任者をつけることがあります。『ラストクラウディア』は「ストーリーが泣ける」と評されるほど、こだわりを持って作成しているため、専任のシナリオライターが存在します。

それでは、シナリオライターSさんのインタビューです。


1.自己紹介をお願いします。

Sです。
シナリオライターはもちろん、プランナー、ディレクター、プロデューサーなど状況に応じて色々な役割を務めさせていただいています。
元々は、編集プロダクションや出版社で、ゲームの攻略本や取扱説明書、ゲームに関するニュース記事を書いていました。


2.シナリオライターに就いた経緯を教えてください。

出版社でゲームに関するニュース記事を書いていた際に、今の会社の社長と出会い、ゲーム自体の開発に携わるようになりました。そのため、シナリオライターだけではなく、プランナーなど幅広い業務を行いながらシナリオライターの仕事も行っていました。


3.学生時代にやっていたことはなんですか。

大学では日本文学を勉強していましたが、その知識を今の仕事で活かせているかは微妙です。当時はあまり勉強をせず、小説、漫画、アニメ、ゲーム、映画、音楽などエンタメに関わるものに多く触れていました。今でも文法的に問題がないかについて当時の友人(今は高校の国語教師)に聞いたりもします。


4.どうやったらその職業に就けますか。

シナリオライターを社内で抱える開発会社は少なく、外注することが多いため、シナリオライターだけを目指すなら、シナリオ制作会社に登録するのが一番早いと思います。しかし、これは私のこだわりですが、ゲームのシナリオライターは、シナリオだけではなくゲームのシステムについても知識が必要だと考えています。なので、開発会社にプランナーとして就職し、ライター業務も兼務しながら仕事を広げていくのが個人的なお勧めです。

 

5.ゲームのシナリオライターの特徴はなんでしょうか。

ゲームにあわせた文章を書く必要があるということが一番の特徴です。
例えば、イラストでキャラクター同士が会話するゲームのシナリオとカメラワークが発生する3Dゲームのシナリオでは、書き方が変わります。
具体的には、動きがほぼないイラスト同士で会話をするなら、セリフの中に動きや情景などを入れる必要がありますが、カメラワークが発生する3Dのシナリオでは逆にそれらの文章は邪魔になります。例えば、「後ろで何かが動く音が聞こえた」という場面があったとします。上記のイラスト同士が会話するゲームでは、キャラが「あれ、後ろで何か動いた?」というセリフが必要となりますが、カメラワークのあるゲームでは、そのキャラが後ろを振り向くだけでその状態は表現できます。
また、ゲームの進行にあわせたボリュームのシナリオを書く必要があります。プロットを書く際には、ゲームバランスを把握しておくことが必須であり、ゲームシステムやバランスに詳しい方がより適したシナリオが書けると考えます。


6.日頃やっていること・勉強していることは、なんですか。

幅広いエンタメ作品に触れて、引き出しを増やすようにしています。これは自分のアウトプットのための勉強であり、エンタメに関する知識はチームメンバーとのコミュニケーションに役に立ちます。
ゲーム開発はチームでの作業が多いため、共通の話ができると進行がスムーズです。指示を受ける際も「あのゲームのあのシーンがイメージに近い」のような話をする場面は多いため、それを知っていると理解が早く修正も減ります。
また、世界観、キャラクター設定、セリフなどについては、移動中や入浴中など業務時間外にアイデアが浮かぶことが多いため、メモに取るようにしています。あとで見返すと使えないことがほとんどですが、たまにボツ案から別のアイデアが広がることもありますので、やって損はありません。

 

7.大変だった仕事を教えてください。

締め切りまで、あまり時間がなかった仕事ですね。前任者が作成したキャラクター説明文に問題があり、修正を依頼されたことがありました。締切が2ヶ月後だったため、一部の世界観設定も作り直しながら200体の説明文を作成するのは本当に大変でした。
さらに、良いアイディアが浮かぶとそれに紐づけて既に完成したキャラクターも再度修正をしたくなり、自分で自分の首を締めたこともありました。しかし、結果として、満足できる良いものができて、リリースができました。ユーザーさんのリリース後の感想を読んだ瞬間に、楽しんでいただけたことも実感して、疲れも吹き飛びました。

 

8.やりがいのあった仕事を教えてください。

どの仕事もやりがいはありました。
自由に書けることは楽しいですが、プロデューサーやディレクターの目指すものを聞きながら、それを超えるものを提案するのも楽しいです。既に決まった内容を磨き上げることにもやりがいを感じます。ゲームのシナリオライターは、好きに作品を書ける立場になるのは難しいため、どんな状況でもやりがいをみつけて楽しみながら成長していきたいと思っています。


 9.シナリオライターの次のステップはなんでしょうか。

シナリオチームを統括しながらクオリティを担保するシナリオディレクターやゲーム自体のディレクター、もしくは文章に特化して小説家を目指す方が多いです。ゲームのディレクターを目指す場合、プランナーへと進む方もいます。何を目指すかは自分がやりたいことや得意・不得意なことを元に考えれば良いと思います。ゲームを作りたいのか、物語を作りたいのか、チームでの作業が得意か、一人での作業が得意か、最終決定は自分でしたいのか、人の指示に従う作業の得意不得意かなど、色々な要素があるので、自分の目指す方向を考えることが大切です。


10.これからの目標をお願いします。

世界一のゲームを作り、一人でも多くの方に私の作った文章を読んでもらうことです。読んでいただいた方すべてが面白いと思うことはないかもしれませんが、セリフのひとつ、キャラの名前など何か一つでも記憶に残るものを作っていきたいと思います。

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