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イエナプランにコーチング? 考える力が育つオランダ教育はとってもワクワクする仕組みだった

「ゼロ高vsオランダ式コーチング型教育!〜ゼロ高・内藤代表と皆でオランダの教育を学ぶ会」に参加してきました。
https://peatix.com/event/610052?lang=ja
※イベントは終了しています

このイベントは、ホリエモン主宰の学校「ゼロ校」校長の内藤さんがオランダ教育に興味を持ち、「クラウドファンディングで資金を集めてオランダ教育を学びに行っちゃった東京学芸大学大学院の長澤瑞木さんに色々聞こう」とプライベートで盛り上がっていたものを、みんな興味あるかもしれないからと公開イベントにしちゃったイベントです(ありがたい!)

会場はフロムスクラッチさんでした。めっちゃオシャレ。

会場に30人ほど、オンラインでも100人くらいが見ていたようです。参加者は自己紹介タイムで聞いた限り教師をしている方や大学生が多め。メディアに関わる人もちらほらいました。

では早速イベントの中身を紹介したいと思います。

オランダの教育って?

日本でも自治体が少しずつ導入している「イエナプラン」が非常に浸透しているのがオランダです。
イエナプランとは、日本で行われているような従来の教育方法と違い、
・対話・遊び・作業・行事の循環
・異なる年齢の子どもたちがグループを組む
・教科横断的な総合学習
などを通して、考える力を養い、多様な考え方を知ることを重要視する教育手法です。
※ざっくりですので、詳しくは「イエナプランとは」で検索してください

また、考える力を養うために取り入れているのがコーチングという手法です。これまたざっくり説明すると、コーチングとは正解を教えるのではなく、質問することによって生徒が考え正解や方法を導き出すことを支援するものです。
例えば、「どうしたらできると思う?」「何があったらできると思う?」「なんでダメだと思ったの?」などと質問して、思考を促します。

さらに、怒鳴ったり怒ったりや、「ここが出来てない」「間違ってる」などのダメ出しはせず、成長を認め応援するスタンスで生徒と接します。
例えば 「ここが前よりできるようになったね」「いいね!やってみよう」などの声掛けをするそうです。

ここまで説明しただけでも、めっちゃいいじゃーん!と思うかもしれませんが(実際イベントでも声があがった)、もっともっといいところがあったので詳しく紹介していきますね。

イエナプランの授業がめっちゃ面白そう


生徒たちは午前中はいわゆる「お勉強」をしますが、午後からは「プロジェクト」に参加します。プロジェクトでは、企業が実際に今困っている課題を発問され、解決を目指して学年混合の各グループに別れて調べ物をしたり話し合ったりしながら最終的にはプレゼン、フィードバックまでを行うそう。1プロジェクト1~2ヶ月ほど。

めちゃくちゃ実践的な上に、「正解がない」ものを考えるということ自体に価値があります。「正解」がないので間違って怒られることも無いし、意見がなければ始まらないから考えることや発言することが当たり前になってきます。

ちなみに、時間割は生徒がそれぞれ決めるそうで、自分が取りたい授業を自分で選択することができるんだとか。
※学校によって少し違うそう。みずきさんが見学した学校の情報です。

オランダでは学校を選ぶことができる


「いや、日本でも出来るでしょ」と思うかもしれませんが、日本のレベルとは全然違うんです。


・学区制がない(だから親は毎日車で送り迎え)
・生徒を200人集められれば、補助金がでて学校設立ができるので私立と公立の差が少ない
・転校する生徒が多数いる
・留年する生徒も1学年に3人位いる
・これ全部小学生のときから高校生までずっと

こういう環境であれば不登校や留年をしても、本人や親や学校も、誰が悪いとかではなく学校に合わなかったという認識になるような気がします。
それに簡単に転校できるのであれば、そもそも不登校という状態が継続しないかもしれません。

教師のレベル、生徒へのサポート体制がすごい


まずオランダでは教員養成大学があるそうで、日本のように文学部に行って教員免許を取るということが出来ないそう。※ここは文脈からの推測なので絶対ではありません

日本では、早くても大学3年生から教育実習や研究授業をやって免許取得を目指すそうですが、オランダの教員養成大学は非常に厳しく、大学1年生から毎週1回教育実習に行き、授業の様子は全て撮影。大学の担当教授にその様子を見てもらうということを繰り返すそう。
更に、教師に必要な108個(101個だったかも)の要素というものがあるらしく、それをいかに理解しているか、自分がその要素を満たしているかをプレゼンや論文で証明し大学に認めてもらわないと卒業できないんだとか。
大学への入学試験は無いといいますが、卒業するのはとんでもなく大変だということがわかります。

さらに驚きなのは、オランダの学校ではこんなに実践レベルが高い教員が、25人クラスに2人配置されるんだそう。日本だと生徒40人に対して先生が1人だから、サポート体制が全然違うことが明白ですね。

教師も自由である


オランダの教員は、副業OKであるため多くの教員がダブルワークをしているそう。また、3ヶ月ほどの長期休暇を取ることも可能で、その間に別の仕事をしたり、旅行に行ったり、新しいことにチャレンジしたりするんだとか。

日本では教師の長時間労働や部活の強制などが問題になっていますが、オランダでは16時には学校が閉まるので教師も帰るし、部活はないので子どもたちは地域のクラブチームや習い事などに参加するそう。

私は子供が自由になるには、親も教師も自由でなくてはいけないと思っているのですが、オランダの自由さは本当に素晴らしいと衝撃を受けました。

問題点もある

ここまで、イエナプランやオランダ教育のいいところを紹介してきましたが、当然問題点もあるようです。

1,生徒の協調性
自分が何をしたいかを重視する教育であるため、自主性は育つが協調性はいまいちなんだとか。

2,オランダ教育=イエナプランではない
メディアがオランダは宿題やテストがない、と言うが、実際は多少あるし、全ての学校がイエナプランというわけではないそう。日本的な学校もあるし、イエナプランも画一的なものではないそう。

3,教師不足
これはイベントで知ったわけではないが、オランダでは教師が不足しているんだとか。
オランダ、教師不足で外国人教師採用増加

大学での勉強がものすごく大変な一方で、あまり教員の社会的な地位や給料は良くないそうなのでそれが原因なのかもしれないですね。
日本の保育士や介護士のような問題なのだろうか?

オランダ教育は魅力的、でもパッケージを真似るだけじゃダメ

冒頭でも言ったように、日本でも少しずつイエナプランが導入されていますが、イエナプランは生徒だけが頑張れば良い結果に繋がるというものではないでしょう。

イベント当日は学校教員の参加者が多くいましたが、以下のような声が多く聞かれました。
・研究授業はただのダメ出し
・若い先生だけが研究授業をさせられる
・学習指導要領が細かい&膨大すぎる
・長時間労働、部活などをしなければならない

オランダはこういった状況は少なそうですし、自分たちが教員養成大学で学ぶ間もダメ出しではなくコーチングをされながら学ぶそうです。
もちろん日本の教育が変化するためにはイエナプランの導入は希望が持てることではありますが、それをサポートしコーチしていくはずの教員の力量や教育体制、学ぶための環境は十分なのでしょうか。
そして、教員が自分の人生を楽しむための環境は十分なのでしょうか。

大人が抑圧されていれば、子どもたちにも自然にその抑圧は伝わっていきます。
だからこそ、教員側の改革も同時に行っていくことで、イエナプランもオランダ教育も日本に根付かせていけるのではないでしょうか。

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