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《感想》さらば、佳き日

【さらば、佳き日】

▶連続ドラマ


映像の雰囲気がものすごく好きなドラマ。

話は実の兄妹の恋愛で
映像化されると生々しいので
頭を完全に「創作物を見ている」
という思考に変えて現実離れさせないと
ちょっと見るのがしんどくなるけれど。
これを機に漫画で見てみたいな、と思うほどに引き込まれた。
終わり方が変な逃げに走らなかったのが良かった。
きっと原作に近いあらすじだったんだよね?
個人的には逃げでないのは嬉しいけれど
映像化して、終わり方はこれでいいのか
と思うほど最後までこの作品の世界観は保たれていたし、ガックリしてしまうこともなかったし、やっぱり創作物である以上色んなしがらみはあるけれど、こういうのがいいなとしみじみ思う。


最終回を見てから2周目。
終わりが始まりで始まりが終わりだから、2周目はもっと感情移入できるし、細かなところまで気が回るし1周目では何とも思わなかった行動とか台詞がすごく苦しく感じたり嬉しく感じたりした。
何度観てもそのたびに新しい味がするような作品。



晃(山下美月)は小さい頃からすごく賢い子で賢くて真面目すぎるからこそ自分が兄を好きだってことにきっとたくさん苦しんで辛かったんだろうなと思う。1度は離れようとしたけど最後は兄と一緒にいる道を歩きだした。話は終わるけど、きっとこの先も晃はずっと苦しみ続けるのだと思う。大好きな人と結婚できないことに、大好きな人との子どもが産めないことに。
でも、それって兄妹だけの悩みなのかなとも考えさせられた。
もちろん色んな問題があって兄妹の恋愛は許されないけど、大好きな人と結婚できないことも子どもが産めないことも理由は違えど色んな人が直面する可能性がある問題。
どうか晃がもっと自分を大切にして欲しいと願う。

そしてなんでこんなによくできた晃が好きになったのかが最後まで謎だった兄・桂一(鈴木仁)。でも、剛つん(伊藤あさひ)も桂一のことを大切に思っていたし広瀬ママ(小沢真珠)も桂一をこよなく愛していたし、桂一は人たらしなんだと思う。頼りなさそうな感じと優しい感じがなんかほっとけないのはわかる。
そんな桂一は桂一で晃に兄として接するために、妹の幸せを願うがゆえにたくさん苦しみ続けてきたのだと思う。一応(失礼だけど)兄としてどうすることが晃にとってのいちばん幸せなのかを考えていたのだろう。それにしてもずっと頼りなかったなあ。
そんな桂一があの強い母に対して晃のことになると強くでたのはびっくりした。振り返れば不審者が家の周りをうろついていた時も晃が心配という理由であれば飛んで駆けつけていたからきっと昔から晃のためなら何でもできたんだろう。
晃のほうが芯が強くて面倒見がよくて頼りある子だからなんとなく晃が桂一の手を引っ張っている感じがして、桂一が本当に晃を好きなのか分かりずらくて晃の気持ちに流されているだけなのかと思うところがあったけど桂一が松本(松大航也)に晃が妹なんじゃないかと問われてそんなわけないと答えるところできっと桂一の晃に対する愛は好きを言葉で伝えるとかそういうものじゃないくらいずっと深くて、昔からその愛で晃を包み込んでいたんだと確信した。桂一が唯一強くなれるのは晃のことなんだと思った。


ふたりは悩みながら生きていくけど悩みながら生きるのはふたりだけじゃなくてみんな。
広瀬母だって好きなように生きているように見えて(さすがに好き放題しすぎではあるけど)自分の過去に悩み苦しみ続けていて、だからこそ我が子への愛情と子育ての仕方があまりにも歪だったんだろうし、剛つん(伊藤あさひ)は同性が好きだと公表しているものの信じてもらえなかったり容姿の良さで女性に好意を向けられてしまったりしてそのしんどさに悩みながら生きていくんだろう。珠希(加藤小夏)と珠希父(姜暢雄)はきっと母が若い男と蒸発した悲しさと向き合いながら生きていく。
みんなみんなそれぞれ悩みながら生きる。
だから晃も桂一も悩みながら生きたらいい。





この作品で何より驚いたのは山下美月、鈴木仁、伊藤あさひ、加藤小夏が全員同い年なこと。
仁くんもっと年上だと思っていた…。
(花晴れで知ったので平野紫耀くん、今田美桜ちゃんと同い年だと勝手に思い込んでいた。)


私、乃木坂46でのアイドル・山下美月も好きなのだけど、何より俳優・山下美月がかなり好きで。
良い意味でアイドルらしくない顔立ちと雰囲気(乃木坂のときはキラキラアイドルだけど!)を持っているので結構どんな役をしても毎回溶け込んでいる印象がある。
そんな中でも晃が持つ真面目さと芯の強さと面倒見の良さとそれらと表裏一体を成すかたさ、危なさ、暗さが妙にハマっていて山下美月を更に好きになった。
これからもたくさんの役を演じてほしいなあ!

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