春の混線
素足に砂のあたたかさ
広い海は砂丘のようだった
駆けだすそばから 風 が
髪も頬もつぶてのように叩く
春 の 海
はまだ冷たく
波打ち際での攻防で
悲鳴にも似た歓声をあげる
春は時々 混線する
別の世界が入り込んできて
現 実を多層構造にする
現 実 現実現 実
夜桜が舞い散る道路を
車は眠たげに進んだ
ラジオからは飛行機失踪のニュース
どこか遠くの世界のはなし
ここにいるのはわたし ですか?
あなたは前から あなたですか?
混沌とした意識を
取り戻すかのように
夜通し抱き合う
抱く 濁 駄軀 惰 汲
裸の2人眠りについたら
重力が重くなる
目覚めたらそこが元の世界かなんて
もうわからない
春は時 々 混線する
素足で海を歩く
醒めない夢を見た
服を着たまま波に飛び込んだ
尻もちついて笑っ た
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