若者が考える主権者教育と選挙

「ホリエモン、選挙に出るの?」
東京都知事選の前日、高校時代の友人からLINEが届いた。立花考志氏が立ち上げた「ホリエモン新党」。堀江貴文氏の愛称を党名にしているが、堀江氏自身は、党の創設に関与したこともなければ、そこから立候補したこともない。しかし、選挙ポスターには、堂々と堀江氏の写真が掲載されている。誤解を招くのも無理はない。そこで、その旨を説明した上で、候補者一覧と主な主張がまとまっている新聞社のネット記事を送った。正確な情報を得て、考えてほしいという思いからだ。
「おすすめは誰。そこに投票するよ。」
との返信が来た。聞くと、政治学科に所属する私が選ぶ候補者に投票したいという。


 確かに、二十人を超える候補者の中から、一人を選ぶのは、難しいことだ。しかし、他人の意見に従うのではなく、自分で考え抜いて投票することに意味があるはずだ。せっかく投票に行こうと思ったからには、その投票を意義のあるものにしてほしい。自分が政治に何を期待しているのか。生活で困っていることはないか。理想とする社会はどのようなものか。様々な要素を勘案して、それ候補者を選べばよい。


 なぜ若者が自分で候補者を選べないという現象が起こるのか。学校での主権者教育に問題がある考える。学校教育では政治的中立性が求められる。しかし、主権者教育をやりにくくしている根本的な原因は、この政治的中立性が過度に求めらてる現状にあると感じる。主権者教育といっても、具体的な政党や候補者、政策を扱うことは難しく、ただ選挙のしくみを教えたり、選挙に行く大切さを説くだけになっている。これでは、民主主義の実感に乏しく、自分で考えてるという経験を積むことができない。だからこそ、「おすすめは誰。」という発想に至るのではなかろうか。

彼がその後、どうしたのか聞いていないが、自分で考えて投票してくれたことを願いたい。

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