成長戦略を描くほど、社会は持続しない
「当社の成長戦略は…優秀な人材の確保をして新たな事業を生み出し、持続的な社会に貢献します」
大企業の良くある経営方針説明会の一コマです。ほとんどの企業の経営者がこんな内容の方針を、何事も無かったかのように淡々と語っているのですが…
そもそも、日本の人口はものすごい勢いで減り続けています。まして「働き手」といわれる生産年齢人口は2065年には4,500万人(総人口の半分)にまで減少を続けて行く見込みなので、どの企業も「人材難」に陥るのは分かりきったことです。
それでも「うちの会社はブランド力があるから、質さえ我慢すればいくらでも採用できる」といって、根こそぎ人をかき集めはじめるのです。
なにか、間違っていませんか?
これではまるでアフリカの「紛争ダイヤモンド」を見ているようです。武力で農業を中心とする住民の生計を破壊して、鉱山周辺地域を実効支配して彼らに採掘を行わせるのです。この資源の奪い合いは地域紛争の原因にもなって、より大きな社会問題に繋がっています。
そろそろ企業は、豊富な労働力をテコに成長しようという考え方をやめた方が良いと思います。全然SDGsでは無いし、全く社会のためにならないと思います。何よりもこんな不毛な人材獲得競争をしてたら社会が持続できません。
すでに昭和の高度成長期が終わって半世紀以上が経ち、人口オーナス期に突入後30年以上も経過しているのです。社会環境の変化とともに生まれてきた多くの大企業のほとんどが衰退期を迎えているにも関わらず、無理矢理「人」をかき集めて「紛争新規事業」を作らせることがどれほど社会にとって非効率で、部分最適なことなのか一度立ち止まって考えてみた方が良い気がします。
無理に大きくしなくても、「縮小戦略」でいいんです。
どんなにお金で人をかき集めても素晴らしいビジネスが出来上がるわけではありません。しかも大きな組織という集団で「型にハマった良い子」ばかり育てていたら、型どおりの未来しか描けないでしょう。
日本に会社という仕組みが出来てから、まだ100年ちょっと。気がつけばその間、第一次産業の従事者はわずか5%にまで減少しました。もしかしたら本当は農業や漁業、林業などで生計を立てて自分の思いのままに暮らしたい人がいっぱいいるのではないのでしょうか。
やりたいことをやりながら生きていけるって憧れますよね。
企業は未来のために優秀な人材を解放して、これからの持続的な社会づくりに目を向けましょう。
今日も最後まで読んでくださってありがとうございました。