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詩のようなもの

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2021年12月の記事一覧

風花

どうせすぐに忘れてしまうような
大したこと無い想いなら
いっそ風に流れて風化すればいいのに
嫌いになった訳じゃないのよ
と彼女は笑ったけど
それは好きでもなかったってこと

じゃあ僕はどうなのかと訪ねられたら
首を捻る始末
好きなんて感情はそれぐらい朧気で
頼りない蜘蛛の糸

音楽にもなりはしないこの歌を
口ずさみながら更ける時間すら
もう僕には惜しいんだ
それなら次の旅の支度をして新しい笑顔に会

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貫光

それはいとも簡単にほどけて
風に飛ばされて消えた
君がなにか言おうとした瞬間に
冷めきった缶コーヒーを落とした瞬間に

すべての初めてはいつも
それぐらい突然に
あなたの言う真実は形を変えて
あっという間に知らない人の
手の平で明かされる

それがもう嘘だとしても

愛してるとか好きだとか
よく言葉にできるね
そんなもの存在しないのと同じなのに
小説家もしくは詩人でもない限り
縁のない表現方法だと

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さよならまたね

バカがつくほど鈍感な僕は
君の幸せそうな笑顔を見るまで
これが恋だったんだと気付かなかった
そっぽ向かれて寂しかったり
違う誰かと笑ってる君にイラついたり
そんなこと全てが
僕の恋だった

もし時が戻せたとしたとして
僕に言えるだろうか?
心を尽くしてまっすぐに
彼のようにカッコつけずに
君が好きだと

さよならまたね
確かに僕らは幾度となくそう別れた
変わっていく景色の中
変わっていく君の姿を見

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